表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美少女おにぎり  作者: 星島新吾
2章 パラダイスリゾート編
62/64

62.いざ教会

「んで、久しぶりに俺っちの出番ってワケよ」

 ピカピカの褐色頭(かっしょくあたま)のナイスガイ。イソマルト君久々の登場だ。

「その人の体、気に入ってるの? 」

「まあな。小さい割にパワーがある。筋肉の質が良いんだぜこりゃあ 」

 鏡の前で拳を前に突き出す。

 シュ、っという風切り音を口で出しながらのパンチで、体のパフォーマンスを確認。

 いい感じだ。

「彼も一応町の人間だから返して欲しいんだけど。吐き出せるんでしょ? アタシみたいに」

 それをつまんなそうに見ていたマーコはそう言った。その言い方ではまるで人質を解放しろと言われているみたいだった。

「おにぎり回帰の術のことを言ってんだろうけど、ありゃポンポンできるもんじゃねぇの。体内で人間を一から作ってるわけだからな」

 そう聞くと彼女は体を触って、それから口を半分ほど開けて立派なマヌケ面になった。

「えっ…、じゃあ今のアタシの体って…」

「俺っちが魂の情報から作った完璧な別物さ。大変なんだぜ、栄養とかゴッソリ持っていかれるんだからよ。おっきな子供作るみたいなもんだ」

「アタシはアタシじゃないの…? 」

「いやいや、魂はマーコさ。俺達おにぎり族は器を作るのと同時に魂も引っ張って来るからな。マーコはマーコさ」

 そう聞いたマーコは「じゃあ、ご飯を沢山食べたら新しく生めるってこと? 」と言った。もしかしたら彼女は話を聞いていないのかも知れない。

「条件はいくつかある。ただ一番の問題は、俺っちの負担が大きいってとこだな。ミスしたらふっつーに俺っち死ぬからな」

「へー…本当に出産みたい」

「…だからかなりしんどい作業なんだぜ。個人差はあるけど、一度体験したら二度と産みたくねぇって言う仲間もいる。俺っちはしょっちゅう出たり入ったりするから、他の奴らよか、多少慣れてはいるけどさ」

「それじゃあ無理かー」

「そうだな。今後も蘇生を前提にしたプランを組むのも止めてくれ。身が持たねぇ」

「そんなにしんどいんだ? 」

「股の先から生まれてくるか、頭の中から生まれてくるかの違いだろうさ」

「全然想像できないなー」

「だろうな。んなことより、早く教会に行こうぜ」

 ♢♢♢

「お邪魔するぜぇ」

 教会の中に入ると、人の手入れがされていないのか少々埃っぽく、咳が出た。あのスケベな神父は一体どこに行ったのだろうか。

 それを探しながら教会の扉を開けて回っていると、孤児院のシスターに偶然出会った。

「こんにちは」

「あっ、どもっす。神父様探してて…」

「神父様はお亡くなりになりましたよ」

「ま~じっすか。なんでか知ってます? 」

「いいえ」

 彼女の言い方は淡々とした言い方だったけれど、それは神父様が死んで時間がたったからなのかも知れない。

「ではココの管理は今…? 」

「…さぁ? 信仰を失った教会に価値はありませんから」

 孤児院の女は一人で教会のアポライ神に祈りを捧げて、去って行った。その後ろ姿はどこか冷たく見えた。

「イソマルト君、今アナタが考えてること当ててみてもいい? 」

「俺っちが考えてること? 」

「神父が死んでてラッキー。……でしょ? 」

 ぶるっと、肩が震えた。

 普通のトーンでそんなことを言わないでいただきたいものだ。というか、普段馬鹿っぽく振る舞っている癖にたまに人格が変わったように鋭い指摘をしてくるのは何なんだ。温度差で僕を殺す気か。

「おいおい。おいおいおい。俺っちがそんな最低野郎に見えるってか。なんで死んじまったのか考えてたのよ。やだなぁ~もう」

 あの占領戦の最中か、それともその後に亡くなったのか、それは分からない。ただ去って行ったあの女の神父に対する物言いは、とても冷たくかんじた。まるで、死んだ方が良かったなんて、思っていそうな声だった。

 そんなことを思いつつ、僕は教会奥にある例の部屋に足を踏み入れた。長方形の石棺の下は以前マーコが言っていたように、他の地面とは色が違っていた。辺りをぐるりと回ると、石棺を奥に押して移動させたような跡が見つかった。

 どうやらこの石棺の下には何かがある。

 そう思って好奇心の赴く(おもむく)ままに石棺を押すのは、当然の成り行きだろう。

「階段だ」

「みたいだねー」

 灯りの無い階段が下に続いている。階段の横はスロープになっていて、荷物を上下させられるようになっていた。

「行くぞ」

「暗くない? 」

 マーコの言葉に、彼女は灯りがなければ先が見えないことを思い出す。足元に置いてあった蝋燭(ろうそく)を互いに一つずつ持って、その灯りを光源に下の探索を始めることにした。

 階段を下りていくにつれて、肌で冷気が感じられるようになっていった。環境だけのものではないだろう。

「なんだかとっても湿っぽい…かも? 」

 マーコもそう言いながら後ろからついてくる。

 階段を降りると、下は剥き出しの石が冷たい通路のようになっていて、僕達は小さな蝋燭を頼りに歩いた。

「ねぇ、なんで私の手を掴んでるの? 」

 後ろからするマーコの声に立ち止まって答える。

「なんでって…転んで頭を打たないように? 」

 地面は湿り、いつ転んで怪我をしてもおかしくない状況だ。地面は凸凹もしているし、転倒でまた皮娘を呼ぶのは面倒だから手を引いている。まさか一言貰ってから手を取って欲しかったなどとは言うまいな。

「ああそう言う…、てっきり私に背後から攻撃されないように警戒してるのかと思った」

 コイツの中の僕は未だに彼女を警戒しているみたいだった。本当に馬鹿馬鹿しい。

「んなワケねえだろ、黙ってついて来い」

 それから更に歩いて進んで行くと、

 ぴちょん、ぴちょん、と雫が天井から滴る音が空間に響く、謎の空間に足を踏み入れていた。

「教会の下が…丁度のこの下か」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ