第47話 狙い目
47話です。
「あなたは、私には勝てないわ。…甘くはないわよ」
今の状態だと彼女の動きを見切るのは可能。
そしてこの武器を使えば少なくとも、攻撃を受けることができる。
ルフレに危害を加えさせないために加護をかけておきましょう。
「武器を出しても私に攻撃は当てられないで…しょ!!」
奴は手に持っていた蛇腹剣を伸ばし、フエンテ様に攻撃を仕掛ける。
しかし、フエンテ様はその剣を振れもせずに吹き飛ばした。
「生憎、私はあなたと違って物理攻撃特化タイプじゃないの。
…あの子の技、借りさせてもらうわ。」
『リスプリージョン:海脈・水天髣髴』
フエンテ様を中心とした水の球体が膨張し、やがて部屋中を覆った。幸い俺は加護のおかげで溺れずに済んでいるが、奴は今にも溺死しそうに悶えている。
数秒待たず、奴は部屋から出るために神脈を使おうとしたが…
「逃げなんて許さない。このまま溺死してしまいなさい。」
「あぼぼぼぼ……!!!!」
光の屈折で上手く逃げれないっ!!ヤバいヤバいヤバい!
このままじゃ死んじゃう…!!
流石フエンテ様だ。救世の六神のメンバーを完封するとは…
まだまだ俺では届かんな。
と思っていた矢先、突如水を円形の型で抜いた様に空間が消えたのだ。そして気付けば、フエンテ様は何者かの攻撃で床に叩き落とされていた。
唐突のことに俺は理解ができず硬直してしまった。
目線を向けるとそこには数珠を両手に挟んでいる男が浮いていた。
何者だ…!?
「マナフ…遅すぎだ。手を貸してやる。即座に終わらせろ。」
「はぁぁぁ!!『闇ノ脈・破空掌!』」
「バロール!!えへへ笑ありがとっ!!」
『光脈・神光速・颯』
男の方がフエンテ様の空間を壊した事で女の方は自由に動ける様になってしまった。
ここはいくらなんでもこの状況を黙って見てるわけにはいかん。
「お前の相手は俺だ。フエンテ様に辿り着きたいなら俺を殺せ。」
「不倶戴天。貴様の様な人間は我々にとっては消えるべき種族…だが、今は貴様のことなどどうでもいい。」
すると目の前にいた奴は突如姿を消した。
どこに行ったかを辺りを見渡して確認する。すると奴は分身して既にフエンテ様の周囲を囲っていた。
そしてフエンテ様に攻撃を仕掛けた。
『打戒連環掌!!』
「見切っているわ。『植物ノ脈・広葉樹の聖盾』」
「…っ!!?」
盾が破かれた!?そんな、有り得ない。この盾はマルドゥクの神脈で出来た頑丈な盾。
それを破かれるだなんて…
「遅い。」
「うぐっ…離しなさい!!」
「ありがとバロール!これで紋章いただきっ!!」
最悪な事態が起こってしまった。
奴の持っていた箱にフエンテ様とマルドゥク様の紋章が触れてしまった。
直後、フエンテ様が奴の神脈の力で取り込まれてしまいそうになっていたが、フエンテ様はそれを振り切り宙を舞って奴との距離を取った。
「用は済んだ。できればフエンテ、貴様を闇の世界に追放したかったが…それはまた別の機会にしよう。」
「帰るぞ、マナフ。」
「うん!!!イヒヒッ!」
そうして奴らは闇に包まれて姿を消した…
「チッ…逃げたか…!」
「ッ!フエンテ様!!ご無事ですか!?」
ヘーミテオスが解除され二人は分離して床に着地した。
幸い身体面や精神面での異常はないと分かり、一安心はするが…
「申し訳ありません…お力に添えず、不甲斐ないばかりに…」
「…謝らないで頂戴。あなたに何もなかった、それだけで私は安心してるのよ。」
「ルフレ。あなたはまだ強くなれるはず。今よりも強くなって立派になったら、その時は共闘してくれる?」
そう言いながらフエンテ様は俺を見つめながらそう優しく言葉を発する。
本当にこの人は…どこまでお人好しなんだか…
「はぁ〜〜。まっさか僕の盾が壊れるなんて思わなかったなぁ〜」
「にしても、あの男…神脈の属性が闇だったね。」
フエンテ様の後ろで足の裏をくっつけながら座っているマルドゥク様がそう呟いた。
俺は「それが何か?」と問うとこう答えた。
「ルフレが知っているか知らないけど、闇属性は数百年前に消滅したと言われているんだ。」
「今は無き別大陸の国“シェドゥ”はその闇系統の属性の人々が住んでいたんだけど、ある日の戦争によって国は壊滅。その国の住人の全てが捕らわれたり、殺されたり、奴隷にされたりして消息したと最近までずっと言われてたんだけど、まさか生き残りがいたなんて…」
「…まぁでも、それだけだよ!今更落ち込んだって変わりはしないし、今度はどんなことが起きても大丈夫なようにしなきゃね!」
「…そうね。あの箱に私たちの紋章が触れてしまったことで、またさらに危険が襲ってくるかもしれない。念の為天帝様に報告するわ。後のことを考えるのはその後よ。」
「ルフレ。あなたはみんなに対しての支持をお願い。マルドゥク。あなたはこの国に被害がないかを確認して頂戴」
よかった。いつものフエンテ様だ。
自責の念に駆られてしまうのではないかと思ったが、そんな素振りは一切せずに前を見ている。
お人好しだがしっかりしていて、頭の回転も速い。
そんな人が長になるのだろうなと思いながら、俺は団員の元へ向かった。
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