第11話 誇り高き自警団 シバside~
第11話です。
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夕陽が沈み、俺はランブルは食事処に移動する。その途中でランブルがこう質問した。
「・・・因みにだが、お前は俺のことなんて呼ぶつもりだ?」
「呼び捨てです。」
「はぁ。なんか舐められてる感じがするから普通に副団長って呼んでくれ」
「あと、初対面の奴を呼び捨てするのは無礼だぞ。目上の人に対してもな。せめて『さん』をつけろ『さん』を」
めんどくさいが一応従っておいた方がよさそうだな。
数分後、食事処の入り口に着き扉を開けると豪華な料理がズラっと並び
大人数の人々が楽しそうに話し合っている。
俺はボスに座席を指定され席に移動する。
するとその席の近くに二人の男女が座っていた。
「君も今日から入った人ですか・・・?」
「あ、ああ。そうですね。」
すると座っていた女性が席を立ち俺の方を向いて挨拶をしてきた。
「お初にお目にかかりますわ。わたくしの名はナンナ。以後お見知り置きを」
「あっ僕はルーラです・・・ごめんなさい。勝手に名乗ってしまって・・・」
俺は心の中で(キャラが濃い・・・)と思った。
ナンナという女性はなんか分からないが、容姿も瞳の中もキラキラしている。
瞳はまだ分かるが、周りの空気も眩しく見えるのは何故だ。
それとルーラという人物は・・・
こう思うのは失礼な事だと重々承知しているが、偏見だけで見たら根暗だ。
ぱっと見この二人の性格は正反対の様に見えるな。まるで光と闇みたいに。
いやでも、天人様に力を認められてここにきているわけだ。多分やっていけるだろう。
「お、俺はシバっていいます。今後とも宜しく頼みます。」
そしてランブルが挨拶をして食事会が始まった。
「今日の料理はなんか、新鮮な野菜や魚が多いな!」
「この前の任務のお礼としてアトリビュート周辺の村長さん方からのものだとよ。」
「大陸一の街の自警団なだけあって信頼されているわね。」
「やっぱり、この団は私にとっては誇り高き自警団だわ〜」
みんな自由気ままにガヤガヤと会話しながら食事している。
村ではこんなに賑やかな空間で食事なんて
したことなかったから新鮮な気持ちだ。
俺はそう思いながら手元にあるパスタを食す。
突然何やら隣から呻き声が聞こえてきた。
俺は声がする方に目を向ける
「うるさすぎますわ・・・」
ナンナが何やら耳を塞ぎながら苦しそうな顔をしていた。
ルーラも気分が悪そうな雰囲気だった。
俺はどうしたのかと尋ねる。
「食事中に黙食をしないなど、信じられませんわ!辛労辛苦、食事の時間だとしても食が進みません!」
「僕みたいなゴミ人間にこんな賑やかな空間は性に合いません。はぁ今すぐ部屋に帰りたい・・・」
どうやらこの賑やかな空気に二人とも慣れないらしい。
俺みたいに新鮮な気持ちになれればいいのだが
生憎そんなこと他人である俺がさせられるはずがない。
俺は席を立ち副団長のところへ向かい、二人の事を伝えた。
直後、副団長の隣に座っていた女性が立ち上がって
二人の所へスタスタと歩み寄っていった。
「ねぇ君たち?やっぱり慣れないかしら?」
「も、申し訳ありません。幼い頃から静かな環境で食事をしていたので、身体が自然と拒否反応を示していてしまって・・・」
「ぼ・・・僕は、みなさんみたいに明るい性格ではないので、こういった空気に耐えられません。ごめんなさい。」
それを聞くと女性が顎に手を当てて考えている仕草をしている。
「あっ!じゃあ今日は自分たちのお部屋で食べていいよ!食器は後で私が回収するからさ!」
「せっかくの料理を美味しく食べなきゃ、実質食べ物を無駄にしているのと同じ事。最初はこの雰囲気に慣れなくても、だんだん身体が適合してくるから。」
「ありがとうございます」
「はい。分かりました。では僕はすぐに部屋に戻ります。」
そういって二人は食べ物を持って部屋へと向かった。
ああ見えて、なんか貴族っぽい振る舞いをしていた彼女も俺と同じ
世間というものをあまり知らずに育ったのだろうか?
「そういえばシバ。お前は大丈夫なのか?お前も無理していないか?」
副団長がこんなことを言ってきた。
俺自身、ほぼ初めてに等しい出来事を体験できていることに
少々感動しているので「問題ないです。」と伝えたが
俺は食事を持ってあの二人のところへ向かうことにした。
二人に追いつき俺は声をかける。
「ハァハァ。あの、3人で一緒に飯食いませんか?3人ならそこまでうるさくはならないですし」
「・・・まあ、いいですわよ。自己紹介でもしながら食事としましょう。」
「い、いいんですか?僕なんかが入っても。」
「はい全然いいですよ」
そして俺達はちょっとした空いたスペースにあった丸いテーブルに座って会話をした。
「そうなんですね。」
「はい。親が厳しい方で学校以外外に出ることができなかったんですの。」
「僕なんか貧乏だから逆に何処にも行けなかったんです。」
「友達にもいじめられて学校にすらあまり行ってなかったんです。」
「でも、そんな私達でもこの名高い自警団に入団できたんですもの。そこは素直に喜びましょ?」
畑や田んぼしかない田舎で育った俺。
親の縛りで自由にできなかったナンナ。
貧困のせいでやりたいこともできなかったルーラ。
確かに俺達は世間をよく知らないもの同士だ。
しかし天人様に認められたもの同士であることも事実。
案外似ているところは多いのだろう。
そして俺はふと思ったことを質問した。
「そういえばあなた達の神脈ってなんなんですか?」