表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/87

登場人物と狼

はじめまして、灰皮と言います。


北欧神話の大狼、Fenrirが人間界に転移してからラグナロクに神界へ舞い戻るまでの物語です。

グレイプニルによって奪われた半生を取り返すため、

長話になりますが、彼の旅路に付き合って貰えると嬉しいです。


Wolfhoundを読んで下さった方へ

ご無沙汰しています。前作を読んで下さりありがとうございました。

いよいよ後半戦です。

Fenrirが幸せな最期を迎えられるよう、気を引き締めて執筆して行きます。


2025.02.11 灰皮

Characters


Fenrir (フェンリル/フェンリスヴォルフ/フローズヴィトニル)

北欧神話の世界に産まれた巨大な狼。産まれた当初こそ普通の狼として扱われていたが、予言は神々の世界に災いを齎す怪物であると主神に告げる。

神々は世界を脅かす怪物をグレイプニルと呼ばれる魔力の紐で拘束することに決めた。フェンリルは、とある神様の右腕を人質に、その拘束下に置かれることを承諾するが、どうやら助からないことを悟ると、神々の裏切りの代償として右腕を喰いちぎり、封印の微睡みに眠っていったのだった。


時は流れ、神々への復讐を誓ったフェンリルは、自らのコピーを狼として産み落とし、人間の世界で暗躍する。

理想の大帝国を築き上げた彼は、グレイプニルを解く術の探求の果て、遂に自らを神々の世界に開放するに至った。

世界が終わる日、ラグナロク。己を縛る鎖を喰いちぎった彼は、望まれた通りの怪物として、人々を喰い殺していく。遂には主神をも屠るほどにフェンリルの力は強大であったが、結局は彼自身もまた、復讐によって命を落とすのであった。




Siriki Lawrence (シリキ・ローレンス)

ヴェリフラート公国城下町で小さな飲食店を営む一般市民であったが、スウェーデンより南下を続けていたヴァイキングによる寄港の侵略により、香辛料を初めとする貿易に頼った品々の調達が困難となる。

資金源を傭兵業に頼らざるを得ず、ヴァイキング迎撃を目的とした第四次義勇兵として志願するが、長期化し疲弊した戦場は拮抗状態が崩れつつあるのを感じ、また身寄りもなく今も一人で自分の帰りを待ち続ける妻の身を案じ、逃亡を決意した。


しかし命からがら帰投した故郷は、既に幽霊街と化し、妻は氷漬けの死体となって見つかる。


絶望に打ち拉がれていた彼の元に現われたのは、自らを神様の化身だと名乗る狼。


妻を殺した張本人を知っていると彼は言う。そしてそいつは、彼自身の報復の相手であるとも。

俺の操り人形となれ。お前に復讐を果たさせ、妻にも会わせてやろう。


復讐なんて、どうでも良かった。けれども、甘い救済の言葉に縋り、狼が望む代行者として、ラグナロクの些細な引き金として、彼は決して己を救うことの無い物語を描いて行く。




Lifia Lawrence (リフィア・ローレンス)

シリキの妻。ヴェリフラート公国城下町で、小さな飲食店を夫と営み始めた矢先に、ヴァイキング侵攻によるコンスタンツァ港が閉鎖、食糧の調達が困難となり、経営不振に陥っている。

同時に夫へ届いた徴兵令により、身寄りの無い彼女はたった一人で客のいない店の番をし続けることとなった。

闇夜の中でも、彼が帰ったならすぐわかるように、看板は下げても、決して灯りを消すことは無く。

彼が逃亡を図り、彼女の元へ戻った頃には、既に何者かによって毒殺され、息を引き取っていた。




Lukamina (ルカ)

Fenrirがミッドガルドで最初に出逢った雌狼

ノスヴァールの外れで右後ろ脚を負傷し群れと逸れたところを彼に救われる。

狩りに加われるまで回復し、合流できる群れが見つかるまでの付き合いだと言いながらも、温かな情を以て介抱してくれるFenrirに恋心を抱く。

ヴォジャのパックに迎えられてからも、自分の元と人間の住処を行き来するFenrirを止めるべきか、絶えず彼の身を案じている。




Voja (ヴォジャ)

人間の狩りによって父を失い、再編成されたパックのリーダー。

ヴェリフラート公国西部に位置する狼の森と呼ばれるノスヴァール (Nosvár)に縄張りを構える。

非常に人間を強く憎んでおり、彼らと内通しているらしいFenrirのことを激しく嫌っている。

ルカを番として迎えようと考えているが、それもFenrirが目の上の瘤であるのが拍車をかけているのだが、

圧倒的な力量さに従順とならざるを得ず、群れ仲間の生存を最優先に、己を殺してFenrirに協力する。




Teus・V・J・Asgald (テュール・ヴァン・アズガルド)

嘗ては天空を治める最高神としてこの世に君臨していたが、戦争の神としてOdinに台頭され、アース神族の一介の軍神へと成り下がる。始めこそミッドガルド(人間界)での暗躍に忠を尽くしたものの、戦場の趨勢を握る生き方に疑問を覚え、己の神としての役目を終えることを切望していた。

最終的にはFreyaと呼ばれる女神を妻に迎え、ヴァン神族の王侯として先代が残した狼の群れと共に余生を過ごす。

その勇敢さから、Fenrirを全く恐れることをせず、それ故唯一彼が心を許した神様。

Fenrirがグレイプニルによって束縛された日、裏切りの代償として、その片腕を失い、神としての使命を完全に終えている。




Freya・Vanir (フレヤ・ヴァニール)

ヴァン族出身の豊穣の女神であり、Teusの意中の人物。彼女は生命をも司るとされ、傷を癒すばかりか半死の者をも生還させると言う。死者の半分を担う役目を負っているためか、はじめは軍神であるTeusのことを激しく拒絶していたが、Fenrirを救おうと奔走する姿を見て、彼の命を救い、添い遂げることを決める。

最期には、自身もFenrirをアース神族による戒めから守るため、自らを育ててくれた大狼の召喚に命を使い果たす。




Loki・A・Jotunn (ロキ・アズガルド・ヨタン)

北欧神話における稀代のトリックスター。Odinと義兄弟の契りを交わし、霜の巨人という神族の目の敵の存在でありながら、アースガルズへの永住を許される。

そこで同族の妻との間に子供を設けるが、なんと産まれたのは、異形の仔であった。

Fenrirの生みの親であり、北欧神話破滅の元凶。

アース神族のバルドル殺害の罪に問われ、現在は蛇毒に絶えず侵されながらの終身刑に服している。




Odin・Asgald (オーディン・アズガルド)

全知全能のアース神族の最高神。予言によりFenrirに破滅を齎されると宣告され、狼を僕しもべの一員として迎え入れることを泣く泣く断念。しかし既に二匹の狼を傍らに侍らせていた彼には、まだ幼く親に甘えたがったFenrirを処刑することも躊躇われたため、アースガルズの彼方、鉄の森の果てへと追放することに決める。


時は流れ、ラグナロクの日。再びFenrirの存在が彼の前に立ちはだかるまで、彼によるアースガルズの統治は続いた。




Tor・Asgald (トール・アズガルド)

ロキの親友であり、北欧神話が誇る最強の戦士。Fenrirを護る英霊を剥ぎ落すことを目的に、第二の戒め、ドローミの試練を課すことを命じられたが、その際に大狼ガルムと相対し、激しい攻防の末、瀕死の重傷を負い、再起不能となった。




Gort・ Ruinfield (ゴルト・ルインフィールド)

Teusにその座を譲るまで、ヴァン族を統べていた長老の神。敷地内に狼の溜まり場を設けており、野放しの彼らの生態を眺めるのが日課だった。

嘗ては強大な力を備えた神ではあるのだが、Teusがヴァナヘイムを訪れた頃には既に隠遁生活を楽しんでいた。ある既に故人である兄、Dirus・Ruinfieldは、大狼の過去に深い関わりを持っているらしいが、それについて語られるのは、彼が命を落としてからのことである。




Garm (ガルム)

北欧神話最高峰と讃えられる狩りの担い手。グヒパヘッリル洞窟の前で、女神ヘルの住む館へと巡礼する死者たちの前に立ち塞がり、ニヴルヘイムへ堕ちるべき悪人を通さぬよう、番狼の役割を務めている。

女神ヘルはまだ幼く、父親の代わりとして、彼女が退屈せぬよう遊び相手となる忙しい日々を送っていたが、ある時からヘルヘイムに赴く死者の中に、異常な死を遂げた者を目にするようになる。

それは、嘗て死闘を繰り広げ、自らとの曖昧な縫合を遂げた友、Fenrirからのメッセージだった。




Sirius (シリウス)

Fenrirがアースガルズより追放された際、辿り着いた森一帯を縄張りとしていた大狼。

嘗てヴァン川西部に生息していた狼の群れを統率していた伝説の大狼であるが、Teusと同じように、人間の友を持ち、それ故に群れを壊滅に追い込まれた過去を持つ。

老い朽ち行くだけの身を横たえる日々、縄張りに迷いこんだ一匹狼に全てを託し、殺される道を選んだのだった。

彼は自らの屍の全てを喰らわせ、死して尚狼の生きる道導となり続けている。




Hell (ヘレナ)

ロキによって生み出された、半身人間、半身死体の女神。Fenrirの兄妹であるが、本人はそのことを知らない。

死者を何の代償も無しに蘇らせることのできる、神界唯一無二の存在。ヘルヘイムを統治するに相応しい力を有する彼女だったが、まだ余りにも幼く、今はGarmと何をして遊ぶかしか頭にはない。

一度だけ、Garmの願いを聞き入れ、第1階層へと彼を引き連れ戻ったことがあったが、それ以来は、どこにも行かず、ずっと一緒にいて欲しいと、彼をグヒパヘッリル洞窟に繋いでいる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ