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EVOLVE〜エヴォルヴ〜 Season9 ― 見えない影と、暴かれる真実 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルヴ〜 Season9 ― 見えない影と、暴かれる真実 ―
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第7章 崩れる静寂 ― 結月の涙と、環の痛み ―

午後の会議室。

なぎがリンクル側の担当者と話している間、

たまきは資料整理を終えて、会議室の端でそっと息を整えていた。


そこへ、ドアが控えめにノックされた。


「し、失礼します……。」


震える声。

入ってきたのは——


芦野結月あしのゆづきだった。


昨日とは違い、

顔色は青白く、目の縁は赤く腫れている。


環はすぐに気づき、声をかける。


「芦野さん……大丈夫ですか?」


結月ゆづきは唇を噛み、俯いたまま小さく頭を下げる。


「すみません……私……どうしても、1度……お礼と……謝罪を……」


「謝罪……ですか?」


結月は必死に言葉をつなぐ。


「わ、私の……せいで……

 漏洩が……。

 Insertキー……押したの、私なんです……!」


椅子の背もたれをぎゅっと握りしめ、

声が震えていた。


環は席を立ち、結月のそばまで静かに歩み寄る。


「芦野さん。

 あなたのせいではありませんよ。

 “仕組まれた罠”なんです。」


「で、でも……押したのは私で……

 私がもっと気をつけていれば……」


環は首を横に振る。


「……あの……少しだけ、聞いてもらえますか。」


結月が涙をこらえたまま顔を上げる。


「私も……以前、“あのような事件”を経験しました。

 たまたま触れた場所が……“仕掛け”になっていて……

 私のせいじゃないのに、周囲はそう思いました。」


結月は驚いたように息をのむ。


なぎは手を止め、しゅうも静かに2人の方を見ていた。


環はゆっくりと言葉を紡いだ。


「……だから、芦野さん。

 同じ苦しみを、あなたに背負わせるわけにはいきません。」


結月の目に涙が溢れる。


「……っ……でも……どうして……

 そんなふうに……言ってくれるんですか……」


環は小さく微笑んだ。


「あなたが、昨日……とても困っていたからです。

 誰でも……困っている人は、助けたいです。」


その言葉に、結月は堰を切ったように泣き崩れた。


「……怖かったんです……

 自分が悪いんだって……

 もう……仕事も続けられないんじゃないかって……」


環はそっと背中に手を添える。


「大丈夫ですよ。

 私たちが原因を必ず見つけます。」


凪が柊と視線を交わし、

静かに言った。


「芦野さん。

 僕たちが“真犯人”を突き止めます。

 だから、あなたはひとりで背負わないでください。」


柊も、落ち着いた声で続ける。


「ここから先は、俺たちの仕事だ。

 安心して任せてください。」


結月は涙の中で、必死に頷いた。


その姿を見ながら——


環の胸もまた、

あの日と同じように

少しだけ、きゅうっと痛んだ。


(……もう誰も、同じ思いをしてほしくない……)


その静かな誓いを、

胸の奥に刻みながら。

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