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美少女おにぎり  作者: 星島新吾
1章 デビルサイド編
17/64

17.上司の話を聞いていなかった時はどうすれば良いか。

 ♢♢♢

「ネオプロンは高い木をコロニーにすることが多いのは、(けい)も知るところだろうが、なぜそのような場所に巣作りをするか。考えたことはあるか? 」

 森を散策中、おもむろに魔王様はそんな問いを投げかけてきた。

 …単純に外敵が地上に多いからではないだろうか。

 しかしそれではただ、情報から推測できる物事を語るだけに過ぎないし、そんな想像力に乏しい回答を魔王様にするのは気が引けた。

 もっとお道化た、馬鹿馬鹿しいお返事がしたい。

 しばらく考えて、

景観(けいかん)のいい場所で食事がしたいからじゃないですか」

 と、答えた。

「…本気でそう思っているのか? 」

 驚いているのか、キレているのか分からないが、僕が回答に失敗したのは明白のようだ。

「いえ…あの、外敵が少ないからだと思います…」

「うむそうだ、それで―――」

 危ないな…危うく焼きおにぎりになるところだった。

 けれどこの後の会話はどうする?

 先ほど回答を失敗した気まずさで頭が真っ白になる(僕の頭は元から白いが、そう言うわけではない)。

 ……くだらないことを考えている間にも時間は過ぎていく。

 なんでどうでもいいことは考えられるのに、重要なことは頭の中から逃げて行くんだろう。

「―――と、いうワケでやってみろ」

「…えっ」

 二人の間に澄み切った夜の風が過ぎ去る。

 聴いていなかったわけではないのだけれど、緊張で何をいっているのか理解できなくなっただけだと、ワケの分からぬ弁明をする気にもなれない僕は、元気よく、

「やってみます! 」

 と、だけ言って若さを見せた。結局なにをするのか知らないが。

 狩り関係の何かだろう。

 …それでも、もう一度話をして下さいなんて、たとえ頭が裂けても言えることじゃない。

「どうかしたか? 」

 魔王様の声が隣で聞こえる。

「はい」

 元気な返事を返す。幸いなことに、話を聞いていなかったことはバレていない。

 ココで取るべき行動は…これしかない!

 僕は周辺で高い木に手をかける。

「どうした、おにぎり小僧」

 突然の行動に困惑する魔王様。

「まずはネオプロンの気持ちにならねばと」

 いきなり自分の臣下がこんなことを言い出したら怖いだろうな、魔王様。

「ネオプロンの…気持ち? 」

 困惑する魔王様を差し置いて、僕は木の上へ上へと向かう。何が正解かなんてどうでもいい。

 勢いで誤魔化すんだ…何もかも。

 小さい体を尺取虫のように稼働させながら木の天辺付近にまで行くと、都合よく近くにネオプロンの巣を視認する。

 そして巣でコチラを見ている魔物と目があった。

 禿げた頭頂部を持つ、白い体の怪鳥。あれは正しくネオプロンだ。

「ヨシッ! 」

 過程よりも結果が全て。コイツさえ狩れれば、何でもいいのだ。

 すぐさま弓を構え、弦を引いた。

「キィー! 」

 黒板を爪で引っ掻いたような鳴き声で、ネオプロンは威嚇(いかく)してくる。

 うるさい、お前はココで生贄になるんだ。

「まずは一匹! 」

 破裂音と共に、矢でネオプロンの首を貫き飛ばす。

 体の落下地点に魔王様がいないことは確認済みだ。

 それぐらいの冷静さが今の自分にはある。

 ドサッと、音を立てて地面にネオプロンの体が遅れて落ち、それを確認するために

 木から降りると、首が飛んでいてもまだ首から下は生きているようだった。

 しかしこうなっては何も出来ない。心臓を打つなり、持ち帰ってそのまま餓死するまで保存をしてもよい。

 第一目標である食料の確保に一歩踏み出したと言ってもいい成果だ。

「ネオプロン一匹の狩猟、完了致しました」

「うむ。…だが、予は罠の作成を頼んだはずだが? 」

 その言葉で、表面のお米全てが粒立った(ふっくらしているワケでない)。

 そして瞬時に流れ出る滝汗に、意志とは関係なく震える手。

 命令違反に単独行動……うん、謹慎処分ものだな。

 もう限界だ。言うしかない。

「……すいませんでした! 実は先ほど魔王様の御姿に見惚れて、話が飛んでしまっておりました! 」

 そう言って深々と頭を下げて、しばらく経った。

 怒ってないかな?

 そう思ってチラッと首だけ、ギリギリ顔色が(うかが)えるような角度にまで上げる。

「嘘は重ねれば重ねるほど首を絞めることになるが。卿はそれで苦しくないのか? 」

 (さと)すような声で魔王様に(ささや)かれ、僕は(ひざ)から(くず)れ落ちた。

 こ、この御方は僕の更生(こうせい)を望んでおられるのだ…、(はる)かな高みから…!

 そう理解すると、自然とそれは涙となって(こぼ)れた。

「すいません。魔王様に出された問題でダダ滑りしてから、何にも話を聞いていませんでした…」

 そう言うと軽く拳骨(げんこつ)をされた。

 下手に言葉で言われるよりも、優しさの塊のような対応でさらに涙が出る。

「別に怒ったりしないから、次からは正直に申せ。分かったな」

「はい、もう嘘はつきません」

「無理な宣言もする必要はない」

 魔王様はそう慰めてくださったが、自分が許せないのだ。コレはケジメだ。

「いえ、もう絶対に嘘はつきません! 」

「やれやれ…」

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