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Ημίθεος_ヘーミテオス_  作者: 五智噸虞
〜三章 魔の神殿〜
27/39

第27話 勘違い

第27話です。

「貴女、一体何者なんですの!?」


キラキラと謎のオーラ(?)を出している女性はいかにも、殺意増し増しの表情で私を睨みつける。


「貴女こそ、一体何者?」

「確認もせず急に攻撃してくるだなんて・・・」


「敵に対して何故確信しなくてはならないのでしょうか?」

「不審者や犯罪者と戦う上で無傷で簡潔に済ますには不意打ちが最もなのです。」

「生憎こちらの攻撃を躱されてしまったので、不意打ちという手は失敗ですが。」


すると、彼女は腰にしまっていた書を開き・・・


「これはどうですか?」


数多の光の刃を出現させたのだ!

そして私の頭はフル回転する。

・・・属性は恐らく光。だとすれば、速度は光速並の速さで来るはず。だとすれば、生身で避け切るのは不可能に近い。ただ避け切るのも限界が来る。ならば・・・


「『水脈・止水の構え!』」

そして私は剣を手に取り剣の上身の部分に神脈を流す様に集中する。

「・・・そして!『水脈・水纏』」


常に集中する先は剣。これさえ意識すれば、ネロさんの様に!


「なんなのですか?それは。」

「まあ不審者が何をした所で、光の戦神の血を引く者として負けるつもりはありませんわ。」

「行きなさい!『光脈・飛光刄・永』」


その言葉と同時に光の刄達が急襲きて来たのだ。

剣への意識と刄への意識で頭がいっぱいいっぱだが、取り敢えず避けることを優先する。

右へ左へ右往左往し、避けられない時は神脈を纏わせた剣で神脈を飛ばし、刄を打ち消す。

止むことのない攻撃に、私は無意識に前へ出る。

当然近づくにつれ避ける事は困難になるが、武が悪いこの状況を打開するにはこちらが攻めるしかない。


「はぁぁぁ!『水脈・水纏・水天一碧』!」

大きく振りかぶった後、盛大に薙ぎ払う様に水の斬撃を飛ばす。

初めてできた!と喜んでいる場合ではない。私はその斬撃を盾代わりにして相手へ近づく。


「あら、応用性が高いですわね。ですが、これはどうです?『光脈・光輝燦然』!」


「っ!」


攻めている最中、足元から急に光だしたのだ。

これは・・・まさか!


ギュュィィィィンと音が鳴り、足元から光線が飛んできた。

避けようとしたが間に合わず、打ち上げられてしまった。

その直後、壁の方からも光線が飛んできて、私は勢いよく何部屋かのドアの壁を壊すかの様に吹っ飛ばされた。


一方フローラの方は・・・


「あらあら、ここで会えるとは光栄ね。ランブル副団長さん。」


「俺も、まさかここでフローラ様と出会えるとは思ってもいなかった・・・」

「貴女がここにいるという事は、リップル騎士団員が他にもいるのか?」


「ええ。まだ今年入って来た子と2年目の子だから初々しい部分はあるけれど、あの子達なら今回の任務は大丈夫だと思うわ。」

「ところで、イミテイト様は何が目的でここに散策を依頼したのかしらね?」


「イミテイト様曰く、ここで何やら謎の集団が活動をしていて、その集団の手によって訪れた者が帰って来なくなると言った感じだな。」

「今回はその手がかり、もとい証拠を掴んできてほしいとのことらしい。」


「成る程ね。とりあえず、ランブル副団長さんはここら辺を調べ終えてはいるのかしら?」


「ああ。最初の部屋にあった10個の出入り口の穴のうち3個は調べ終わった。結果手がかりはないが。」

「他の所はナンナとルーラ、そしてシバの奴に任せてある。」


「それじゃあ私達は、他の子達のところに戻りましょうか。」


ドガーーン


「む・・・なんだ今のは?」


「あの子達に何かあったのかもしれないわ。急いでいきましょう!」


〜〜〜〜もう一方その頃〜〜〜〜


「ん〜と。まずは何から調べるかだな。取り敢えずそこら辺うろちょろしておくか。」

「・・・俺の後ろにいるのは誰だ?」


「・・・何故俺がいると分かった。」

「十分気配は消していたつもりだったんだが・・・」


「んなもん俺には通じん。気配を消していようが、身を隠していようが俺には分かる。」

「アンタが不審者じゃないことも分かる。」

「・・・アンタ、名前は?」


「名乗り出る気はない。」


「おいおい失礼だな〜。初対面の人との挨拶はまずは名乗るのが礼儀だろ?」

「あっ、じゃあ俺から名乗り出るか。俺はリップル騎士団員のネロだ。そんで、アンタは?」


「・・・俺は、シバ・・・。アトリビュートの自警団員をやっている」


「シバな。名は覚えたぞ。せっかくお互いに剣を持っているんだ。一回手合わせしてみないか?」


「いいだろう。手加減はなしだ!」


ドガーーン


「っ!」

「なんだ?」


「・・・何かが起こったに違いない。一旦音がした方に行くぞ。」

「手合わせはお預けだ。」

「って、おいおい。早すぎにも程があるだろ・・・」


そして今現在。私は数枚の壁を壊しながらある広い部屋へと落ちた。

着地する際に痛みを我慢して受け身を取る。


痛みと反動で立てない。しかし、その状況下でも辺りを見渡す。

ここは何処で何があるのか。


「うぅ・・・ここは何処なのよぉ〜」

「体が痛くて動かないし、技の反動で力が入らないし。」

「手加減してくれてもいいじゃないのよ!」


そう愚痴をこぼしていた矢先、部屋の奥の方から何か声が聞こえた!

“う゛う゛う゛・・・・・・・・・”と何やら男性の唸り声の様だ。

もしかしたら遭難者かもしれない!

無理やり身体を起こし近づいて確認しようとしたその時・・・


「うがぁぁぁぁぁぁ!!!!」


身体から角の様な突起が現れ、足は太く、そして大きくなったのだ。

先ほどまでの男性の面影はなく“バケモノ”に変わり果ててしまった。


次の瞬間、バケモノは私の方へ走って近づいてくる。

その足音から出る音と振動で私の心は一気に絶望へと堕とされる。

とうとうバケモノが私の目の前に立ち、バケモノは両手を合わせ初めて思いっきり振りかぶり始める。


「あ・・・ああ・・・」

終わった・・・

この部屋には私しかいない。助けなんて呼んでも声すら届かないだろう。

私にできるのは、無意味な抵抗と死を悟る事くらいだと嫌でも理解していた。

バケモノが腕を振り下ろし始めた時、私は上を見ながら目を見開いたまま呆然としていた。

このままじゃ潰される。抵抗するのも避ける事もできない。いや、できても死ぬ事に変わりはない。

もう死ぬんだと思った次の刹那・・・


「ドリャァァァァァ!!!」



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