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EVOLVE〜エヴォルヴ〜 Season9 ― 見えない影と、暴かれる真実 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルヴ〜 Season9 ― 見えない影と、暴かれる真実 ―
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第24章 新たな波紋 ― 再び動き出す黒い影、そして目覚める“凪の領域(テリトリー)” ―

ぽかぽか邸の朝は、やわらかい光と温かい匂いから始まる。


たまきが淹れたハーブティーの香りが部屋に広がり、

あかりは静かにノートPCを開いて仕事をしていた。


結月ゆづきはキッチンの隅でカップを持ちながら、

“ここにいる自分”がまだ少し信じられないように周囲を見ていた。


なぎが気づいて声をかける。


「結月さん、ゆっくり飲んでくださいね。

 ここでは緊張しなくて大丈夫ですよ。」


結月は小さく頷く。


(……こんな場所があるなんて……)


その穏やかさの中、

しゅうのスマホが振動し、画面を見た瞬間、眉が寄った。


「……蒼真そうまからだ。

 “新しい動きがあった”って。」


環の手が止まり、不安げに柊を見る。


「……また、何か……?」


柊は穏やかに環の頭を撫でる。


「大丈夫だ。すぐ確認してくる。」


凪も表情を引き締めた。


「じゃ、ぽかぽか邸オフィスに集合ですね!」


桐生蒼真きりゅうそうまと合流し、4人はリビングの特設作業スペースに集まった。


灯と結月も、少し離れて様子を見守る。



◇◇◇



■ 蒼真が見つけた“わずかな揺らぎ”


蒼真は端末を開き、静かに言った。


「ログの一部に、わずかに“手が入った形跡”があります。

 けれど……あまりにも丁寧すぎる。」


柊が眉を寄せる。


波多野はたのの仕業じゃないな。」


なぎが画面を覗き込んだ瞬間、

その目が一瞬だけ鋭く光った。


「……これ……“触った痕跡”があるのに

 タイムスタンプだけ動いてない……?」


「……っ!?

 気づいたのか……?

 俺でも見落としていたのに……」


「はい。“凪の領域テリトリー”入りました。」


柊はふっと笑う。


「久しぶりに出たな、その顔。」


蒼真も珍しく口角を上げる。


「じゃあ……やるか。

 《Blue_echo》の続きだ。」


「いいですね!行きましょう、蒼真さん。」



◇◇◇



■ 天才SE“凪の領域テリトリー” × 天才リブーター“Blue_echo”


連携がはじまる


凪が“揺らぎの位置”を指で示すだけで

蒼真の手が、まるでそれを追うように深層へ潜る。


――パチッ。


ログが次々と開き、コードが光のように走る。


柊は全体を俯瞰し、必要なタイミングで判断を下す。


環は息を呑みながら、その動きを見ていた。


(……すごい……

 凪くんと蒼真さん……呼吸がぴったり……)


「蒼真さん、次の“刺し”来ますよ。

 3秒後、このラインに入ります。」


「合わせる。3(スリー)、2(ツー)、1(ワン)……GOゴー!」


――ガッ。


一瞬、ログが弾けるように開いた。


「……見えたな。」


「はい。

 “クロノス・ソリューションズの影”が出ました。」


蒼真は小さくため息混じりに笑う。


「完全に消したつもりなんでしょうけど……

 このチーム相手じゃ無理ですね。」


柊が結論を告げる。


「追うぞ。

 波多野の裏には……

 まだ“誰か”がいる。」



◇◇◇



結月ゆづきの胸にともる光


遠巻きに見ていた結月は、ぽかぽかと胸が温かくなるのを感じていた。


(……すごい……この人たち……

 誰かのために、本気で動いてる……

 わたし……この場所にいていいんだろうか……)


そのとき。


あかりがそっと結月の横に座る。


「あの子たち、優しいでしょう?」


結月ははっとしてうつむいた。


「……はい……

 本当に……優しい人たちですね……」


灯は穏やかに微笑む。


「環もね……昔のあなたと同じだったのよ。

 自分を責めて、心を閉ざして、

 苦しいのに『大丈夫』って言う子だった。」


結月は驚いて灯を見る。


「……環さんが……?」


灯はうなずき、続ける。


「でも……あの子は救われたの。

 柊くんと凪くんの手で。

 だからきっと——

 あなたのことも、環は自分のように支えたいと思ってる。」


結月の目に涙が溜まる。


「……わたし……

 ここにいても……いいんでしょうか……」


灯は結月の手を包み込んだ。


「いいのよ。

 安心して。

 ここにいる間——

 あなたは“守られる側”でいていい。」


結月はこくんと頷き、涙を落とした。


(……この場所の温かさに……触れていたい……)



◇◇◇



■ 再び、物語は動き出す


しゅうが振り向いた。


たまきあかりさん、結月ゆづきさん。

 これから少し動く。

 灯さん、留守を頼んでもいいですか?」


「ええ、もちろん。

 結月さんはわたしと一緒にいましょう。」


環も微笑む。


「はは、お願いします。

 結月さん……大丈夫。戻るまでゆっくりしててくださいね。」


結月は涙を拭いて小さく頷く。


「……はい……環さん……」


凪は笑顔で手を振る。


「じゃ、行ってきますよ!

 コンビ復活ですからね!」


蒼真も静かに続く。


「黒幕を暴きに、行きましょう。」


夕暮れの光を背にして、

4人は新たな局面へと歩き出した。


――事態は、静かに、しかし確実に進んでいる。

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