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山に登ります(3)

いつの間にかお気に入りが1000超えました。応援ありがとうございます。

 「ユウっ!」

 ルークの切羽詰まった声が聞こえる。

 あー、ミスった。そう思った瞬間僕は転がり落ちていた。

 何処をかって……、山の中心部分の崖。魔物を倒しながら進んでいたら、ドジった。どうにか速度を落とそうと足を引っ掛けるが、どうにもならない。ふぅ、と僕はため息を吐いて、近くに風の精霊が居る事を感じる。


 「精霊よ! 僕をゆっくりおろして」


 もうすぐ地面に到着する。このまま降りたら重傷物だ。空を飛ぶ魔法もあるのだが、生憎それは難しくてユウはあんまり成功しない。精霊に呼び掛けたのも一か八かだったが、どうやら成功したようである。

 体がふわりっと浮いて、地面へと着地する。

 上を見上げて、僕は思う。大分落ちてきてしまったらしい。

 此処はどの辺だろう、そんな事を思いながら周りを見渡す。

 そうして目に映るのは、湖だった。青く透き通るような水が、光に反射してキラキラ光っている。湖の上には蓮が浮いていた。

 湖をのぞきこめば、僕の顔が映る。覗き込んでいれば…、湖の奥に、何かがうごめいているのを確認した。

 湖に顔をつけて、のぞいてみる。

 そうすれば…、魚の黒い目と目があった。

 僕は慌てて、水から顔を離して、だーっと、少し離れた位置まで移動する。

 ……本で見た事がある。あれは、バハムートではないか。鱗の生えた黄色い表面。大きさは、2メートルぐらいだろうか。あれでも確か子供のはず。親のバハムートは5~10メートルあるらしい。確か湖とかで卵を産んで、親は海に住んでいるんだったか(海でも湖でも生息可能)。バハムートは一見すると普通の魚のように見えるが、魚のくせに、角が生えている。ドラゴンが持つような鋭い角だ。

 下手したらぱくっと食べられてしまうじゃないか。子供は群れるとも言うし、一匹だけじゃなかったら、相当怖い。バハムートは空を飛んでいる鳥も水面から顔を出して飛びあがり食べてしまう。そして口からは火のブレスが吐けるらしい。一応魚類のくせに。水に住んでながら火を吐くって何なんだろうね?

 というか、上に行きたいけど、上るだけの魔法や精霊魔法僕使えないんだよね。ああ、バハムートとか牙がかなり鋭いはずだから、マジ口ん中に入れられたら死ぬ。骨普通に砕くらしいから。

 バハムートって、卵の生み場所が毎回違うから予想できないんだけど、まさかパティラ山の湖に居るとは…。

 どうにか、アースやルークに合流しなきゃ。いやもう、一人でバハムートが何匹生息するかわからない湖の近くに居るって恐ろしすぎる。もしかしたら親のデカイバハムートまで来るかもしれないし…。そうなったら恐ろしい。

 登る道がないか、どうにか探すために視線を動かす。

 ……上に登れそうな坂を見つけたが、湖の隣通らないと通れない。

 困った。どうしようか、そろーりと行けば気付かれないだろうか。気付かれたらブレス吐かれる可能性と、口を開けられる可能性がある。どっちもぜひとも遠慮したい。

 バハムートって気配に敏感らしいから、姿を消す魔法(難しいから中途半端にしか発動できない、ルークはできるけど)をやっても悟られる事間違いなしだ。

 僕は勇気を出して、湖の近くを通る事にした。そろーりと音を立てないように進む。

 そうすれば、バシャッと音がなった。湖の方を見れば、口を大きく開けた、バハムートが一匹。

 「――――っ!?」

 思わず悲鳴を上げたくなる。やばい、バハムートの喉の奥が赤い。多分ブレス来る!

 それを悟って、とっさに魔法を唱える。


 「我が前に光の導きを。

 守りの盾を我前に!

 《ホワイトシールド》」


 短縮詠唱を唱えた瞬間、ブレスがこちらに襲いかかってきた。

 流石に防ぎきれはしなくて、炎が少し体にまとう。僕は慌てて、水魔法で火を消して、後ろに身を引いて、距離をとる。

 バハムート一匹はぎょろりとこちらを見ている。

 ……倒さないと上いけない感じか、これは。なんて思って冷や汗が流れる。それなのに、益々自体は厄介になっていく。

 そのバハムートの後ろからバシャッと二匹のバハムートが顔を出した。…って、ちょっと待て。一人でバハムート相手にしなきゃいけないのか…? どっちにしろこのままじゃ戻れないし、どうするか…。つか下手したらこっち側までブレス届くし…。

 よし、とりあえず、やりますか。

 どれだけできるかわからないけど、反撃しないわけにはいかない。というわけで、僕は魔法を行使した。


 「業火の炎を求め。

 願い続けるは、灼熱。

 燃やしつくす事を願わん事を。

 《ファイアーleve5》」


 頭の中で術式を組み立てる。それを思い描きながら、詠唱を放つ。

 出現するのは、炎の塊。大きなそれは、バハムート一匹へと直撃する。

 攻撃系魔法にはlevelがついているものが多い。術式は一つ一つ違って、levelが高いモノの術式は細かい。そして、威力も違う。

 「ギョエェエエエエエエエ」

 バハムート一匹は暴れながら水面に隠れた。

 残りの二匹は、ぎろりっとこちらを見ている。

 僕はふぅと息を吐くと、弓の狙いをバハムート一匹の目に定めた。鱗は確か結構堅いはずだが、目ならすぐに潰せると思ったのだ。

 ビュンッと勢いよく矢を放つ。

 その一つはどうにかバハムート一匹の目に直撃した。途端に溢れだす、血液。バハムートは痛みに暴れまわる。

 そうすれば、一人が、こちらを向いてブレスを吐いた。

 どうにか炎はこちらまで届かないが、熱気が此処まで来て、どこか熱い。今は1の月だから肌寒い季節だというのに、ブレスは体を熱くする。


 「《ウインドカッター》」


 ぼそりっと一言言って、現れるのは風の刃。

 風の刃は、真っすぐにバハムート達へと向かっていく。

 その刃は、バハムート達へとぶつかり、傷をつけていく。だけど、その傷は浅い。

 バハムートから溢れだした真っ赤な血液は湖を赤く染めていく。

 そんな中で、

 「キエェエエ」

 ……そんな、魔物の声が聞こえた。

 後ろを振り向けば、鳥がいた。こちらに敵意を見せてるのもあるし、明らかに魔物だ。

 というか、くちばしでつついてこようとしている。僕は慌てて避けた。

 バハムート三匹に、鳥一匹。

 とりあえず、数を減らさなきゃ。本当にやべぇ。鳥はともかくとして、バハムート…。何で三匹もいたんだ。


 「《ファイアーlevel2》」


 短縮詠唱で、鳥へと炎を放つ。放たれた炎は鳥へと移り、苦痛に鳥は暴れ始めた。

 僕は、意識を精霊へと集中させる。


 「精霊よ! かのモノを運べ」


 ただ、それだけの言葉。それと同時に、燃え上がる鳥は、風によって、バハムート一匹の口の中へと放り込まれた。

 幾ら、ブレスを吐くとはいっても、口の中で燃えられたら、きついはずだ。現に食べてしまったバハムートは、苦痛に満ちた声を発して暴れている。

 他の二匹のバハムートもそれの被害を受け、互いににらみ合っているのが、視界に映る。

 よっし、これで共倒れが期待できる! 三匹のバハムート達は喧嘩するように、鋭い牙で攻撃し合っている。体当たりし、ぶつかり合う三匹。一か所にまとまっている、彼ら。

 それを見ながら、僕は息を大きく吐いて、魔法を放つために、口を開く。


 「雷撃、雷雲。

 望むは光、望むは雷鳴。

 全てを滅するが故の、それを求め、

 全てを無くすが故の、それを求め、

 願うはチカラ、願うはヒカリ」


 流石に強力な魔法には詠唱が必要だ。

 あれをどうにかするための、詠唱…。


 「チカラを愛し、

 自らのチカラを持って、滅ぼさん事を求め

 自らのチカラを持って、雷撃を落とす。

 《サンダーlevel28》」


 僕が使える、雷系魔法の、一番強いのをぶちかます。

 僕らぐらいの歳だと、基本的にlevel1~20ぐらいの魔法を使えるぐらいなんだけど、僕は一応28まで使える。

 魔力がどっと、持って行かれる。ルークみたいに魔力量が異常なぐらいあればこのくらい簡単にできるんだろうけれども、第一、此処に来るまでに魔法結構使ってたから、くらくらしてくる。

 魔力回復薬を取り出そうと、《亜空間》を探る。

 だけど、その前に、意識がもうろうとしはじめた。体が傾く。意識が失われて行く中で、動かないバハムート達が視界に映った。やったのだろうが…、それとも気絶しているだけだろうか…、わからない。だけどとりあえず、体が動かない。

 「ユウッ!」

 消えゆく意識の中で、ルークとアースの焦ったような声を聞いた気がした。


ちなみにバハムートは幻獣辞典見ればわかりますが、魚としてのってました。

世界を支えている巨大な魚で、一番最初の目撃者はイエス・キリストらしいです。

外見は…、私の妄想でほとんど成り立ってます。実際の魚のバハムートの外見よくわかりません。

ドラゴンじゃないのは敢えてです。なんか書いてたら湖に居る生物を出したかったので。ドラゴンとしてFFとかで出てるので、角とか生やしてみました。というか、他の魚と区別ついた方がいいと思いまして。


…かっこいい詠唱が書きたいんですが、うまくかけません。

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