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Ημίθεος_ヘーミテオス_  作者: 五智噸虞
〜三章 魔の神殿〜
33/39

第33回 どちらの力を

33話です。

「・・・それはもちろん両方が一番いいですが」


ふぅんと言いながら、サカキさんはベンチに腰をかける。


「・・・最強の矛と最強の盾を併せ持っている人は、天帝と至高神、そして各国の長達レベルしかいない。」

「特に天帝と至高神の二人は異次元。」

「神速で駆け回り攻撃を避けたり受け止めたりできて、それ以上に破壊力が桁違いのイミテイト様。」

「回復の神脈という唯一無二の神脈で自他共に癒し、創造の神脈で無数の兵隊を創り出せるパルヴァティ様。」

「各国の長達も二人に比べたら敵わないかもしれないけれど、十二分に立派な矛と盾を兼ね備えている。」

「私達一般兵はそれには及ばないってわけ。」


するとベンチから立ち上がり、また私の目の前に立つ。


「夢を見るのは悪い事じゃない。その夢をただの夢物語のままにはしないこと。」

「さっきの質問を少し変えようか。今の自分は矛寄り?それとも盾寄り?どっちだと思う?」


「・・・・・・・・・・・・矛寄りだと思います。多分」


「そうと決まれば、まずは最強の矛になろう。」

「でも、もう暗いから明日やろう。せっかくだし付き合ってあげるよ。」


「えっ・・・そんな悪いですよ。」

「ただでさえ、お忙しいはずなのに・・・」


「いや?そんなことないよ。だって私団長からあんまり好かれてないもん。」

「付け加えると、好かれてないからあんまり仕事が来ない。」


笑っていいことなのか困惑している私にサカキさんは不思議そうな表情を浮かべた。

いや、なんで笑ってる方が不思議そうな顔をするのよ!と内心思った。


「まああの人のことだから、私を嫌ってるわけじゃないとは思う。」

「私自身、身近なことへの研究心が強いから任務とか仕事がない方が嬉しいしね。」

「出世とか上級とかあんまり拘ってない。ここに入ったのも、みんなの神脈とか色々なことを学べそうだからって理由で入ったし。」


なんか私とは生きてる世界が違う!もちろんいい意味で。

だが、そんな会話をしているうちに日は暮れてしまった。

辺り一面薄暗く視界も悪くなってきたので、とりあえず豪邸に戻る事にした。


一方その頃・・・・・・


「・・・・・・」


本を見ているわけじゃないのに、何か辛そうな表情をしている姉さんに声をかける。


「姉さん?どうしたの?」

「・・・やっぱり、さっきの報告の内容が気になるの?」


「うん。少しね。」

「・・・・・・・・・ねえマルドゥク。」

「もしもの話。身近に存在している人間が実は神だったら。」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


「私だったら、そうね・・・・・・どうするかしら。」


「そもそもで人間と神は見た目が違うじゃん。」

「あと、神脈の量でありオーラである“リスプ”で判別できるし。」


「そ、そうよね。」

「ごめんね。マルドゥク。」


「・・・ハァ・・・僕だったら、神でも人間でも接し方は変えないかなぁ。」

「いつもそばにいる存在が神であっても人間であっても、同じ人なんだから。」

「その質問の対象が仮に姉さんであったとしても、僕は姉さんの隣にいるよ。」


「ありがとうマルドゥク。」

「・・・・・・・・・そのマルドゥク、実はね・・・」


翌朝・・・・・・


「ふぁ〜あ。」


朝食を済ませ、待ち合わせ場所であるロビーへ続く廊下をあくびをしながら歩く。

因みに時間は早朝であり今になって日が顔を出し始めたタイミングだ。


「おはよう。休暇1日目の始まりだよ。」


「ふぁぁい。」

「なんですかぁ〜こんな朝早くから〜」


いつもは朝起きてもシャキッと済ませて眠気もすぐに吹き飛んでしまうのだが、昨晩に関してはシバ達の事で頭がいっぱいいっぱいでよく眠れなかった事と、いつもより2時間早く起きたから脳がスリープモードだという事が合わさり、身だしなみはしっかりしてても態度と顔はだらしない姿をしている。


「因みに、エリシーさ。数年に一度行われる5ヶ国の戦士が闘う大会があるの知ってる?」


「あれですよね。“ラトリーガイブ”のことですよね?」

「それがどうしたんですか?」


「毎回各国から代表として5人出場する事になっているんだけど、それに選ばれる程の力をエリシーにつけようというのが私の目的だよ。」

「昨日も似たような事言ったけど、私は仕事がない暇人だからね。」

「さてと、鍛錬場に行こう。今から歩いていけば、ちょうど開くと思うし。」


その言葉に促されるまま私たちはルフレ団長と手合わせして以来の鍛錬場に足を踏み込む事になった。

はぁ、もうここに来てから早3週間。もうすぐ1ヶ月になっちゃうのかぁ。時の流れは早いものね。と思った。


「さぁエリシー。とりあえず、この連なっている葉に向かって最大威力で攻撃してみて。」

「どれくらい葉を切れるかを確かめたいんだ。」


私は予め持ってきた剣を構え、神脈を剣に纏わせる。


あの時の感覚を・・・・・・


「水脈・水纏・水天一碧」

あの時と同じように、思いっきり振りかぶり水の斬撃を飛ばすように剣を薙ぎ払う。

切れ味抜群の斬撃は葉を2枚、4枚、6枚と切っていく。しかし9枚目を突破した後に斬撃は消えてしまった。


「ふむ、悪くないね。君はまだ15歳でしょ?なら平均は余裕で超えてるね。」

「平均は4枚。2倍以上の結果だ。だけど、この結果はルフレさんの年齢層で見ると平均以下だよ。」

「・・・じゃあ次、行こうか。」


するとサカキさんはステッキを取り出し、指揮者の様に棒を振る。


「これからは、あなたの望む力を手に入れるようになるまで特訓だよ。」

「根を上げずに頑張ってね。」


「はい!」


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