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Ημίθεος_ヘーミテオス_  作者: 五智噸虞
〜二章 新たな地 〜
17/39

第17話 トリックスターとの訓練 シバside~

17話です。

少し長めです。

パルヴァティ様との雑談から丸一日経過した。そして俺は長い時間をかけて色んな物を創ったり改良したりした。


「よし!これで新たに弓、ナイフ、盾。そして剣、斧、槍の改良品を完成させたぞ!」

「時間こそかかったが、とりあえず出してみるか。」


そうして俺は手に意識を向けすぐに弓を出した。

やはり「創る」のは苦手だが「取り出す」のは容易だ。


・・・俺は、新たな武器を創る中で何が自分に合っているか考えた時、真っ先に思い浮かんだのが弓矢だった。

俺は1度創ったものは神脈が尽きない限り何度でも出すことができる。

俺の場合は一般的なアーチャーと違い在庫切れを起こさないことができることに気付き、すぐに作業に取りかかった。


だが、俺は近接戦闘の経験はあっても間接的な戦闘は未経験だ。

試しに食事の時に余っていたリンゴを的にしてやってみたが的に当たったのは5本中0本。

剣とは違う筋肉や感覚が必要になり、俺は苦手意識がついてしまった。


はぁ・・・とため息を出した直後、耳元に気配を感じ咄嗟にその気配から間合いを取る。

その気配の正体は・・・


「久しいなシバ少年!なんだか思い詰めてるみたいだが、なんかあったのか?」

フーディニさんだった。


「ふ、フーディニさんでしたか。何故あなたがこんなところに?」


「質問の答えになってねぇぞー。あと、さん付けはやめてくれ。呼び捨てでいいぞー。どうしてもっていうなら先輩って言ってくれ」

「んで、なんで俺がここにいるのかだったか?ついさっき階級上級者クラスの者達の鍛錬が終わったから、休憩がてら散歩してたらシバ少年を見つけたってわけさ。」


上級クラス・・・ああ、確か食事処に置いてあった掲示板のやつか。自警団員のランクを表していたんだな。あれ。


「はい、お前の質問に答えたぞー。次は俺の質問に答えてもらおうか。」


「あ、えっとー実は・・・」


俺は、先程まで悩んでいた事をフーディニ先輩に伝えた。


「なるほどなぁ。つまりは『自分の神脈と戦い方がマッチしていないんじゃないか』って事だろ?」

「よし!とりあえず鍛錬の間に行くぞー」


次の瞬間。フーディニ先輩が鎖で俺を縛って鍛錬の間へ連行する。

何もよしじゃないが・・・というかなんで鍛錬の間に?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

鍛錬の間


「ふ、フーディニ先輩。何故ここに連れてきたんですか?」

俺は思った疑問をそのまま先輩にぶつける。


「理由は、知識で覚えるよりも身体で覚えた方が早いからだ。」

「一旦俺と一戦交えてくれ。俺とシバ少年じゃ実力の差は歴然だが、差があった方が実戦に近いしいいだろ?」

「ちゃんと手加減はしてやるから、楽しもうぜ!」


フーディニ先輩ははめている手袋から鎖がジャラジャラと出し始めた。

俺もそれに合わせて弓矢を取り出す。

いざ試合開始となるところだったが、フーディニ先輩が何やら戦闘体制から脱力した姿勢を取った。

何やら足音が聞こえる。俺はその足音の方へ目を向けると副団長ランブルが鍛錬の間に入ってきたのだ。


「副団長。なんで・・・」


「いや、あいつがお前を誘拐してたのを見かけてな。一応様子を見にきただけなんだが・・・」


「こいつが遠距離の武器の使い方が分かんないって言うからぁ!!付き合ってあげてるんっすよ!」


「ほぉ・・・まあ良い。シバ。俺が指南を出してやる。戦闘中に意識するのは難しいとは思うが、まずは俺の言うとおりにしろ。」


「はい!」


(あいつ・・・入ったばかりの時より丸くなっているな・・・数日でこんなに変わるもんなのか?)

(それに、さりげなく俺のことを副団長って・・・生意気だった部分は削ぎ落とされたみたいだな)


そして鍛錬が始まった。


フーディニ先輩が鎖を大きく伸ばして左側から一面を薙ぎ払う。

俺は自慢の脚力で上へ跳ぶ。

すかさず矢を生成し、フーディニへ狙いを定める。


「シバ!周りをよく見ろ!」


その言葉に俺は狙いを定めるのをやめ視野を広くする。

すると右側から、鎖の先端に付いた巨大な鉛玉に直撃した。

遠心力も相まって威力が凄まじい。


吹き飛ばされつつも体勢を立て直し、受け身の体制を取る。

だが、相手は鎖の使い手。変幻自在に鎖を操るため、視界が鎖の大渋滞で埋め尽くされる。


「混乱するな!基本的に鎖は間合い管理が命の武器だ。今は取り敢えず隙を見つけて攻めろ!」


言われた通り自前の身体能力で鎖の隙間を掻い潜る。

俺は狙いを定めず、スライディングしながら矢を飛ばす。

当然だが、見事に外れた。すると突如背中から固い何かがぶつかってきた。

矢の軌道に目線が行き過ぎて背後から鉛玉が迫っていたことに気づかなかったのだ。

不覚にも俺は倒れ込んでしまった。


「悪くはなかったぞ!攻め方は上手いが、問題点はやはり精度と意識だな。」

「基本的に弓などの遠距離から攻撃するタイプは隠密に行動するものだ。」

「木の上や高台、草むらや林の中からなどがよくあるパターンだ。お前の場合は他に持ち武器があるから攻めに関しては問題はないだろうが・・・」

「さっきみたいに、意識してないところから攻撃がくることだって本番じゃ現実的な話だ。」

「この反省を踏まえてもう一戦戦ってみろ!」


「はい!」


それから半日以上、副団長の指南のおかげもあって俺は少しずつだが自分の腕に少し磨きがかかったのだった。

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