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Ημίθεος_ヘーミテオス_  作者: 五智噸虞
〜二章 新たな地 〜
14/39

第14話 リップルの散策 エリシーside~

14話目です

私はルフレ団長に見事完敗して遺憾な思いでいっぱいだった。

そんな私の様子を見てフローラさんが心配をかけてくれた。


「エリシーちゃん。大丈夫かしら?」


「は、はい」


「私の時がルフレ団長と戦った時もああいう感じだったのよ。老若男女関係なしに戦ってくる人で、過去に彼と戦って騎士団を辞めちゃった人もいるらしいわよ。」


「うへぇ」


私はその事実を聞いてお腹の奥から変な声が出てしまった。

じゃあ何?手加減てものを知らない人なの?!あの団長さんは!


「今いる団のみんなも全員ルフレ団長に敗れているんだけど、根気強い子だったり、負けたことによって逆にやる気が出るって子もいるから全員が皆ルフレ団長に負の感情を抱いているわけじゃないのよ」


「そ、そうなんですね」


「エリシーちゃんはどうだった?」

「ルフレ団長と一戦交えて、何か分かったこととか思うこととかあったかしら?」


フローラさんの言葉を聞いて更にルフレ団長の破格の強さを知った。

私は何度もさっきの戦いでのルフレの行動を思い返す。

そして私はルフレ団長は身体も顔も全く動かしていなかったことを思い出した。

要するに、私に対して相当の手加減をしていたのだ。いや、負けないことを確信していたのだ。


思い返すだけで自分の無力さに閉口してしまう。

するとフローラさんから一声がかかる。


「そんなに思い詰めてもすぐに変わるわけじゃないわ。」

「とりあえず気分転換に国内の散歩でもどうかしら?」


散歩か・・・

確かにここに来てから王宮に行くまでの間しかよく見てなかったな。

ウジウジしてても仕方ないしここはフローラさんの誘いに乗ってみよう。


満点の青空に浮かんでいる太陽の光を生い茂っている木々の葉が光を塞ぎ

又もや神秘的な光景が視界に映し出される。

村の時とはまた別物の自然を感じる。


私が目をキラキラと輝かせている時に右耳から生暖かい風が入り込んできた。


「ひゃい!!」


「うふふ。やっぱりあなた愛らしいわね。もう妹の様に思えてきちゃったわ。」


「か、揶揄わないでください!」


確かに、フローラさんには姉味を感じるけれど、今の私じゃ恥をかかせるだけだ!

今はただの先輩後輩の関係なんだ!よしそう思おう。


「エリシーちゃんあれ見てごらんなさい。」


私はフローラさんの指を指している方向に目を向ける。すると木の上で何やら可愛らしい小人が踊っているのが見えた。

ぴょんぴょんと跳ね、フリフリと踊るその光景を見て私の脳内は「可愛い!」という言葉しかなかった。


「あれは“覇神マルドゥク”が作ったものよ。」

「あれを国内に至る所に配置して常に様子を見てくれているのよ。」


なるほど。要は監視するための見張り人みたいなものだろうか。

それにしてもなんて可愛らしいんだ。ちょっと触ってみようかな。


私はスタスタと近づいていき、その小人に手を出そうとした。その時


「おっと!だめだよ触っちゃ」


「う、うわぁ!?」


急に小人が喋り出したのだ。驚きのあまり思いっきり後退りした。

なんなのよ一体。ってあれ?この声聞き覚えが・・・


「あっ君か。確か〜エリシーっていう女の子だっけ?」


この声はマルドゥク様の声だ。でもなぜこの小人から?


「ところで何をしていたの?お散歩?」


「まあそんなところですよ。この子昨日来たばかりでこの国について全くわからないと思ったので。」


「エリシーちゃんはキョトンとした顔をしているね。」

「君にはあまりこの国について言ってなかったから、いい機会だし教えておくよ。」


そこからはマルドゥク様が噛み砕いて説明してくれた。


リップルという国の8割はマルドゥク様が管理していて、辺りに植生している植物は全てマルドゥク様の力で生きているらしい。


ついでにこの小人は私の思い通り監視役としていたらしい。マルドゥク様がこの子と視界を共有して何が起きたかなど速やかに知ることができるという。


植物と小人を国8割を占める規模で管理をしているのだからパルヴァティ様が言っていた“ マルドゥクの神力はそこら辺の神では到底及ばないほど膨大なんだよ”の意味がようやく分かった。


「とまあこんな感じかな。」

「あっ、散歩するんだっけ?じゃあ僕が案内してあげるよ。」

「フローラもここに来て長いけれど、管理人の僕の方が色々と詳しいからね。」


「せっかくだし。ここはマルドゥク様に案内してもらいましょうか」


「はい。」


それからはマルドゥク様(小人)の案内に従って行動した。


巨木に巻き付いている蔓でブランコを作って遊んでいたり

木登りしている動物たちや

池の縁に座って絵を描いていたり

なのにゴミなどの汚物などは全く見当たらない。


国のみんなはこの自然を愛しているんだなぁという印象を受けた。


「あっ。この先は国の中心部でお店とか住宅があるんだ。」

「フローラと一緒に行ってきたら?」


「ではお言葉に甘えて・・・」


「うふふ。女の子同士のショッピングよ。楽しみましょうねエリシーちゃん♡」


場所は先程と打って変わって賑やかな街並みだった。

アトリビュートと比べたらそこまで規模は大きくはないだろうけど、それでも生活するに不自由なことはないだろうなぁ。


飲食店に雑貨店、武器屋に衣装屋など日常生活から戦闘用の物までぎっしりとしていた。


フローラさん曰く、この国で唯一激しい戦闘ができる闘技場があるとのこと。

私たちは、そこへ足を運び観客席へ入場する。


ちょうどそこで激しい戦闘が行われていた。私は誰が戦っているのか気になり辺りを見渡した。

すると看板に対戦表が貼ってあるのを見つけ、私は今誰が戦っているのか確認した。そしてそこには・・・


「グハァ!!」


「おっと!吹っ飛ばされたヴィッズ選手が立ち上がりません!ここで試合終了です!!」


試合終了の鐘と同時に大きな歓声が沸き上がった。


「実力者であるヴィッズ選手を倒したのは、我が国の騎士団長ルフレ選手!!」


「え、えぇぇぇぇぇ!!??」

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