第45話 光の悪神“アカ・マナフ”
45話です。
「・・・・・・ここが慈愛の水の国なんだ〜」
「上意下達・・・ヨグ様の指示通りのことだけを遂行するぞ。マナフ」
「うん、ヨグ様と同じくらいバロールの事が大好きだから言われたことは全部やっちゃうもん!」
「このアカ・マナフちゃんにお任せあれ!」
「相変わらず、よく分からん奴だ・・・」
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・・・先日天帝であるイミテイト様の来国以来、私の国では以前よりも活発化している。
それもそのはず、この大陸の一大イベントであるラトリーカイブの開催が決まったからだ。
騎士団員はもちろん、国民のみなも広場などで鍛錬をしている。
「以前もそうだったけど、国民の数はアトリビュートより少ないはずなのにこの賑やかさはすごいわ。」
「おーいエリシー!」
すると背後から剣を持って歩いてくる上裸状態のネロさんがいた。
汗はびっしょりで肩の部分からムワムワと熱気が出ている。
思春期を過ぎた私だが、やはりまだ異性の裸を見ることに抵抗がある。
私は慌てて目を隠して問うた。
「なっ!なんで裸なんですか!?洋服はどうしたんですか!?」
「ん?さっきまで街の人と競ってたんだ。どっちの方がより多く状態起こしができるかってな!」
「見てみろこの腹!ようやく取り戻せたんだぞ!この割れた腹筋を!」
「そんなにアピールしなくていいですから!!」
と言いつつも、ちゃっかり噴水の水面の反射で見ちゃってるのは内緒。
そんな何気ない平和な会話をしてると、森の方から何やら慌てながら走ってくる女性がいた。
表情を見るに、何かから逃げているようだ。それに左腕が怪我をしている。
「エリシー。武器はあるか?」
「ごめんなさい。今私の剣は部屋にあって・・・」
「急いで取りに行きます!」
ネロさんは女性を民に預け、女性のきた方へ向かった。
私は全力ダッシュで豪邸に戻った。
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女性の発言からするにここら辺で襲われたらしい。
「確か・・・この辺から襲われたらしいが・・・」
「・・・・・・っ!?」
なんだコイツは・・・・・・リスプが感じない!?いや、ないのか・・・?
どっちにしろまともな人じゃねぇ・・・おそらく神脈で作られた傀儡だろうな
「ゴガァァァァ!!」
「何がどうであれ、国民を傷つける馬鹿はここで切り捨てねぇとな!!」
シバ程ではないが、俺は瞬速の勢いで次々と湧いてくる敵をバタバタと薙ぎ倒していった。
しかし倒しても倒しても無限に湧いてくる。
これは一人じゃ無理だな。エリシーが来たら元凶を止めるように言っておくか。
数分後、息を切らして走ってきたエリシーに指示を出した。
「ええ〜!?」と今私の疲れてるんですけど!?とでも言いたそうなその返事が返ってきたが、エリシーは指示通り動いてくれた。
やっぱ騎士団員としての心得はあるんだな。
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ひとまず神脈を使ってこの国で一番高いと言われている展望台に登り、元凶っぽいのを探す。
ネロさんが敵と戦ってくれてる内に、早く見つけないと!
その一心で360度見渡しながらそれっぽいものがないか探す。
すると、木の上に立っている二人組の男女がいた。だが、瞬きをした瞬間女性の方の姿が消えた。
「遠くからジロジロ見るなんて・・・貴女もしかしてストーカー?笑」
声のする方を見ると、先程の消えたはずの女性が私の目の前に座り込んでいたのだ。
驚きのあまり私は尻餅を付いてしまった。
「あはは笑そんなに驚く〜?ただしゃがんでただけなのに」
ゆっくりと立ち上がり、私に歩み寄ってくる。
私も警戒しながら即座に立ち上がり、剣を構える。
「えっ!?初対面の人に剣を向けちゃうの!?まぁまぁ落ち着いてって。目的を果たしたらすぐにこの国から消えるから!」
「・・・・・・それでも、武器を下ろしてくれないんだね〜」
「当たり前ですよ。あなたが何者であろうと国民を傷つけたことに変わりはないんですから!!」
「う〜ん・・・仕方ないなぁ。じゃあ望み通り戦ってあげる。」
「あんまり時間をかけたくないから、一瞬で終わらせるね〜」
『光脈・神光速・颯』
その技を発動するのと同時に私も技を発動する。
『水脈・止水の構え』
だがしかし、私の今のレベルじゃ彼女には到底及ばなかった。
何故なら・・・
「うぐっ・・・・・・」
「くはっ・・・・・・」
彼女の速さが力が、全てが超越していたからだ。
止水の構えを使ってもなお相手の動きが読めない。攻撃が交わせない。幸いと言うべきか彼女は武器を持っていないため、一撃で致命傷になることはないが、それでもその尋常じゃない速さで動いてるせいで威力が段違いだ。
顔や胸、腹に脛。至る所に刃が刺さってくるような痛みが襲ってくる。
だが次の刹那、急に彼女からの連撃は止んだ。
私は気が抜けて、うつ伏せで倒れた。
止水の構えの効果も切れ、痛みと疲労の二重の苦痛が全身を覆う。
「目線が合ったから来たよ〜。それで?何をすればいいのバロールぅ〜」
「この国の有力者の大半はこちらに誘き寄せた。お前はこの板にこの国の女王が所有している慈愛の紋章を読み込ませてこい。」
「でも紋章って体に刻まれてるよね?もしかして皮を剥がすとか?」
「そんなことせずとも、身体のどこかに刻まれている紋章がこの板に触れるだけで読み込みは完了する。」
「・・・我らの中でも、お前は特にこの作業に向いていると思っている。多少時間がかかっても構わん。読み込みが終わり次第我のところに戻ってこい。」
「りょーかい!!」
まずい・・・・・・このままじゃ・・・フエンテ様が危険な目に・・・っ!!
45話でした。
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