第34章 コードの迷宮(Labyrinth of Shadow) ― 影が創った“嘘の世界”の中へ ―
アークシステムズのセキュリティルームに
Shadow が送り込んだ黒い画面が、突然“形を変えた”。
黒が、波紋のように丸く広がっていく。
深淵に呑まれる感覚——
人間なら思わず息を呑む、そんな“異質な美しさ”。
蒼真がすぐに呟いた。
「……これは……“多層レイヤー迷宮”……!」
凪が眉を寄せる。
「Shadow……本気で来ましたね……」
◇◇◇
■ Shadow の迷宮:その構造
画面に、数十の“扉”のようなウィンドウが次々と生成される。
そのひとつひとつが
“出口のフリをした偽物”。
蒼真が冷静に解析を始める。
「この迷宮……
レイヤーが何重にも重なってる。」
凪は画面を横から覗き込みながら指を鳴らす。
「しかも……“動いてる”。
少しでも迷ったら、迷宮そのものが書き換わる……!」
柊は腕を組み、静かに言った。
「Shadow の目的は2つだ。
1つは“混乱させること”。
1つは“焦らせること”。
そしてその両方が揃えば——
俺たちは必ず“間違った出口”を選ぶ。」
凪は息を整えた。
「柊先輩、僕……行きます。」
蒼真も頷く。
「僕も。
迷宮の“軸”を探す。」
柊は2人の背中に向けて言った。
「——必ず戻ってこい。
Shadow の誘導に飲まれたら終わりだ。」
◇◇◇
■ 凪の領域:迷宮を“見抜く眼”
凪が迷宮の入口へ“アクセス”した瞬間——
景色が変わった。
凪の画面だけが、まるで VR空間 のように立体的に歪む。
「……すげ……
これ、“コードの迷路”を立体で見せてるのか……」
迷宮が凪に語りかける。
《ようこそ、陽翔。
お前の“弱点”は、焦りだ。
昔から変わらないな?》
凪は冷静に笑った。
「弱点なら……克服しましたよ。
こっちには仲間がいますから。」
画面が一瞬だけ揺れた。
迷宮の一部が“赤”に光る。
「凪!その赤い部分……コアではない。
『誘導』だ!」
「了解!」
凪は指を滑らせ、
赤い出口を “全部無視”。
その代わりに、
影のように薄い“青い線”を追った。
「見えた。
迷宮は“出口”じゃなくて、
“入口から出口までの動き方”が正解なんだ。」
◇◇◇
■ 蒼真:Blue_echo による“精密な分解”
蒼真が同時に解析を続ける。
「迷宮は……全体でひとつの構造。
凪が追っている青い線が“心臓部”。
僕はその“鼓動”を追う……」
静かに、指が踊る。
——パラパラパラッ……!
複雑な数学式、暗号アルゴリズム、偽装レイヤー。
影が作った難解な迷宮が
蒼真の手で“透明化”されていく。
「蒼真さん、迷宮の“形”が見えてきました!」
「そこだ、凪!
そのまま青いラインだけを追え。」
◇◇◇
■ 柊:司令塔として全体を見る
柊は2つの画面を同時に見ていた。
凪の迷宮。
蒼真の解析。
Shadow の揺さぶり。
そして、すべての動きを“心で繋げる”。
「凪……そのラインの先で、
Shadow は“出口を潰しに来る”。」
「来ますか……!」
「来る。必ず。
だから——
お前は“出口ではなく、その瞬間”に備えろ。」
凪は深く頷く。
「柊先輩……了解です。」
◇◇◇
■ Shadow の反撃開始
突然、迷宮の全レイヤーが“反転”した。
迷路の形が一気に入れ替わる。
「うわっ……!」
「来た……!
これが Shadow の“本気の揺さぶり”……!」
画面に新しい文字が浮かぶ。
《追いつけるか?
昔からお前は“遅かった”。
凪陽翔。》
凪は笑った。
「僕には……
柊先輩と蒼真さんがいますから!」
柊は声を張った。
「今だ、凪!
迷宮の中心“Shadowの本当の出口”を見ろ!!」
◇◇◇
■ 凪の目に、ひとつの“穴”が光る
迷宮が完全に入れ替わった瞬間。
凪の画面の右端に、
ほんの一瞬だけ——白い“点”が光った。
「……見つけた……!」
「凪!!!
それ……“唯一の正解”だ!!」
凪は勢いよく指を叩く。
「“迷宮の出口(Gate of Shadow)”開けます!!」
——バチィィィィン!!!
黒い迷路が破れ、
画面にひびが走り、
“影の向こうにいる本物(Shadow)”
がついに姿を現した。




