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EVOLVE〜エヴォルヴ〜 Season9 ― 見えない影と、暴かれる真実 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルヴ〜 Season9 ― 見えない影と、暴かれる真実 ―
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第27章 黒幕の揺さぶり ― “触れてはいけない”メール ―

ぽかぽか邸の午前。

あかり結月ゆづきが静かに過ごしていたその時――


ブルッ……


灯のスマホが震えた。

画面には差出人不明。件名なし。本文もなし。


ただ、URLらしき文字列が1行だけ。


結月が不安そうに尋ねる。


「灯さん……何か……?」


灯は目を細め、結月の手をそっと押し戻した。


「触らないで。これは……危ない。」


結月は息を呑む。


(どうして……? ただのメールなのに……)


灯はすぐにスマホを裏返し、

画面を伏せたまま、短く息をついた。


そして――

しゅうへ電話をかけた。


「柊くん。……来たわね。」


電話口の柊は、一瞬で空気を変えた。


『灯さん。結月さんには触らせていませんね?』


「もちろん。あれを触る気にはならなかったわ。」


『……たまきなぎにも確認する。

 絶対に開かないでください。

 “メールがトリガー”になっている可能性があります。』


灯の目が鋭く光る。


「……やっぱり、そう。」


横で聞いていた結月は、顔を青ざめさせた。


「メールが……トリガー……?」


灯は結月の肩に手を置き、落ち着いた声で言った。


「あなたが怖がる必要はないわ。

 危険を判断するのは……あの子たちの仕事だから。」


その時――


ブルッ…… ブルッ……


ぽかぽか邸のテーブルに置かれた結月のスマホも震えた。


「……え……?」


「触らないで。」


結月の手が空中で止まる。


(……怖い……でも……灯さんがいる……)


灯は深く息を吸い、

再び柊に報告した。


「柊くん。結月さんのスマホにも……同じものが届いたわ。」


『……了解です。こちらも、いま全員に届きました。』


灯は目を細める。


「全員……?」


『ええ。“全員同時”です。

 これは……クロノス側の明確な“揺さぶり”。』


灯は静かに呟く。


「ゲームが……始まったということね。」



◇◇◇



その頃、アークシステムズ側。


桐生蒼真きりゅうそうまのスマホにも、同じメール。

なぎのスマホにも。

たまきのスマホにも。


「うわ……なんですかこれ。

 怖いんですけど。」


「柊……何か……ありますか……?」


しゅうは4人の前にスマホを広げ、

低い声で告げた。


「絶対に触るな。

 これは……“誘導型トリガー”だ。」


「誘導型……?」


蒼真そうまが静かに説明する。


「送られただけでは作動しない。

 “開いた人間の端末だけ”を汚染する仕組みです。

 そしてたぶん……

 “開いた人間の居場所”が特定される。」


凪は顔を青ざめさせた。


「完全に、僕たち狙い……?」


柊は冷静に頷いた。


「そうだ。

 このメールは“ただの挨拶”だ。

 黒幕からの……な。」


環の手が震える。


「……わたしたち……狙われている……?」


凪は環の手を包み、優しく言った。


「大丈夫ですよ。環さん。

 僕らは慣れてますから。

 ……隣には柊先輩と蒼真さんもいますし。」


柊は環を守るようにそばに立ち、


「ここから先は、俺たちが張る。

 環……灯さんのそばにいてくれ。」


環は頷きながら、言葉を絞り出した。


「……柊……凪くん……蒼真さん……

 どうか……気をつけてください。」


蒼真は微笑む。


「大丈夫です。

 僕たちは“ただの技術者”ではありませんから。」


凪が明るく言う。


「行きましょう。

 “影”が揺らしたのなら……返しに行かないと。」


柊はドアを開けた。


「黒幕が仕掛けたなら、

 俺たちも動く。

 ――アークシステムズ、作戦開始だ。」


4人の背中が、決意を帯びて歩き出す。



◇◇◇



ぽかぽか邸では――

灯がスマホを伏せたまま、結月を抱き寄せていた。


「灯さん……怖いです……」


「大丈夫よ。

 あの子たちは――

 “影より強い光”を持ってる。」


結月の胸に温かさが広がる。


(……環さんたちが……守ってくれる……)

(……わたしも、この家の一員なんだ……)


灯は静かに窓の外を見つめた。


その瞳には――

影と向き合う覚悟が、確かに宿っていた。

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