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EVOLVE〜エヴォルヴ〜 Season9 ― 見えない影と、暴かれる真実 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルヴ〜 Season9 ― 見えない影と、暴かれる真実 ―
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第4章 ゆっくりと迫る影 ― 宮野の痕跡、波多野の視線 ―

リンクルのシステム管理室には、

独特の静けさが漂っていた。


蛍光灯の白い光が、

モニターの青い画面に淡く反射している。


「……ここが、作業端末のフロアです。」


案内したのは、瀬尾尚輝せおなおき

物腰は柔らかいが、声には焦りが滲んでいた。


なぎはすでに端末へ歩き、

ログのバックアップを手際よく開いていく。


「ふむ……Insertキーと、Escキー……?」


しゅう瀬尾せおに確認する。


「はい。どちらも“誤操作の可能性があるキー”なんですが……

 2回押されていた履歴が、不自然なタイミングで残っていて……。」


たまきは、瀬尾に丁寧に尋ねる。


「この端末を使用されていたのは……芦野結月あしのゆづきさん、ですよね。」


「そうです。彼女……その……とても混乱していました。」


環は小さく頷き、

柊と凪の背中を見つめる。


(凪くん……どんな仕組みなのか、気づいたかな……)


凪の指先は止まらない。

モニターに映るログが、テンポよくスクロールしていく。


「……これ、“あとから付け足された”ログだな。」


柊が横から覗き込み、眉を寄せる。


「不自然に空白がある。

 ログの“間”が不規則だ。」


環は息を飲む。


「つまり……操作ミスではない、ということでしょうか。」


「ええ。誰かが“ミスに見せかけた”可能性が高いですね。」


瀬尾の顔色が変わる。


「そんな……内部の人間が!?」


凪はモニターから目を離さずに言った。


「内部か外部かは、まだ判断できないですけど……

 この端末には“クセのある仕込み方”がされてます。」


クセ——その言葉に、柊が反応する。


「ああ。なんとなく……凪。心当たりが?」


凪は苦笑するように頬を掻く。


「はい。ちょっと……“いや〜な感じのする仕込み方”です。」


環の胸がざわりと揺れた。


(“クセのある仕込み方”……

 あの時のクロノスの事件と……似ている……?)



◇◇◇



そのころ——

フロアの端で、波多野樹はたのいつきが静かに立っていた。


腕を組み、

3人の動きを観察するように。


ふと波多野はたのの視線が、

環へと向く。


環は気づかない。

ただ淡々と、柊の指示に従い、必要なログを並べていく。


波多野は小さく笑みを浮かべた。


(……やはり。

 彼らは “本物” か。)


そして、誰にも聞こえないほどの声でつぶやいた。


「さて……君たちは

 “JOKER” の存在まで辿りつけるかな……?」


蛍光灯の光が、

彼の目にだけ薄く冷たく反射していた。

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