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Ημίθεος_ヘーミテオス_  作者: 五智噸虞
〜四章 催しの準備〜
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第43話 選抜トーナメント④

第43話です。

次回でトーナメントは最終回です。

数十分身体を動かし、俺の準備は万全だ。

武器を粉砕してそこら辺の土に埋め、控え室に入る。

このグループの初戦は俺であるため、俺は服装を整えながら門の前に立った。


「それでは最終グループのトーナメントを開始する!1試合目の選手は入場してくれ!」


その合図と同時に門がガガガと音を立てながらゆっくりと開門する。

対戦相手の神脈以前に名前を知らないため、ほぼ実戦と思って差し支えないだろう。

位置につきお互いに遠くから見合う形となり副団長が開始の合図を出す。


「それでは・・・始め!」


今回は様子見も兼ねての弓矢で牽制をする。

まぁ予想してた通り相手は避けた。が、他の人と違い攻めてくるようなことはなかった。

立ち振る舞いからしてもあの堂々とした仁王立ちは完全に受けの体制だ。

この場でなければ、不意打ちでも狙って倒したいが生憎障害物はここにはない。面倒だが攻めるしかなさそうだ。


「はぁ!!!」


背後の壁にジャンプして両足に力を込め、高速の急襲を狙った。

その間にも俺は槍を手に取る。


相手が持っているのは剣。リーチ差ではこちらが優勢なのはいうまでも無い。渾身の一撃を相手に振るった。

ドスッと濁い音が響き渡る。が、この時俺はすぐに疑問が浮かんだ。


何故勢いが消された!?それにびくとも動かないだと・・・!?


「ふぅ〜〜悪くはない感覚だ・・・」

「だがまだ浅い・・・」


圧を感じる低い声に俺は少々怯み、間合いを図る。

刺したと思われる箇所は血ではなく水銀の様な液体金属で溢れ、溢れ出た銀が体に戻り修復された。


「オラァ金属の神脈持ちの人間だ。」

「たかが木のお前には絶対に負けねぇよ・・・。さぁ来いよ。お前の体力が尽きるまで相手してやっから。」


「体が金属って、無敵じゃないですか。」

「でも何も考えずに突っ込むほど俺はバカじゃないんで。ちゃんと弱点見つけて倒しますよ!」


とは言ったものの、金属と非金属では圧倒的に不利だ。真っ向勝負ではまず勝ち目はない。


学校で習った知識だと、金属は電気や熱、水に弱いはずだ。

・・・・・・だが、生憎属性が木である俺にはそれらの属性の技は出せない。

考えろ・・・考えろ・・・考えろ!!!


「来ないのか?・・・仕方ない。俺から近寄ってやる。」


日常的な場面だったらなんともない彼のゆっくりとした動きが、今だと要塞が迫ってきている様に感じられる。

今俺のするべきは攻略法を考えること。

そこで俺は彼の体が金属でできているのではなく、攻撃を喰らう瞬間に体を金属に変換していると仮定し捨て身覚悟で槍で攻撃する。


しかし攻撃は受け止められ、更に金属が体に刺さっている槍から俺の右腕まで侵食し逃げることができない!


「祈れ・・・死なない様にな。」


彼は首を傾けながら右腕をぐるぐるとゆっくり回しだした。

誰しもが察せるだろう、この一撃を喰らったら最悪死ぬと。すかさず盾を創り出し衝撃を少しでも減らそうとしたが、金属の前では無力だった。


ストレートパンチをモロにくらい、俺は体が吹き飛んだ。闘技場の反対まで飛ばされたが、俺はなんとか右腕を駆使して受け身を取った。

先ほどの彼の放ったストレートは盾を貫通し、直接喰らった俺の左腕の前腕は恐らく粉砕骨折。そしてその衝撃が体に伝わり肋の数本は余裕で逝った。

正直言ってめっちゃ痛ぇ・・・。気を抜いたら倒れそうだ。

・・・昔から体は丈夫な方で、体の硬さには自信があったのだが今のでその自信は綺麗さっぱり消えてしまった。


「シバ君!!!大丈夫ですか!?」


その声のする方を向いた。声の主はナンナだった。ついでにニーナス先輩もいた。


「あぁ。まだ戦えるぞ・・・時間の問題だが・・・・・・」


「・・・・・・彼の攻撃スタイルは反撃よ。敵からの攻撃を耐え続けて、強力な一撃を与える感じだから戦い方が大事よ!」

「・・・ちなみに、彼と過去に戦った事があるんだけど完敗だったわ。」


「電気とか水とか、火があればダメージは与えられるはずなのですが・・・シバ君は出せませんね・・・」


電気・・・静電気・・・・・・。

水・・・川や海・・・・・・。

火・・・焚き火・・・・・・焚き火!?


俺は閃いた。木を擦り続けて摩擦熱で火を起こす事を。

俺は真っ先に剣を創り出し、地面に高速で擦り続ける。徐々に煙が立ち、削れた木屑に火の粉が付着し微弱だが火が付いたは付いたので、すかさず木屑を寄せ焚き火の様にした。

数秒後、規模の大きい炎が完成した。


左手は使えないので弓矢ではなくナイフを創り出し、着火させ片手だけで何本も飛ばす。

派手さは無いが、彼は素早く動けないと思うので集中的に彼のいる場所に投げる。


そして飛ばしたナイフに向かって飛び向かう。もちろん激しく動くだけで肋に負荷はかかって結構痛いが、我慢だ我慢。そして火が消えないうちにすかさず木屑を出しまた巨大な炎を起こす。それを20ヶ所以上だ。

徐々に彼の近くに火を起こす様に工夫し、彼の近くの気温を上昇させる。

試しに火を纏った剣を投げてみる。


すると彼は受け止めるのではなく避けたのだ。

チャンスと思いすかさず創った武器に火を着火させ投げ続ける。

途中で吐血をしてしまうが、こればかりは我慢比べだ。


そしてついに投げた一本のナイフが、腹部に刺さり身が怯んだ!

俺はそれを見逃さなかったため、すぐさま斧を生成しジャンプした。


「受けてみろぉ!!!『コラプスグラウンド』」


彼は苦しそうな顔をしながら両腕を固め受け止めた。

俺も負けじと使えなくなった腕を無理やり動かし、全体重を乗せ全力で斧を押し込んだ。


「くっ・・・・・・・・・!!」


「うごあぁぁぁぁぁ!!!!!」


彼の両腕にヒビが入り、そして・・・・・・・・・砕けた。

だが砕ける直前顔を固めていたので、今度は彼の頭で斧が止まった。


すると副団長から試合終了の合図が出た。


「そこまで!!時間切れだ!!ユトゥルナ!消火を頼む!」


「承知です。はっ!」


一気に力が抜け、俺は倒れてしまった。意識を保つので精一杯だ。

視界の中に副団長が歩み寄ってくる。なんだろうか。


「この勝負の勝者だが・・・・・・」


「俺の負けでいいです。主人(あるじ)

「毎年出場してますが、たまには俺の枠に別の人間を入れてほしいっていうのもあります。」


「・・・のも?というのは他にもあるのか?」


「まぁ。コイツは今まで俺と戦った人の中で最もガッツがありましたし、コイツは器用な立ち回りができる奴だって分かったんで。俺の枠で戦うには十分だと思います。」


「・・・・・・そうか。分かった。」

「勝者はシバ!!準決勝の相手は先程仕事で抜けたメンバーの内の一人だった為、決勝に進出することに決まりだ!」


俺はその言葉を聞いて意識を失った。

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