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美少女おにぎり  作者: 星島新吾
1章 デビルサイド編
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59.マーコとハンバーグさん

「…その、おにぎり小僧さんはあの子とどのようなご関係なのでしょうか」

 あの子とはどういう関係と言われても、あの子がどの子か知らないから、それを今から探しに行くのだが。

 一応カマかけの最中だし、知っていることをそれっぽく話しておくか…。

「そうですね……計画の修正をしてもいいと思えるぐらい、あの子にはハンバーグさんについて教えて貰いましたよ。この町の人々に好かれ、様々な方法でこの町に活気を届けていたんだとか」

「あの子がそこまで……」

 彼か彼女か知らないが良かったですね。アナタとても感謝されていますよ。

 そんな話をしながら街中を歩いていると、流石におにぎりボディが魅惑的過ぎるのか、通行人がコチラをずっとチラチラ見てきた。

 これではゴウルにいた時と何も変わらない。おにぎりボディを一度捨てて人間の姿で人探しをした方が良さそうまであった。

 となると、やはり宿屋に戻った方がいいだろう。

 そう思い立つとすぐに宿屋に歩みを進めた。目立ったところで何にもいいことはありませんからね。

 ♢♢♢

 宿屋に戻り、部屋の扉を開けた。マーコが仲間になってから移った新しい部屋だ。

 視界の先には真っ先に奥の窓が目に移る。そして目を下ろすとその窓を対称に簡素(かんそ)なベッドが二つ(はし)に沿って備え付けられていた。マーコのベッドはグシャグシャ、僕のベッドは枕の位置から布団の位置まで完璧に来た時のままだ。

 そして部屋に一つ机があり、その机の前ではマーコが何やら手紙のような物を書いていたようだった。

 ようだったというのは、僕が二階に上がって来る音を聞いてマーコが手紙を書くのを止めて引き出しを開けてその手紙を隠したのが、全て聞こえていたからだ。

 別に何を書いていても良いのだが、布団ぐらい綺麗にしてから作業しても良いとは思った。

「ただいま戻りました」

「はいよー……」

 机に座ってコチラに目を合わせないマーコ。手紙を書いていたことがバレないようにしているのだろうか。

 だとしたら少し可愛さポイントを取られたような気がして負けたような気もするが、今は客人の前だ。可愛さバトルはまた後日に持ち越すとしよう…。

「こちらハンバーグさんだ」

 そう言って扉の後ろにいたハンバーグさんを中に通すと、マーコは一瞬顔をピクッとさせたが、すぐに表情を笑顔にして対応した。

「あ、どうもー……」

 マーコの笑顔の対応になぜかハンバーグさんはぎこちない様子で、頭を深々と下げた。

「どうも。こんばんは」

 領主の癖に一度捕まったせいで、前のような堂々さが一切消え失せてしまっているが、むしろコチラの方が本来の姿のようにも見えた。

「………」

 二人の眼が合ってしばらくの沈黙の後、なぜか僕の方が気まずくなっておにぎりボディを脱いだ。

 今回変身するのは弓使いのセシリー。他にも人間の姿はあるが、この町とも無関係ではない今、無用に顔を増やして雑然とするのが嫌だった結果の姿だった。

「よ、よ~し♪ いくよーおじさん。パパっと見つけましょ。マーコはお留守番ね~」

 そう言うと、マーコは油を指していないブリキみたいに、ギギッと頷いた。一体どうしたって言うんだ。

「…うん。待ってる」

 それに返答も何か変だ。喉元に剣を突きつけているワケでもないのに、こんなに素直なのは少し不気味に思えた。

「うわっなに? やっけに素直じゃない。変なの~…」

 そうして宿を出ると、ハンバーグさんは繋がれていた疲労もあったのか、膝をついてしまった。

「あっちゃー…おじさん無理してたの? ゴメンなさいね、気づいてあげられなくて。肩貸すわ」

「ああ、すまない」

 人探しもこれでは無理だろうし、一度兵舎に戻って明日に備えて貰った方が良いだろう。

「…捜索は中断ね。兵舎に戻りましょ。部屋はそのままだろうし、今日は自分の部屋で休んで明日に備えてちょうだい」

 その後も何度か謝ったりしていたが、そもそもコチラが無理を言って連れ出したのだ。コチラが謝ることはあるにせよ、ハンバーグさんが謝る必要はない。なんだかそれがとても申し訳なかった。


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