第12話 似るもの同士 シバside~
第12話です。
次回は本格的にバトルオンリーです。
星やコメントは大変励みになります♪
「そういえばあなた達の神脈ってなんなんですか?」
「私は“光脈”光属性の神脈ですわ。」
「この鞄に入っている書は私の先祖“バルドル”から受け継がれているんですの。」
詳しく聞くと、どうやらその書にはその先祖様が使っていた技が描かれており
さらにその書は所持者の神脈の力を自動的に増幅させる効果もあるらしい。
「かっこいいですね・・・僕は“転ノ脈”です。あっ空の方の天ではなく転移の方の転です・・・」
「へぇ。ワープするとかですか?」
「はい。僕は実際に行ったところがある場所かつ、鮮明に記憶している場所じゃないとできませんが・・・」
なるほど、転移できるといっても発動できる条件があるのか。
てっきり妄想すれば何処へでも行けるのかと思っていた。絵本の中とか、存在しない場所とか
「移動する時とか便利ですわね。それでシバさん。貴方の神脈は?」
突然聞かれて戸惑うも俺は答える。
「俺は、木ノ脈です。」
「木ですか・・・あれですか?地面から無数の木が生えるとかですか?」
「いえ、どちらかというと前もって神脈で作ったものを即座に出せる。って感じですかね」
「つまり、前準備をしていないと神脈を使いたい時でも使えないと?」
「はい。だけどその弱みを補えるくらいの術をどんどん増やしていくつもりですよ。」
「僕みたいなゴミカスには君みたいな素晴らしい感情には一生なれません。アハハ・・・」
暗い・・・ルーラの根暗さには俺もナンナも少々苦笑いをしてしまう。
そんなこんなでお互いの育った環境や神脈について食事しながら話し合った。
食事を終えて食器を食堂へ返し、入浴を済ませ俺は眠りへついた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
数日後、副団長から招集を受けた。
どうやらここ数日国外付近の村で何者かの集団が住民を襲っているらしい。
「てなわけで、お前達3人にとっては初任務だ。お前達だけでは不安だから、そこそこの依頼をこなしているこいつを付き添いとして連れていく。」
「この自警団のトリックスター“フーディニ”だ。よろしくな!お前ら!」
この鉢巻を頭に巻きつけた茶髪の男性は今回俺たちの付き添い役としていくようだ。
「自分で異名を言うか?普通」
「なんかかっこいいじゃないっすか!異名入りの自己紹介って」
「あくまで今回の主役はこの3人。フーディニは見守り役、分かっているな?」
「うす!」
「まあヤバそうだったら助けてやれよ。入ったばかりなのに死なれちゃ困る」
そして俺達は支度をして屋敷を出る。
そしてフーディニは何やら小さな杖を取り出した。
「こいつを使って被害に遭っている場所へ飛ぶぞ!」
「飛ぶ・・・とは、転移するってことですの?」
「そうだ。それじゃあ俺に捕まれ!」
そして俺達はシュンっと杖の力を使ってとある村についた。
「ゲッ・・・何じゃこりゃ。建物が、、、壊されていやがる」
「と、とりあえず探索して何か手掛かりを見つけませんか・・・?」
「そうしよう。では俺とナンナ、ルーラとフーディニで分かれよう。」
俺たちは探索を始めた。
倒壊した家や濁った川など探したが
これといったものは見つからなかった。
元いた場所に戻ろうとした時、何処からかわからなかったが少女の悲鳴が聞こえた。
俺の様子を見てナンナはどうしたのか?と聞いてきたが、俺は全力で声の聞こえた方へ走り出す。
「ふえぇぇぇ・・・グス・・・グス」
「あぁ、村長さん・・・それ以上の傷は・・・!」
「ハァハァ、貴様らが何をしようとみんなを傷つけさせはせんぞ!」
「無駄な生命力だ。もうウザイから死んでくれ」
このままだと男が剣で爺さんを切られてしまう。
俺はそれを瞬時に判断し、足に力を込め前に大きく飛ぶ。
それと同時に槍を生成する。
「っ!!」
男は俺の存在に気付き後ろに下がる。
ズサーと地面との摩擦が働く音が響き俺は男の方を向き戦闘体制を取る。
「うざい客が入ってきたか、誰だテメェは。」
「名乗るまでもない。あんたを倒して、村の人々を助けにきた。それだけだ。」
直後、男が正面から突っ込んでくる!
俺はそれを軽々しく交わす。しかし、奴は血を流している爺さんへ向かって行ったのだ
それを瞬く間に理解し、全力ダッシュでそれを阻止する。
「う〜わ。速すぎんだろ。光属性かなんかなのか?」
今背後には村の人達が縛られている状態。
そして当然相手は武器を持っている。
そうなると、避ける=人々を危険に晒す事になってしまう
今俺ができるのは、奴の攻撃を受けてみんなに近寄らせないように反撃するのみ。
「ハァハァ・・・シバさん!これは一体どういう状況ですの!?」
俺は走ってきたナンナ達の声を聞きみんなを解放して避難させるように伝えた。
「させるかよ!」
パンパン!!
すると男は盛大な拍手を行った。
すると、奴の背後から2人の増援が来た。
俺は三人とも相手をするべく、槍を捨て剣を出した。
その後はまさに攻防一体。
「シバ君・・・!僕の力で何とかみんなを安全な場所に避難させたよ・・・!」
「ありがとうございます!」
避けてもいい状況になった今、俺は自由に動き回れる。
そう思ったが、突然奴らは地面に手をつけて煙を出したのだ。
シューという音と共に充満していく煙
完全な視界不良の状態になった。
「こっちだぜ!」
「グハッ!!」
「フン・・・!」
「遅い。」
「グウウ・・・!!」
何も見えない空間で不意打ちの連撃が俺の体を襲う。
しかも俺だけではない。ナンナやルーラの喰らっている声が聞こえる。
「鎖ノ脈・シュトゥルムローター!!」
フーディニが神脈を使って、幾つかの鎖を召喚しブンブンと高速回転させ煙を掻き消してくれた。
「おい!大丈夫かよ!」
「これしき大丈夫ですわ・・・」
「シバ君!ここは一旦フーディニさんに任せて逃げましょう・・・!」
二人の体を見るに、至る所から出血しているのが伺えた。
確かに、実力者であるフーディニに任せるのがいいだろう。
でも・・・
「ここで引いたら、天人様の期待を裏切るのも同然だ!俺はここで引く訳にはいかん!」
俺の言葉を聞いてナンナがフッと笑い立ち上がった。
「確かにそうですわね。天人様に選ばれたものとして。そして光の戦神の末裔として。わたくしも戦いますわ!」
「さてと、形勢逆転を取りに行くとするか!」