20. Interlude
20. My Little Winter
これは閑話です。
物語には全く関係の無い作者の息抜きですので、読み飛ばすことをお勧めします。
いつもFenrirの話に付き合って下さりありがとうございます。
初めましての方は初めまして。前作読んで下さった方はご無沙汰しています。灰皮と言います。
前作を読んだ方はご存じかも知れませんが、1章が終わるか、きりが良い所で、こうしてどうでも良いことを書く場所を設けさせて貰っています。
10万字ぐらい書いてみてから、投稿を始めようかなーと最初は思っていたのですが。
生活環境が変わったこともあり、ペースを掴みたくて投稿を前提の執筆を続けて見ました。
前作が210万字くらいあるので、ここからまた4年ぐらいかかっちゃうのかなあと思うと、気が遠くなりそうです。それ程の分量になるのか、今の時点では定かではありませんが。
今回は、Wolfhoundという前作を踏まえて、ちょっと話をしたいと思います。
Wolfhoundを読んだことが無い方は、読まなくて良いです。「Fenrirが友達だと思ってたTeusに裏切られて、グレイプニルに縛られちゃった。」という話です。何も北欧神話からの逸脱は一つもありません。
1.タイトルが気に入らない。
なので暫定的に変えます、と言うだけの話です。
ウルフハウンド、というのは勿論Teusの蔑称であり、Fenrirを捕縛しようとする世界そのものを現わしている、ような気がして大変気に入っています。
元々は自分のハンドルネームでしか無かったのですが、あまりにもぴったりと嵌ってくれました。
しかし、これも投稿当初は別のタイトルで連載を続けていて、何回か気に入らなくて変更して、今に落ち着いた経緯があります。
で、今「グッドハウンド」というタイトルが、端的に言って気に喰わない。
始めはお察しの通り、ウルフハウンドに対する対比、今度は完全にFenrirが主人公であることを宣言するものとして、「神を狩る猟犬」の名を選んだ訳ですが。
彼にHoundの称号を与えることに納得が行っていない、Gud(=God)への復讐がテーマでは無い(そういう側面もありますが、主のテーマでは無い)ことの2点において、書きたいものとの乖離を感じている次第です。
因みに、前作のテーマは、「拘束」とか「縫合」でした。
今作のテーマは、ネタバレになるのでまだ言えません。
では、これより良いタイトルがあるのか、と言いますと、現状無くて。
最初に幾つか考えてはいましたが、きちんと没になっています。
仮題として、Wolfhound 2にしておきます。(安直)
それだけの話です。
2. 前作よりも書くのがきつい
Gudhoundを執筆するにあたって、一応プロットなるものを書くようにはしています。
ただ、行き当たりばったりの書きながらの自然な展開を優先しているので、全然、参考にはしていないです。
それでも、最後の話だけは、きちんと矛盾なく、蒔いた種の発芽を拝めるようにしたいと考えています。
それと言うのはつまり、Fenrirがどのように死に、また彼を取り巻く友達がどのように死ぬのか、ということです。
ここが、一番難しくて。
Wolfhoundを書き終えてから、Gudhoundの執筆まで1か月かかったのは、この部分でした。
どう頑張ってみても、Fenrirが幸せになるエンドに辿り着かない!
当然、Fenrirは死にます。Odinの息子であるヴイーザルによって、復讐を果たされる運命にあります。
しかし、どのように死ぬかが、前作だけでなく、北欧神話の世界において重要であることをご存知の方もいるかと思います。
勇ましく死ぬか、藁の上で死ぬかで、彼らが赴く死後の世界は、まるで変わってきます。
それは、死後、誰に逢えるか、ということでもあります。
そう言う意味で、彼には、幸せになって貰わなくてはならないのです。
何故なら、その為に書こうと決めたからです。
ただ、私は前作を、それはもう大風呂敷を広げて書き上げてしまったのです。
正直言って、書いていて苦にならないどころか、世界の構築は寧ろ楽な作業でした。
プロットそれ自体を、神話の方が既に提供してくれているが故、また、神話の世界そのものが、ファンタジー要素を含み、題材としやすい側面に救われていた自覚はありました。
しかし、私はミッドガルドに降り立つにあたって、神様の何たるかを、ある程度書き記し、制約を設けてしまったのです。
もう、北欧神話をリスペクトしつつ、適当な世界観を与えるような曖昧さは許されません。
この縛りが、Fenrirをハッピー・エンドから遠ざけています。
具体的には、ガルムのせいです笑。
あいつが、Fenrirに会いたい、でもオ嬢ことヘル女王と離れたくないなどと暴れ回るので、その尻拭いをさせられている格好になります。
それだけ前作を考慮に入れた、矛盾の無い続編を書くのに苦労させられている、と言うことです。
そして寧ろ、此処からが本当に自分の、狼の話を形にしたいという、執筆における粘り強さを試されているのだとも思っています。
今までは、神話に書かせて貰っていた。けれど今は、出来る限りに史実に目を光らせ、思い描いた世界観を植え付けるのに矛盾の無い描写を心がけなくては、忽ち解像度が落ちていく。
実際、10万字ほど書いていて、既に醒めてしまいそうな危機にも何度か逢っています。
まだ、世界というか、思想が固まり切っていないことの証左だと思っていますが、突っ走っていれば自然と構築されていくと信じます。
また4年かかっても良いから、書き上げたい所存です。
私が前作よりも執筆に手こずっている理由は、もう一つあると考えています。
それは、迫力の無い世界に起伏を与えるのが苦手である、と言うことです。
今のところ、派手さが無いと、面白くないと、自分が思っている節があり、良くない所だなと。
確かに、神話の世界で、桁外れに強大な狼が、神様とのやり取りを通して成長していく姿は、想像するだけで楽しかった。現実離れしたアクションシーンも少なからず入れることが出来て、大変満足しています。
端的に言えば、今作は、そのデチューン。
ダウングレードした主人公たちを操り、戦って行かなくてはなりません。
姿かたちは、ただの狼に過ぎず、使える能力も拘束された身では限られてくる。
それを、味の薄い料理としてしまうかどうかは、これからの私の腕次第ということになります。
前作は、ストーリーが(神話のお陰で)面白かった。
今作は、違う面白さを見出し、落とし込んで行かなくてはならない。
少なくとも、ここまでの物語は前提として必要でしたが、書き直したいなあというのが本音です。
それよりは、これからをどう面白くしていくかの方が大事ですが。
SirikiとFenrirのコンビが、これからの会話を賑やかにしてくれるはずです。
そして彼らのやり取りを見て、懐かしさを覚えてくれたなら幸いです。
長くなりますが、またFenrirの話にお付き合いいただければ幸いです。
これからも何卒。
2025.04.29 灰皮




