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EVOLVE〜エヴォルヴ〜 Season9 ― 見えない影と、暴かれる真実 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルヴ〜 Season9 ― 見えない影と、暴かれる真実 ―
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第3章 リンクルからのSOS ― 呼び出された3人、動き出す真実 ―

午前10時過ぎ。

アークシステムズのオフィスに、1本の電話が入った。


「……リンクルの小鳥遊たかなしと申します。

 大塚柊真おおつかとうまさん、いらっしゃいますか?」


電話を受けたなぎは、すぐに柊真とうまを呼びに行き、

オフィスの空気がわずかにぴんと張る。


数分後。会議室。


小鳥遊幸太郎たかなしこうたろうが深々と頭を下げる。


「大塚さん……本当に申し訳ない。

 うちで、顧客情報の漏洩が発生してしまいましてね。」


柊真は穏やかな声で答えた。


「状況を順にお聞かせいただけますか。」


小鳥遊は額の汗をハンカチで拭いながら言葉を続ける。


「情報システム部では……

 “基盤の設計に欠陥があるかもしれない”と。

 再発防止のためにも、貴社にご協力いただきたいのです。」


小鳥遊はそこで一度視線を落とし——

今度は静かに笑った。


「それに……大塚さんの甥御さん、如月柊きさらぎしゅうくん。

 クロノス時代に助けてもらったことがありましてね。

 彼なら安心して任せられる。」


しゅうは照れたように、しかし誇らしげに笑う。


凪がひょいと顔を出す。


「小鳥遊さん、あの……漏洩の規模って、どれくらいなんですか?」


「そこがまた、妙でして……

 漏れたのは“ほんの一部の顧客情報”なんです。

 大量流出ではない。

 原因が、どうにもつかめない。」


(ほんの“一部だけ”……?)


凪の目が鋭く細まる。


たまきが隣でメモをとる。


柊が落ち着いた声で言った。

「調査をさせていただくにあたり、

 作業環境とログの提供をお願いできますでしょうか。」


小鳥遊はホッとしたように頷く。


「もちろんです、如月さん。

 すぐに準備させます。」


柊が席を立ち、柔らかく頭を下げる。


「では、現場に伺います。

 凪、環、準備を頼む。」


「了解です、柊先輩!」

「はい、すぐに準備します。」


3人が会議室から出た瞬間——

環の胸が小さく、ぎゅうと痛んだ。


(“一部の情報だけが漏れた”……

 あのときと……似てる……)


気づかないふりをしたかった痛みは、

すぐ隣を歩く柊には伝わっていた。


「環。無理に平気なふりをしなくていい。」


「……っ。柊……」


「環さん。大丈夫です。柊先輩と僕がいます。」


凪も振り返り、やわらかく笑った。


「環さん、今回はあの時とは違う。

 絶対に、同じことはさせません。」


環は小さく息を吸い、

胸の痛みが少しやわらぐのを感じた。


「……はい。ありがとうございます。」


3人は並んで歩き出す。

外は曇り空。

しかし、これから向かう先では——

もっと濃い“影”が待っていることを、まだ知らない。

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