ルークを誘いました。
「えー、ルークさんを山になんて連れていくって…。ルークさんはそんな野蛮な事しなくても強いから大丈夫なの! ねぇ。ルークさん、山何かに行かないで、私と買い物しましょ」
教室でルークにどうするか聞きにいったら、メキシムはそう言った。
メキシム…。野蛮って、どっちにしろコロシアム終わってから魔物退治の依頼とかを学園内のチームでやったりするわけだし、なれておいて損はないと思うんだけど…。
「そうよ。ルーク、私山に何か行きたくない。一緒に過ごしましょう」
…セルフィード。何でルークが行くなら行く事前提の台詞なんだ。いや、そりゃあルークが行くならついていくだろうとは予想できたけど、山になんか行きたくないって…。
「そうですわ! わたくしのルークはそんなところ行く必要ないのですわ! そもそも山に何かいってわたくしのルークが怪我をしたらどうするつもりなのですわ!」
いやいや、何事も経験だよね? ルークは次期公爵だし、危険な目には結構あうだろうし、魔物ぐらい倒せなきゃやってられないと思うんだけど。そもそも、アイワード、何でルークがアイワードの物みたいに決定した言い方してんの? アイワードの頭の中じゃ、ルークは既にアイワードの物なのか…。ひどい妄想だよね。
「そうだ! 私のルークが怪我をしたらどう責任をとるつもりだ!」
責任も何もないだろう、アフライ先生…。そもそもルークがついてくるっていって怪我をしたなら自己責任だし。
「ユー君、魔物退治いくのぉ? 頑張ってねぇ」
マー先輩…、やっぱりまともなのマー先輩だけだよね。このハーレムの中で。そもそも何で他のハーレム達は、自分たちが週末にルークと過ごす事を決定した言い方してるんだろうか。ルーク何も発言してないんだが…。
「で、ルーク。どうすんの? あんまり人数いるとアースも嫌がるし、来るならルーク単品で来てもらった方が楽なんだけど」
「確かに…、兄上沢山人がいるの嫌がるからな。今回みたいに出かける場合、人が多いと動きにくいし」
ルークの言葉に僕は頷いた。
探検とかそういう事を魔物がいる場所でする場合、余計な人が多いと動きにくいのだ。昔森とかに行く際に、ルークが何人もの女の子を侍らせてきて、そのせいでアースはうんざりしていた。その事から、ルークはこうやって出かけるときにあんまり人を連れてこなくなった。
今までのハーレム陣達はルークが拒否すれば頷いてくれたけど、このハーレム達はどうだろうかって不安はあるが、こういう場合ルークは一応きちんと断ってくれる。
「…ルークさんのお兄様も一緒なの!?」
「それなら、行くわ! ルークのお兄様なら美形なのかしら?」
「わたくしももちろん行きますわ! ルークのお兄様にご挨拶しなければっ」
「ルークの兄…、山にじゃなくて此処に呼んでぜひとも雑談したいものだ。山から変更しろ、リルード!」
わー、いきなり態度変えたよ。
というか、ルークの兄だからってそんなにアースに近づきたいかね…。頭の中でアースからどうにか口説き落としてルークを落とそうとでも段どりをたててるのかもしれない。
「アフライ先生変更しろってのは無理です。メキシム達も、アース……ルークの兄は沢山ついてこられても迷惑だと思うから、ルークが来るとしてもついてくんのはやめてくんない?」
ため息交じりにそう言えば、思いっきり睨まれた。
そうはいっても、山とかに行くのについてこられると迷惑。そもそも僕、ルーク、アースは幼なじみだから互いに実力知ってるし探検とか行きなれてるからいいけど、担任はともかくとしてメキシム達は魔物と対峙した事なんてないだろうし。
「なっ…私たちはルークさんと一緒に居たいんです!」
「…ルーク、お前結局どうすんの? 来るならしっかり、そいつら諦めさせろよ」
「んー…行きたい、けど」
「行きたいなら、一応アースに連絡しとくから、そいつらどうにかしろよ?」
僕はそれだけ言うと、自分の席について、読書を開始した。
隣から、ルークとハーレム陣達の言い争いみたいなのが聞こえてくるが、僕はホームルームの時間まで黙々と本を読み続けた。ちらっと、言い争いに視線を向けると、ルーク達が言い争う傍らでマー先輩だけが困ったような表情を浮かべていた。