表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Ημίθεος_ヘーミテオス_  作者: 五智噸虞
〜三章 魔の神殿〜
32/39

第32話 帰国

第32話です。

数時間後、無事自国であるリップルに到着し、真っ先にフエンテ様の元へ足を運んだ。


「失礼します。」


ズズズと地面と擦れる音が響き、座りながら国内を監視しているマルドゥク様と彼の背中に寄りかかりながら読書をしているフエンテ女王を見つけ、声をかけた。


「た、只今戻りました。」


読書をしていたフエンテ様は慌てて本を閉じ、いつもの風格を保とうとする。

内心「可愛い」と思ったのは内緒。


「ゴ、ゴホン・・・無事に戻ってきてくれて何よりだわ。」

「あら?一人いないわね。」


「その・・・それが・・・」


私達はフエンテ様達に事の出来事を全て話した。

マルドゥク様は顔を顰め、フエンテ様は一瞬だけ何かに恐る様な仕草をした。


「いや・・・まさか・・・・・・・・・」


「姉さん大丈夫?何か心当たりでもあるの?」


「ううん。大丈夫よ。」

「・・・その事はイミテイト様は認知しているということでいいのかしら?」


「はい。ネロさんに関しては、あちらの方で治療を受けているらしく、落ち着き次第見舞いなどで足を運ぼうかと思っています。」


「そう・・・分かったわ。情報をありがとう。あと、これ。」


「これは・・・なんでしょうか?」


「今回の任務の報酬よ。呉々も無駄遣いしないで頂戴ね。」

「それともう一つあったわ。」


「もう一つですか?」


「この任務での疲労が溜まっているでしょう?明日と明後日の2日はあなた達には仕事が入らない様にルフレ君と調整させてもらったから、存分に羽目を外して頂戴。」


「ありがとうございます!」

そう感謝を伝え、フローラさんと話しながら豪邸に戻る。


玄関に入ると、不思議と実家の様な安心感が湧き出てくる。

もう脳内で書き換えられちゃったかな・・・


「もう夕方だし、一緒にお夕食でも食べない?」


「っ!いいんですか!?」

「・・・・・・・・・」


私の様子にフローラさんはどうしたのかと声をかけきた。

食事は嬉しいけど、私は今回これといった活躍はしていない・・・

やったことはナンナさんと戦っただけ。しかも負けた。


次会った時のために特訓しなきゃ・・・


「すいません。フローラさん。少し外でやる事があるので・・・」

「お食事はまた今度という事で・・・」


「そう?分かったわ。日が暮れ始めているから気をつけてね。」


せっかくの誘いを断ってしまって心苦しいけど・・・

今はとにかく強くなる!

その為にはまずは回復技を習得しなきゃね。


自室に戻り、机の上に置いてあったメモを手に取って裏庭へと向かおうとした。

ドアノブに手を添えた瞬間にキュ・・・キュ・・・と鳴き声が耳に入る。

その鳴き声の正体は、留守番をしていたペットのリオちゃんだった。


「お留守番してくれてありがとねぇ〜」

「少しお外でやることあるから、戻ってきたらご飯にしましょ〜ね〜」


はぁ・・・私疲れてるのかなぁ・・・一昨日まではこんな話し方しなかったのに・・・


そんなこんなで裏庭に来た。

「ええと・・・何があったかなぁ〜っと。」


以前蔵書屋で借りた水の神脈の技について書いたメモの中から探す。

攻撃系・・・守備系・・・拘束系・・・能力向上系・・・回復系・・・・・・あった!


「あっ、でもこれ。他の人を回復させる技だった・・・」

「これも・・・これも・・・これもっ!」

「う〜・・・なぁい!」


背を反る様に欠伸をする。パッと目を見開く。突然目の前に人の顔がある。思いっきり尻餅をつく。

はい。面白くない4コマ漫画の完成。

ってそういうことじゃない!誰!?


「相変わらず元気だね。」

「任務の後だっていうのに」


本当に誰!?今まで話したことない人だよね・・・

その人の見た目はジト目でセミロングの薄緑色の髪をした女性だった。


「名前は知らないよね。私はサカキ。ご覧の通りどこにでもいる神だよ。」


「あぁ。えっとエリシーです。よろしくお願いします。」


立ち直し、面と向かって挨拶を済ませる。

直後、サカキさんは私のメモ帳を手に取ってニヤけながら私に向かって言う。


「あなた、何やろうとしてたの?」


「あっ・・・えっと、回復技を習得しようと思って。」


「見た感じ水系統の技しか書いてないけど、もしかして水属性?」

「だとしたら、私の知る範囲だと水属性で自己回復系の技はフエンテ様の使用している”行雲流水“くらいしか知らないなぁ。」

「水属性は基本的に他人を治癒するものばかりだよ。」


知らなかった・・・そうだったんだ・・・

ならフエンテ様に聞くのが一番なのかなぁ。


「あなたに一つ質問していいかな?学校の教科書で習った?最強の矛と最強の盾の話。」


「は、はぁ・・・矛盾の元になったと言われている話ですよね。」

「それが何か?」


「・・・あんまりピンと来てなさそうだね。」

「言い換えれば、攻撃に特化したら防御力が下がる。防御に特化したら攻撃力が下がる。」

「まあこれは私なりの解釈だけどね。そこで聞く。あなたはどっちを選ぶ?前者か後者か」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ