第25章 新たな“影”と、蘇る黒幕の気配 ― New Shadow, Rising Darkness ―
〈第2幕:プロローグ ― New Shadow, Rising Darkness ―〉
ぽかぽか邸を出た柊、凪、蒼真、環の4人は、
夕暮れの街を横切りながら、
すでに“次の波”が押し寄せていることを
胸のどこかで感じていた。
波多野樹という“ひとつの黒(Darkness)”が崩れた今——
その奥に潜んでいた“本物の影(Shadow)”が、
そっと姿を現し始めていた。
それは偶然ではなく、
必然に似た匂いを放っていた。
柊が静かに言う。
「……次は、もっと厄介だ。」
凪は軽く首を回して肩をほぐす。
「ですね。波多野さんは“表の事件”。
こっちが“本番”っぽいですよ、柊先輩。」
蒼真は歩きながら端末を確認し、
眉をひそめる。
「“手の跡”が完全に消されている。
……消されているのに、消し方が完璧すぎる。」
環は、隣で緊張を隠さずに尋ねた。
「……つまり……?」
桐生蒼真の答えは、
冬の夜風のように冷たく、鋭かった。
「“プロ中のプロ”が動いたということです。」
凪の表情が変わる。
「……クロノスの“奥”か……。」
柊は歩みを止め、空を見上げた。
「波多野は……ただの“囮”だ。
本当の黒幕は、そのずっと奥にいる。」
環の喉がきゅっと鳴る。
(……まだいる……波多野さんの後ろに……)
蒼真は端末を閉じ、淡々と告げた。
「だからこそ。
俺たちが動く理由がある。」
凪がくっと笑う。
「よし……“凪の領域”第2ラウンド、行きますか!」
柊が頷き、環の肩に手を置く。
「環。怖がらなくていい。
俺がいる。……全員で行く。」
環は小さく息をつき、笑顔を浮かべた。
「……はい。わたしも……一緒に行きます。」
4人は歩き出す。
ちいさな“影(Shadow)”がかすかに揺れ、
遠くのビルの窓に
“闇(Darkness)”の輪郭が映る。
それは、
ただの事件の続きではない。
これは核心へ踏み込む、第一歩だった。




