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Ημίθεος_ヘーミテオス_  作者: 五智噸虞
〜四章 軍事強襲〜
40/40

第40話 選抜トーナメント①

40話です。

「っ!?いつの間に!」

「・・・ハァ、負けを認めますわ。あの方とは違って不意打ちを狙うとは・・・」


「剣とかであればもっと楽だったんだがな。あと、アイツの名前はエリシーだ。覚えておいてくれ。」


「ほぉ・・・いつの間に名前を知ったのですか?」

「まさか、知らない間に文通をする仲に!?」


「違う。アイツと俺は双子だからだ。」


「えっ!?そうなのですか?」

「・・・・・・驚きましたわ。全然顔が似てませんわね。」


「細かいことは知らん。・・・そんなことよりどうする?2戦目もやるか?」


「・・・受けて立ちましょう。先に3勝した方の勝ちですわ!」


3勝と言ったが、結局はお互いが満足するまで戦った。勝っては負け、悔しがってまた戦っての繰り返し。

明日があることを忘れて、全力で動き回った。


次の日・・・


「よし。お前達、トーナメント表の作成が終わったぞ。今回は32人いたから1グループ8人。計4グループで各グループで優勝した者がラトリーカイブの出場資格を得ることができる。」

「同時進行したかったが、生憎十分に戦闘ができる場所がこの闘技場しかなかった。・・・わざわざ管理人が貸し切りにしてくれた以上贅沢は言ってられん。1グループずつやっていくぞ。審判は俺が務める。」

「それじゃあ5分後に第1試合を始めるぞ。」


「「「はい!!」」」


「・・・?あら?シバ君は一体どこに?」


因みにだが、俺はDグループでナンナはB、フーディニ先輩はAグループだ。

その後も順調に試合は進んだ。しかし、俺は試合を見ずにこっそりと練習して負けない様に剣の素振りをしていた。当然試合状況は分からない。決勝戦が始まる直前にナンナから声がかかり観客席に移動する。

観客席の入り口を潜り、ステージを見る。そして俺の視界に入っていたのは・・・フーディニ先輩だった。


「それでは、Aグループ決勝戦。フーディニ対カワカミ。両者準備はいいな?これに勝った方がラトリーカイブに参加することができる。」


「大丈夫っすよ。ここにくるまでに腕はあったまってるんで。」


「僕より後輩のくせして、全くフーディニ君だからって手加減はしないよ!」


二人の言葉を聞き、副団長は片腕を真上に掲げ合図と同時にその腕を勢いよく振り下ろした。


「・・・それでは、初め!」


「先手必勝〜『鎖ノ脈・シュトゥルムローター』」


穴の開いた空間から鎖が飛び出しカワカミ先輩を襲い始めた。

四方八方からの攻撃をカワカミ先輩はどう対処するのか・・・正直すごく気になる。

実際のところ、あの先輩が戦っているところは見たことがないからっていうのもあるのかも知れない。


次の瞬間、カワカミ先輩に向かって襲ってくる鎖が急にキンッ!と言った音で弾かれた。


「せっかくみんなが見てるんだ。僕だって示しを付けないとね。」

「『紙ノ脈・カルタガーディアン』そして、『紙ノ脈・エアプレインストライカー』!!」


カワカミ先輩の周りには無数の紙がグルグルと舞っており、やがて紙飛行機の形に変えフーディニ先輩に飛ぶ。

当然フーディニ先輩も熟練の戦士だ。その程度では当たらないと滑らかな避け方をする。


「直線的な攻撃は俺には効かないっすよ〜」


「そんなのずっと見てきたから分かってるよ。『紙ノ脈・不殺流星!』


フーディニ先輩を通り過ぎた紙飛行機が形を手裏剣のような形に変形し、不規則な飛び方でフーディニ先輩を襲う。

だが、それもフーディニ先輩は見越していた。


「こんなもん。鎖ぶん回しとけばなんとでもなるっす〜」


以前戦った時もそうだったが、フーディニ先輩は後先考えているようで場当たり的な行動をすることが多い。

攻められても、打開策を練らずに攻め終わるのを待ってから畳み掛ける。そんな戦い方をする人だ。

ただ、初めて共闘したときは作戦を立ててくれていたことから全く考えずに行動する人ではないことも確かだ。

だからこそ、あの人がどう戦うかは分からないんだ。


「紙粉砕しとけば、無問題〜」

「そしてコイツを使うっす。『神脈武器“断ち切れぬ柔軟の鎖鞭”」


すると今度は、異空間から相当な長さがある鎖鞭を取り出した。

その武器は両端にはトゲ鉄球がついておりそれを繋ぐような小さな鋼鉄の輪っかで繋がれている。

全長は大体4〜5mくらいはありそうだ。


「機動力抜群の不断式の特製鎖鞭っす。先輩もどうなんっすか?せっかくの機会ですし、神脈武器出しません?」


「いや、いいよ。先輩としてのプライドのためにそんなもの使わなくても君に勝つよ。」


「それじゃあ遠慮なく・・・おらぁぁぁぁ!!!」


フーディニ先輩が鎖を思いっきり振り抜いた。右、上、下、左、斜めと腕を大きく動かした。

当然鎖なので遠心力の関係で威力と機動力は派手な動きをする。

しかし、カワカミ先輩はそれらを見切っている。当たりそうな時は周囲に舞っている紙が受けてくれるため、ダメージはない。


「面倒だね。フーディニ君は人間だから体力が尋常じゃないし、耐え続けるのは厳しかなぁ・・・」

「こちらも少し攻めて隙を作らないとなぁ・・・」


だが、突然カワカミ先輩の様子に変化が起きた。

先輩の表情に焦りが見え、汗もかき始めている。

この場にいる誰しもがフーディニ先輩が優勢だと思い込んでいた。

しかし・・・この試合は一瞬にして決着が着いた。


「グハッ・・・」


なんと、攻撃を喰らったのはカワカミ先輩ではなく、フーディニ先輩だった。

背中からは鋭く尖った針の形をした巨大な紙だった。

カワカミ先輩は最初からこれを狙っていたんだ。

攻撃を塞いだ紙が謎に宙に浮いていたのも、風力の影響ではなく自身の神脈で浮かせて、気付かれないように上空で形を作っていたんだ。


フーディニ先輩は吐血し膝をついてしまった。

そこで終了の合図がなり、勝者はカワカミ先輩のものになった。

ちなみにフーディニ先輩は回復系の神脈使いによって処置を施されていた。

その表情に悔しさは一切篭っていなかった。


「次のグループは・・・ナンナか。」


俺は会場の入り口で開いていた店で飲み物を買い、控え室へと足を運んだ。

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