第42話 予選トーナメント③
42話です。
それからナンナは緊張こそしていたものの順調に初戦、準決勝を勝ち進んだ。
まぁ、準決勝に関しては相手を含めた出場者3名がイミテイト様からの急な仕事が入ったため不戦勝という形になったが・・・
「決勝戦。ニーナスvsナンナ。選手は入場してくれ!」
俺は観客席の一番前の席から双方を見つめる。
この試合は片方は初出場。もう片方は前回だけ出場。お互い決勝の場に立ててると思っているのか少し緊張しているように見える。
ナンナに関しては準決勝は戦ってないからな。場の空気にやられなければいいが・・・
「準備はできたな。これに勝てばラトリーカイブの出場資格を得られる。全力で戦えよ!」
「・・・・・・それでは、初め!!」
双方慣れた手つきで武器を取り出した。
先手を打ったのはナンナ。光の刃をニーナス先輩に飛ばす。
「いいわねその攻撃。でもね・・・」
「光は鏡がないと曲げられないでしょ?一直線の攻撃なら避けるのは容易いわ。」
が、ニーナス先輩はそれを見切って避けたのだ。
そして瞬速の攻め立て。それはナンナにとっては厳しいものだ。
「うぐ・・・」
「仲間だからといって決勝の場で手加減なんてしないからね!」
「一旦距離を取っていただきますわ!」
『光脈・飛光刄・永』
俺の時と同じあの技を披露し、ニーナス先輩は引き下がる。
初戦では披露してなかったあの技を見て観客は少しざわつき始めた。
「すごい速さだな。」
「私なら、どう攻略するかなぁ・・・」
ニーナスさんも俺と同じで避け続けると思ったが、あの人は違った。
槍で全て受け止めていたのだ。
「ハッ!とうっ!」
「緊張をほぐすにはもってこいの技だね。ナンナちゃんは神だからリスプは多いんだろうし。」
「初戦でそこまで実力を出してないとはいえ、そのあなたから感じるリスプだと避け切るのは厳しそうね。」
「どうしますか?あなたのおっしゃる通り私はまだまだ余裕がありますわ。」
「どうするって・・・?もちろん強行突破あるのみよ!!」
するとニーナスさんは槍を前に出し、避けながら槍を横に回し始めた。
次第に強風を生む程の高速の回転力を持った槍を盾のようにしながらナンナに突っ込んだ。
『強襲突破!!』
次の瞬間・・・
ナンナは凄まじい回転力を持った槍を喰らってしまい、身体が切り刻まれた。
その光景を見ていた観戦者は声が出なくなり、会場は一気に静まり返った。
口を開ける者や押さえる者、吐き気を催す者に慌てる者などがいたが。俺は取り乱さなかった。
何故なら・・・
ザクッ
本物のナンナは生きているからだ。
「なっ・・・これ・・・・・・・・・は・・・・・・?」
グサグサと背中を刺され、ニーナス先輩は倒れた。
「勝負ありですわ。ニーナスさん。」
「勝者!ナンナ!!よってラトリーカイブの出場者に任命する!」
「「「うぉぉぉぉ!!」」」
先程までの空気とは一変して今度は空気が一気に熱くなる。
あの動きは昨日の鍛錬中にナンナがやってきた技だ。
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「今度も俺の勝ちだな。」
またしても俺はナンナの背後を取ることに成功した。
しかし、気付けばもう一人のナンナが俺の背後にいたのだ。
「何っ!?」
「ふう・・・上手くいったのは初めてですわ。」
「私は神脈で作られた者。いわば分身の様なものですわ。因みに・・・・・・」
「今の私は本物ですが工夫すれば、瞬間的に分身と私を入れ替えることだって可能なんですのよ?」
「試しに背後の私を攻撃してください。」
理解が追いつかないまま俺は背後のナンナに裏拳をかます。
するとナンナの顔は煙の様に崩れ、修復した。
次の瞬間指パッチンの音がし、俺はすかさず前にいるナンナに目を向ける。
「次に私を攻撃してくださいまし。」
ナンナは微笑みながら攻撃が来るのを待っている。
ものは試しと思い今度は左ストレートを決めたが、今度は手応えはある。
俺は少し焦ったが、ナンナの顔は無表情のままなのを見てしっかり偽物だというのが分かった。
直後、ナンナはその偽物を消し、宙に浮いていた書を手に持ちながら俺に説明した。
「この分身と入れ替わりの技はこの書に書かれていたものを使いました。」
「元々この書は私の祖先バルドルが所持していたもので、そこからその子孫達が新しいページに書き足されてきたものなのです。その為1ページ1ページ文字が僅かに違く、手順も説明も複雑で解析するのに時間はかかりましたが、なんとかこの技が成功してよかったです。」
「そうなのか。分かっている範囲ではどういう技があるんだ?」
「そうですね・・・『飛光刄』に『光輝燦然』や先程の『洸幻』などしかまだ習得しておりませんわ。」
「入団して以来屋敷内にある書物室にて古文辞学を学んでいますので、まだまだ時間はかかりそうです。」
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ナンナは開始後に光の刃を飛ばした。
しかしナンナが飛ばしたのは、分身体でありナンナはもしものための保険を作っていたのだ。
分身がバレない様に、分身体は輝き続けていたため第三者も意識しなければ気付かなかっただろう。
ニーナス先輩は運ばれていき、ナンナは控え室に戻る。
まだ一つグループが残っているが、そのグループに俺の知る人はいない。
そのため俺は席を外し、闘技場の裏へ移動した。
「時間はまだある。身体を温めておくとするか。」
俺は右手から剣を出し、素振りの練習を始めた。
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