第10話 凍てつく空気 エリシーside~
第10話です。
星やコメントは励みになりますので是非お願いします♪
窓から光が差すのを感じ私はゆっくりと目を開ける。外にはチュンチュんとなく白い小鳥に風にゆらめく木々。
もしかして私、寝落ちしちゃってた!?お風呂も入ってないし、ご飯も食べてない!
部屋の隅に置いてある鏡を見ると髪の毛がありえないほどボサボサ且つ少々のフケが付いている。
顔もテカっている。自分で見ても流石に汚い・・・
昨日渡された地図を持ってすぐに脱衣所に向かった。中に入ると一人の女性が着替えていた。
「あらぁ?貴女は・・・」
「あっ、昨日この騎士団に入団したエリシーです!よろしくお願いします!」
大人の色気があって、同性でもその雰囲気に魅了されてしまう。
私は昨日同様、緊張しながら名乗った。
「うふふ。可愛いじゃない。大丈夫よそんなに畏まらなくても。」
「私は“フローラ”っていうの。貴女も朝風呂に浸かりに来たんでしょ?なら、一緒に入りましょ?」
私は速攻で服を脱ぎタオルを巻いて中に入った。そこにあったのは、広くて大きい浴槽が数箇所あるほぼ銭湯みたいな感じの浴室だった。
村には温泉こそあったものの、ここまでいい匂いで広々としているのは初めて見た!
そんな私の姿を見ていたのか、フローラさんは「初めて都会に来た子供みたいで可愛いわぁ。」と片手を頬に当ててにやけていた。
その声を聞いて我に帰り、今の身体を清潔にすることを思い出してすぐにシャワーへと向かった。
改めて見るとフケがすごいなぁ。しっかり洗わないと・・・
ゴシゴシと泡を立てながら徐々に髪を洗っていく。すると突然
「こ〜ら。そんなに強く洗ったら髪と頭皮が傷んじゃうわよ?こうやって、もっと優しくね・・・」
「はぁぁぁ気持ちいです・・・」
なんだろうこの感覚。まるで頭をマッサージしてもらってるみたい。それだけじゃない、後ろの髪も力加減がしっかりしてて。なんというか、気持ちいい・・・
「あらあら。そんな可愛らしい顔しちゃって。愛らしいわねあなた。」
「フローラさんの洗髪が気持ちよくて。こんなの今までなかったですよ。」
「それじゃあ今後から私と一緒に入りましょ?また洗ってあげるわよ?」
「喜んでぇ・・・」
そしてシャワーが終わり私達は浴槽に浸かった。
思い返せば子供の頃以来だった。お風呂で足を伸ばしながら入るのは。
するとフローラさんが何やら浴槽に浸かりながら神脈を使った。
「花ノ脈・癒しの開花華」
するとお湯の上に多色の綺麗な花が浮かび上がる。私は一つ手に取り匂いを嗅いでみる。
すると途轍もなく甘い匂いがしたのだ。それはまるで洗剤の匂いを強めた様な匂いだった。
「この花は疲労回復やストレス緩和、美容効果もあるの。」
「私は入るときいつもこれを出して疲れを取っているのよ。」
この短時間でもうフローラさんの事が好きになってしまった。なんというか母性というか大人の女性という魅力というかそういうものを大いに感じた。
そのまま私はフローラさんの出した花に癒されながら朝風呂を済ませた。
私達が満足気に脱衣所を出るとルフレ団長が壁に寄りかかって立っていた。
「部屋をノックしても出てこないし、朝食にもこないからもしかしたらと思って待っていた。」
「ああ、すいません!昨日お風呂入り忘れちゃって、朝起きて速攻お風呂に入っていました。」
「別に怒ってなどいない。俺はただこれをお前に渡しておきたかっただけだ。」
ルフレ団長の手には青色の大きな布みたいなものが乗っかっていた。
これは何ですかと聞いたら、「これはこの団員としての証のマントだ。」と言われた。
直後、フローラさんも脱衣所から姿を現した
「あっ団長さん。おはよう♡」
「ああ。」
「あらら?それはマントじゃないの!」
「エリシーちゃんも正式に仲間ってことになるのね。これからもよろしくお願いするわ」
「はい!」
今日からちゃんとこの騎士団の一員になるんだ!ちゃんと気を引き締めないと!
「朝食を済ませたら鍛錬場に来い。」
そう言ってルフレ団長は去ってしまった。
フローラさん曰く、ルフレ団長は入団した者の実力を知るために一度相見えるらしい。
それなら一層たくさん食べてエネルギーを蓄えなきゃね。
そして朝食をお腹いっぱいに満たしフローラさんに案内してもらった。
「お待たせちゃってごめんなさいねぇ団長さん。」
部屋には窓の景色を見ながら仁王立ちしているルフレ団長の姿があった。
「構わん。フローラ合図を頼む。」
「は〜い。分かったわ」
次の刹那、ルフレ団長の身体からシューと煙が出る。その凍てついた空気が部屋を満たし、私は徐々に悪寒を感じた。それと同時に私は団長の神脈の属性が寒い系統であると理解した。
フローラさんは神脈で大きな蕾の中に入り冷気を防いでいた。
そしてフローラさんからはじめの合図が告げられる!
私は例の技を発動した。まずは様子見の3割ほどの力で撃ってみる。
そしたら氷のクリスタルがメキメキと生えて団長を守ったのだ!
「ふざけているのか?全力で来い。」
その言葉自体が私の心まで凍らせてくる。私は震えながらも足を動かして背後へ回り込む。
ルフレ団長は身体を一切動かさなかった。死角に入り私は全力の“水銃”を撃ち放つ。
しかし、またもや氷のクリスタルによって防がれてしまう。
また撃っても別のクリスタルが防いでしまう。
何とかしないと寒さで足が動かなくなってしまう。
私は一旦距離を取るために団長から離れた。しかし離れている最中に目の前に姿を現して私を見下していたのだ。
私は尻餅をついてしまった。立ちあがろうとしても、身体が震えすぎて上手く立てない。
直後、フローラさんから止めの合図が出る。
するとさっきまで部屋中を満たしていた冷たい霧が急激に消えていった。
「まあ駆け出しはこんなものか。」
「少なくとも残像くらい驚かないと思っていたんだがな。」
「団長さ〜ん。 流石に若い女の子に対してやりすぎですよ!」
「俺はいつもこんなものだ。これくらいで根を上げないでくれよ。」
その後、団長はスタスタと歩いて部屋を後にした。
怖かった。あんなの今まで味わったことがなかった。私の全力でも団長を攻撃することはできなかった。
私は、団長と一戦交えて自分との力の差に驚愕したのだった。




