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Ημίθεος_ヘーミテオス_  作者: 五智噸虞
〜四章 軍事強襲〜
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第35話 復帰

三日後、脅威の回復力のおかげで無事活動再開することができた。

一昨日エリシーと別の病室で安静にしていたネロが部屋を訪れてきた。

少し部屋が賑やかになり、少し心の錘が外れた様な気分だった。


診察室にて、医師の方から活動を再開してもいいとの返事が来た。言うなれば退院というわけだ。

ナンナはまだしばらくかかりそうだ。どうやら、神の中でも回復速度が遅い方の部類で、完治するとなると擦り傷程度でも自然回復では1週間はかかるそうだ。人間は基本1〜2日程度で、一般的な神でも3日が最速だという。

少し話が逸れるがアトリビュートは人口が多く、立派な医療機関もここしかないから現在進行形で人手が足りていないらしい。


「暇な時間ができたら顔出しくらいはするか・・・」


診察室を出て廊下を歩いていると、偶然にもネロと鉢合わせた。


「久しぶりだな。」


「ネロか。なんでここに・・・」


「数時間前に退院していいと伝えられたから、帰る前に天帝様達に感謝を伝えに行こうと思ってな。」

「アンタも退院って言われたんだろう?」


「ああ。この数日で鈍った体を早く取り戻さないといけない。」

「今度こそ、あの男並の敵に勝つ為に。」


拳を握り締め、あの男との戦いを思い出す。

結局のところ俺は何もできなかった。仲間がいなければとっくに死んでいた。

俺は・・・仲間がいなくても戦える力が欲しい。もっと自分のことについて研究しなくてはならんな。

数秒の沈黙が流れた。が、その沈黙を破る様にネロが口を開く。


「神殿でのやりとり覚えてるか?俺とアンタで手合わせするって話。」

「いつになるかは分からないけど、もしその機会があればそん時は万全な状態で戦おう。約束だ。」


ネロが拳を前に突き出す。グータッチでもする気だろうか・・・

「まあ、いいか。」と小声で呟きながら俺もそれに応じる様に拳を突き出し、拳を合わせる。


「約束だ。そん時は手加減なしだぞ。」


「おう!」


そして数時間後、俺たちは別々の場所へ戻った。

いつもの拠点に戻るが特別誰かが退院祝いをすることもなければ、「情けない」だの陰口をいう輩もいない。

まあ、俺からしたらそっちの方が困らないからいいのだけれど。


戻ってきたからには早速研究・・・と言いたいところだが・・・


「・・・・・・腹が減ったなぁ」


ぎゅるぎゅるぎゅると腹虫が鳴る。悲しいことに実は朝から飯を食っていない。いや、まあ・・・正しく言えば食えなかったというのが正しいだろうか。何やら別の患者が、突然興奮状態になったらしく、鎮静化するのに手こずったせいで食事の準備ができなかったらしい。それに加えて俺が退院したのがお昼の少し前なので、実質俺とネロだけ昼飯も食えてないことになる。


食堂に移動し、お昼のメニューから食事を選び待つ。

適当に辺りを見渡していると、階級表の看板が目に入った。

以前見た時は一番下だったのが俺とナンナは一つ上がって、ルーラは二つ上がっていた。


「し、シバ君・・・・・・お、お久しぶり・・・だね。」

「げ・・・元気?」


「あ、ああ。相変わらずの喋り方だな。」


初めてきた時よりビクビクと震えていない。少々根暗なところがあるが、個性の一環と捉えればいい。

ちょうど誰もいなかったのでルーラを飯に誘い、食事を済ませて二人で中庭へ移動する。

相変わらずここの庭は広いし、動物や植物もいて、何よりも衛生面が素晴らしいと思うほど城内の中庭は手入れがされている。

初めて訪れたわけではないが、いつ来ても魅了されてしまう程の美しさと綺麗さがある。


「そ・・・それで・・・なんでここにきたの?」

「な・・・何かここでやることでも?」


相変わらずモジモジしてるな。まあいいか。


「ルーラに頼みがあってな。」

「前行った神殿に連れて行って欲しい。」


キョトンとした顔で「な、なんで?」と聞かれたが、答えは単純。アイツに化け物にされて、俺たちに殺された旅人に墓参りに行くため。

アイツのあの言葉が今も引っかかる・・・


『結局はお前たちも人殺しさ。向かってくる敵が人間であろうと神であろうと。敵であれば殺す。』


「・・・・・・俺達は、バケモノに変えられた人を襲ってくるっていう理由で倒した。だけど、本当はバケモノに変えられて助けを求めていたのかもしれない。戻して欲しかったのかもしれない。」

「・・・そう思ったらせめて、挨拶したいと思ったんだ。」


「シバ君・・・」

「わ・・・分かった。じゃ・・・じゃあ行くよ。」

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