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EVOLVE〜エヴォルヴ〜 Season9 ― 見えない影と、暴かれる真実 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルヴ〜 Season9 ― 見えない影と、暴かれる真実 ―
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第23章 朝の光と、新たな兆し ― “再出発する人”と “動き出す者たち” ―

ぽかぽか邸の朝。

カーテン越しの光が、静かに部屋を照らしていた。


結月ゆづきはソファで目を覚ました。

毛布はふわふわで、あたたかい香りがした。


(……起きたら……寒くない……

 ここは……なんて優しい場所なんだろう……)


ゆっくり身体を起こすと、

キッチンから穏やかな声が聞こえてきた。


「結月さん、おはよう。よく眠れた?」


あかりがコーヒーを淹れながら微笑む。


「……はい……あの……すみません……

 昨日は……泣いてばかりで……」


灯は頭を振り、そっと近づく。


「泣いていいのよ。

 涙ってね……心が呼吸するためのものなの。」


結月の胸がまた熱くなった。


そこへなぎが元気よく現れる。


「おはようございます!

 朝ごはん、しゅう先輩が作ってくれてますよ!

 今日は“回復メニュー”です!」


たまきも両手を合わせて微笑む。


「結月さん、昨日より……顔色が柔らかいです。」


結月は恥ずかしそうに目を伏せる。


「……あたたかくて……

 久しぶりに……眠れました……」


環はそっと笑った。


「よかった……」


柊がエプロン姿で現れ、小さく言った。


「無理はするな。

 今日はここでゆっくりしていけ。」


その言葉に、

結月の目がまたじわっとうるむ。



◇◇◇



朝食のテーブルには、

ほかほかのスープ、温野菜、やさしい味の卵料理。


結月はひと口食べて、

ふわりと肩の力が抜けた。


(……なんてやさしい味……

 こんな朝……いつ以来だろう……)


灯が言った。


「結月さん。焦らなくていいわ。

 あなたは今日から“やり直す準備”をすればいいの。」


結月は胸に手を当て、小さくうなずいた。


「……はい……」



◇◇◇



その頃、アークシステムズでは。


桐生蒼真きりゅうそうまがリンクル社から戻る運転中、

スマホが震えた。


画面には、

「アトラス・インテリジェンス」 の名前。


灯が所属する派遣会社——

結月を受け入れる予定の場所。


蒼真は眉を寄せた。


(……このタイミングで……?)


通話に出る。


『桐生さん……大変です。

 昨日の件が、別の場所に“波紋”を広げています。』


蒼真の表情が一気に鋭くなる。


「詳細は?」


波多野はたのの関係者が……

 別の企業で“同じ不正の種”をまいていたようです。

 こちらでも緊急対応が必要になります。』


蒼真は静かに息を吐き、

車内に冷たい緊張が走る。


「……わかった。すぐ動く。」


ぽかぽか邸のあたたかい朝とは対照的に

アークシステムズの前には

新たな問題が、静かに姿を現し始めていた。



◇◇◇



この日、

結月は小さな再出発の一歩を踏み出し、

アークシステムズはまたひとつ“守るべき人”を救う決意を固める。


あたたかさと緊張が交わる朝。

物語は次の局面へ静かに、確かに進んでいく。

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