表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Ημίθεος_ヘーミテオス_  作者: 五智噸虞
〜三章 魔の神殿〜
26/39

第26話 出発進行

26話です。


「さてと、まずは着替えて・・・顔を洗って・・・寝癖直して・・・よし!」


身支度が終わった私は朝食を食べ、荷物を持ち、入り口へと向かった。

身体が疲労でパンパンの状態だったのに、外へ出た瞬間その重みが一気に発散したかの様な気分になる。

おかしい、いつもはこんな感じにならないのに・・・と身体を触っていると奥から声が聞こえた。


「おはよう。エリシーちゃん」


「うっす!」


フローラさんとネロさんがいた。私は二人に迫る様に走った。

そして、この感覚の正体はフローラさんが今掌に出している花の匂いだった。

香ばしく、甘い。そこまで臭いも強くない、まるで高級な芳香剤の様な香りが漂う。


「お二人とも!おはようございます!」

「フローラさん。その花って・・・」


「あぁ、これはね。匂いを嗅いだ者の状態を反転させる効果があるのよ。」

「負の感情がプラスになるようになるの。だけど、私の力で正の感情がマイナスになることはないからそこは安心して大丈夫よ。」

「現に、ネロ君は大丈夫もの。」


「うっす。」


「そうなんですね!すごいですね!」


「ふふふ。ありがとう。それじゃあそろそろ出発しましょうか。」


「はい!」


そうして私たちは依頼されている神殿へと足を運び出す。

ここから神殿までの距離はおよそ20kmほど。そうすぐに着くような距離じゃない。

更に国を出れば森林などなく、平野が視界の奥まで続くような景色だ。


「こんなに遠いなら、移動系の技を覚えておけばよかったぁ」


私は思ったことを素で口に出してしまった。

もちろん二人にも聞こえるくらいの声で言ってしまった。雰囲気が悪くなると思ったけど・・・


「それもそうね。私の神脈で移動しましょうか。」


「えっ!いいんすか!?」


「私もそろそろこの景色に飽き飽きしてたの。でも、二人にとっては国外の任務は初めてのことだから我慢してたのよ。」

「ええと、風の方向は・・・うん。追い風だわ。」

「・・・『華脈・蒲公英の翼』」


フローラさんは瞬く間に巨大なタンポポを作り出した。


「さあ、これに捕まって!」


「うっす!」


「はい!」


「それじゃあせーのでジャンプするわよ!」

「せーの・・・!」


その掛け声と同時に私達は全力でジャンプした。

すると、フローラさんによる操作と強風風によってタンポポは勢いよく前進する。

下を見ると標高はざっと建物6階分まで上がっていた。

これは落ちたらタダじゃ済まなそう・・・

ただ、私達が捕まっている茎の部分には粘着性があるので落ちる事はないし、捕まり続ける様な力も必要ない。


そして数分後・・・


「はい。到着〜」


「ここが・・・」


私達は例の神殿へと来た。

外装だけでもかなりの年月が経っているわね。これ。

レンガで作られており、所々にコケや植物が壁に纏わり付いている。

いかにも神殿という感じがする。


「さあ。入りましょう」

「依頼内容は行方不明になった人の発見と、その原因の調査よ。」

「くれぐれも、何かあったらこの花にメッセージを伝えて連絡する事。」


フローラさんは手から小さな花を3枚出し、私とネロさんへ一個ずつ渡した。

これは相手の声が聞こえたり、自分の声を聞かせたりできるものらしい。

本当にフローラさんって頼りになるなぁ。


「それじゃあ、これからは解散っすよね!」

「俺、気になるんで先に行ってきます!」


「ああ、ちょっと・・・」


行ってしまった。

なんかネロさんって、たまに子供みたいな時あるのよね。

まあ別にいいんだけど。


「うふふ。それじゃあ私たちも行きましょうか」


「はい。」


神殿の中は意外と涼しく、そして広い。

一部屋だけでも相当な面積がある。

まるで迷路の様に色々な所に出入り口があり、段差も結構あるため見晴らしはあまり良くない。


「色々なるルートがあるのね。私はこっちに行ってみるから、エリシーちゃんは反対の方をお願いね」


「はい!」


私はその指示に従い、段差を乗り越えて次の部屋へと向かった。

向かった先にあったのは・・・


「うわぁ!?」


上下左右から噴き出る水の槍の部屋だった。

目を細めて奥の方を見るとまだ別の部屋がある。

ただ、この四方八方に飛び交う水の槍を超えない限り奥の部屋には行けない。


「勢いもあって、先端も鋭い。当たったらひとたまりも無いわね。」

「うーん。どうしようか・・・。あっ!止水の構えを使えば!」

「・・・ふぅ・・・・・・『止水の構え』」


大方予想通り。槍が先程よりも遅く見える。しかし、遅くなったとはいえど速度は十分ある。

私は辺りを見渡す。何か、ヒントがあるはず!


「・・・っ!」

「よく見たら、槍が出るタイミングには紋章陣が出現してる。」

「つまりは、私が気をつけるのは槍ではなく、紋章陣の出現する場所・・・行けるわ!」


私は華麗な動きで槍を躱わす。

多分、側から見たら踊りながら進んでいる様にしか見えないんだろうけど。


特に怪我することもなく。ここに来ることができた。

止水の構えの効果も切れて、疲労が体を襲う。

しかし、耐性が付いてきたのか、以前よりも疲れにくくなった。

以前が0であるなら20くらい体力は残っている。


少し休憩して100にした所で次の部屋へと足を運ぶ。

そして私は拓けた部屋に出た。

特に段差もなければ仕掛けらしいものもない。

辺りを見渡しながら部屋の奥へ進む。


「何もないの部屋なのかなぁ」

「とりあえずこの部屋について調べなきゃ」


調べようとメモ帳を取り出そうとした次の瞬間・・・

突然光の光線が私の目の前に飛んできたのだ。

私は防衛本能で頭を抱えてしゃがみ込む。


飛んできた方へ目を向けるとそこには、キラキラした女性が立っていた。


「貴女、一体何者なんですの!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ