第42章 ①最終攻防(The Last Break)
■決着直後 —— 柊の“震え”と環の言葉
ぽかぽか邸の空気が、
戦いの終わりとともに急に静かになった。
柊はゆっくりと画面から視線を外し、
隣で見守っていた環を見た。
次の瞬間——
柊は環を強く抱きしめた。
まるで環が、
今抱きしめていないと消えてしまいそうなほどに。
環は驚いた。
柊の胸と腕が……震えていた。
「……柊……震えて……」
柊の声は、
これまで聞いたことがないほど掠れていた。
「……怖かった……
環を……失うと思ったら……
怖くて……たまらなかった……」
環は胸がぎゅっと締めつけられる。
そっと腕を回し、
柊の背中をやさしく包んだ。
「……柊も……怖かったんですね……」
柊は小さく、苦しそうに笑った。
「ああ……怖かった。
でも……環が隣にいてくれたから……
俺は……強くいられた。
戻ってこられた……
本当に……ありがとう、環。」
環は柊の肩に顔を寄せ、
静かに目を閉じた。
「……柊……わたしも……ここにいます。
ずっと……」
ふたりはしばらく
言葉もなく抱き合ったまま動かなかった。
まるで互いの温度を確かめるように。
ぽかぽか邸のリビングの入口から、
灯がそっと手を胸に当て、ほっと息をつく。
結月も涙をこぼしながら、小さく頷いた。
(……あの子たち……本当に……
心の底から大切に想ってる……)
(……よかった……本当に……
終わったんだ……)
静かな光に包まれたぽかぽか邸。
影の戦いの終わりを告げる、
ふたりの“確かな抱擁”だった。




