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Ημίθεος_ヘーミテオス_  作者: 五智噸虞
〜一章 全ての始まり〜
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第6話 進み始め

第6話です。

星やグッド、コメントは励みになりますので是非押したり書いたりしていってください。

「君は、この国の自警団に配属することに決めたよ!」


「へ?」


あまりにも想定外すぎて硬直してしまった。そして俺はイミテイト様に聞いてみた。


「えっと・・・俺は四国のどこかには行かないってことですか?」


「そうだよ?もちろん、こんな事を決断するのはほとんど無いけどね。」


「こんな事って・・・しかし、なぜ俺を?」


すると俺の問いかけにパルヴァティ様が俺を見てこう答えた。


「・・・私が決めたの。」


「え?」


「そうなんだよね。パル、いつもは全く口を開かなくて僕一人で決断を下すんだけど。君に関しては彼女がそうしてって僕に言ってきたんだ。」


会話を聞く限りパルヴァティ様が俺の配属先を決めたらしい。


パルヴァティ様は前髪をいじりながら突然話し始めた。


「私はいつもその人の神脈に対する器用さ、汎用性、出すまでの時間を見ている。あなたの場合はどれも高水準なの。その実力があればこの国を守る力になってくれるって思ったの。」


「まあ君もどこかの国に配属されるっていう考えは当然僕の中ではあったんだけど、属性が木である以上木に特化した国があるわけでもないし、仮に君を相性が悪くないリップルやソイルとかに行かせても大きな進化は得られないだろうと思ったんだ。」


「第一、その自警団の団長を務めているのはパルなんだ。そんな彼女が珍しくそう決めたのだから、その意見を尊重しようと思ってね。それに、パルは神脈がいくつかあるんだ。彼女になら君を任せてもいいだろうという絶対的な信頼も決断を下した理由のうちの一つさ。」


「な、なるほど。」


「恥ずかしいから、やめて・・・」


そしてイミテイト様は紙とペンを取り出し何かを書き始めた。


そして待つこと数分・・・


「はいエリシーちゃん。フエンテ女王への手紙を書いといたよ。入国時にこの手紙を見せれば彼女のお城まで案内されるはずだから。くれぐれも無くさないようにね」


「あ、ありがとうございます!」


手紙を渡されたのはエリシーだけだ。俺はこの国の自警団に配属されるというのは嘘ではない事を改めて分かった。


そして俺達は退室され、城の出入口で待機する。


「スゴイじゃないシバ!この国の自警団だなんて!話聞いた限り、選ばれたものしかなれないみたいな感じだったよね!」


エリシーは笑顔でぴょんぴょんと跳ねながら話している。まあ実際、俺もそれくらいの気持ちでいる。


「ああ。しかし、驚いたよ。自警団という道があったなんてな。」


「私はリップルに行くことになるから離れ離れになっちゃうね。」


「もう一人で行動できるだろ?」


「あはは・・・どうだろうね。大丈夫じゃないけど、行ってみたら大丈夫になるかもしれないし。第一一人で行動できると思ってるけど、実際どうだかわからないし・・・」


エリシーは目を泳がせながらしどろもどろに答えた。なんというか、不安だ。


「あっ。二人とも!ここで待ってくれてたんだね。」


するとイミテイト様が玄関から顔を出して走ってきた。


「リップルへ向かう馬車を手配したから、数分だけ待っててね。さて、シバ君。君を自警団へ案内したいんだがどうかな?」


するとイミテイト様が俺に案内するとお誘いがきた。俺はその誘いに乗ることにした。


「あっ。シバ!」


エリシーが俺の袖を引っ張って俺の動きを止めた。


「私たちが小さい頃なんだけど・・・絵本で語り合ったこと覚えてる?」


「ああ。覚えてるよ。」


〜〜〜〜〜〜〜〜


6歳の頃だった。


「天帝様達ってかっこいいわよね!」


エリシーは見ていた絵本を目を輝かせながら俺に見せてきた。


「うん。かっこいいと思う。」


「私さぁ、大きくて強くなったら天帝様達みたいになるんだ〜!」


「そうなの?なんで?」


俺はエリシーに素朴な疑問を投げかける。


「一番偉い人だし。みんなにそんけい?されてるし。そしてかっこいいから!!」


エリシーはニッコリしながら大きな声で答えた。


そして俺はエリシーの答えを聞き、俺も天帝になると伝えた。


「ええ〜〜。あっ、じゃあさ!どっちが先に一番上に立つか競争ね!」


「分かった。」


〜〜〜〜〜〜〜〜


今では子供の戯言だと切り捨てることはできるが、エリシーはその約束をしてから努力はしてきた。


それは俺が一番理解している。そんな奴が子供の頃の勝負に勝つために努力をし続けてきて、俺は興味ないって言っては悲しむだろう。


「短くとも、エリシーが挫折するまではあの勝負に付き合うつもりだ。」


「はぁ!?何よそれ!私が弱いって言いたいの?!」


エリシーは先程までの静けさとは一変して頬を膨らませながらこちらを睨んできた。


「すまん。冗談だ。」


「俺は、エリシーが今まで頑張ってきているのは知ってる。諦めの悪いやつだってのも知っている。」


「だからこそ、勝負のし甲斐があるってもんさ。」


そして俺は手をパーにして差し出す。


「えっ。何?」


「昔やっただろう。語り合った後にハイタッチ」


「あっ。あ〜ね。そういえばそうだったわね。それじゃあ・・・」


そして大きなハイタッチの音が、鐘のように響いた。










「またね!」

「またな!」

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