目が覚めると
目が覚めると、真っ白な壁が視界に映った。
「んー…」
此処は何処だろう、そう思いがら目をこすって、体を起こす。僕はベッドに横になっていた。よく周りを見てみると此処は学園の保健室じゃないか。
ベッドの横の椅子にはルークが座っていて、眠っている。
僕何で気絶してたんだっけ…。そういえばバハムートが何かいて、それで色々やって…、あー、魔力切れか。
魔力量は僕はそこまで多くはないからなぁ。平均よりは多いぐらいなんだけど、何だろうルークの魔力量は普通に成人男性の何十倍もあるから…。
「…んっ」
そんな事を考えていれば、ルークの瞼が開かれた。
「…ルーク、おはよう」
僕がそう言ってルークに笑いかけた。そうすれば、その瞳は大きく。そして僕が起きてるのを確認すると、すぐさま物すごい勢いで話しかけてきた。
「ユウ! 目ぇ、覚めたのか!」
ほっとしたように息を吐く、ルーク。
どうやら心配してくれていたらしい。安心したように、心配そうに僕を見るルークを見ると、何とも言えない気持ちになる。
「まぁな、で、僕魔力切れで気を失ったんだろ、多分」
「そうそう! そうだ、ユウ、これ!」
そう言って、ルークは魔法具、《亜空間》―――その名の通り亜空間を生み出す魔法具(収納用)から、モノを取り出す。取り出されたのは、バハムートの金色に輝く鱗に、角に、鋭い牙だった。
「…これって」
「俺と兄上が駆け付けた時、ユウが一匹やってて、俺と兄上で一匹ずつ狩った!」
…何だか、そんな軽く言われると悔しい。
でもまぁ、あの時一匹やれたなら上出来かも。鱗とかあるなら魔法具作るのにも役に立つだろうし、売ってしまえばお金のたしにもなる。
バハムート…、巨大な水の怪物。それと対峙して、やったのだ。昔より強くなれた、そう思えば思うほど嬉しくなる。
「なるほどね、じゃあ僕これで今度魔法具作ろうかな」
そう言って、立ち上がろうとすれば、
「ちょっと待て! 倒れたんだし、もっと休んどけよ」
そんな事を言われる。
まぁ言ってる事は最もな事何だろうけれども、正直コロシアムまで時間ないわけだし、僕は準備しなきゃだから眠ってる時間もったいない。立ち上がろうとするけれども、まだ少し魔力切れが取れてないらしく、少しふらふらして、僕は結局ベッドに入ったままだ。
「はぁ…、それにしてもユウが倒れてた時、びっくりしたよ、本当」
「心配かけたみたいだね。ま、僕は大丈夫。ところでアースは?」
「あー、もう時間だとかいって帰ったよ、兄上は。あとで連絡してくれって言ってたけど…」
アースは帰ったのか、と少し残念に思う。まぁ、仕方ないか。アースは働いているわけだし。
ふぅと息を吐く。
バハムートの子供……そんな存在に遭遇する事は想定外だった。本当に、色んな場所に探検として足を運ぶたびに新発見が見つかって、楽しいと思う。危険だけども、それでもああやって自然の中を進む事が、僕は好きだ。
「そういえば、メキシム達は?
あいつらなら、ルークが帰ってきたらべったりくっついてそうだけど」
「………あーと、一回保健室の中入れたら、騒ぎまくってたから流石に帰ってもらった」
追い返したのか、それはよくやった、ルーク。流石にふらふら状態であいつらと対峙するのは僕は疲れて嫌だ。でも、普段の態度見てれば騒ぐのわかってるのに中に入れちゃうあたりはルークだなぁ、と思う。
ルークと一緒に居ると、面倒事が降りかかってくる。
だけど、ルークは悪い奴ではない。それを知ってる。幼なじみじゃなかったら、多分こんなに世話はやかないだろうけれども、なんだかんだでルークという親友って放っておけないのは僕自身なのだ。
やっぱり、コロシアムではルークに勝てるように頑張るべきかもしれない。そうすれば、ルークは魔法の授業とかを真面目に受けるようになるかもしれない。
僕は、そんな事を思った。
少し短いです。
感想色々もらったので、少しずつ修正していく予定です。