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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

あのあどけない寝顔に恋をした

作者:
掲載日:2025/10/06

前作の短編「綺麗なお姉さんに恋をした」のお姉さん視点のお話です。

彼女のことは知っていた。


清楚な佇まいに柔らかい微笑み、控えめな性格が行動の節々にみられて、ついつい私の視線は彼女に惹き寄せられしまう。


綺麗な子。


派手な美人とかではないけれど、


そこにいるだけで絵になるようなスタイルと顔立ち。


これは一目惚れ?


窓際の席から外に視線を向ければ彼女を探してしまっている自分がいる。


こうやって目で追うだけの生活も後少しで終わってしまう。




今日も彼女はいつものところにいるだろうか?


そうして向かう先は図書室の奥の一角。


いつも彼女が潜む空間がほんの少し見える個別勉強机。


それも彼女から気付かれず、それでいてこちらから見える唯一の場所。


だから私はこの机の住人のようにいつもこの場所をキープしている。


もし誰かにこの場所をとられて、


彼女の存在に気付かれてしまったら


きっとこの席は取り合いになってしまう。


あのあどけない寝顔の破壊力は誰でも好きになってしまうくらいの威力がある。


そして彼女を見つめるのが私の勉強の合間の癒しでもある。


受験が終われば後は卒業を待つだけ。


そう考えると残された時間が思いの外短いことに、胸がきゅっと切なさを訴えてくる。


あぁ、この幸せな時間が終わってしまう。


嫌だ、このまま何もしないで

この気持ちを終わりにするなんてできない。


もっと彼女に近づきたい。


触れてみたい。



勉強が一段落してホッもひと息つく傍らで、

視界の端の彼女に視線を移す。


あどけない寝顔がなぜか私の心を惑わす。

魔が差したのだと思う。


私はそのまま帰り支度をして、荷物はそこに置いたまま席を立つ。


そして引き寄せられるように彼女のもとまで足を進め、


周りに誰も私の行動を見ている人がいないことを確認して、彼女のそばで座り込み、

彼女の寝顔を間近で覗き込む。


かわいい。

あぁ、すき。

ホント好きだなぁ。


そうやってぼんやり好きを噛み締めていると、彼女の瞼を震えてゆっくり開いていく。


彼女の視界に私が写ると目が見開かれてすごく驚いて固まってしまった。


彼女の瞳の中には驚きはあれど拒絶はなくて

それが嬉しくて

だから大胆に口づけをした。


心臓が飛び出そうなくらい、早い鼓動を無視するように

或いは麻痺したように

彼女との口づけの虜になる。


彼女の混乱に乗じて彼女の唇を堪能する。

もっと、もっと


彼女の唇に舌を這わせた時に

彼女から聞こえた声で

ハッと我に返り

青ざめる。

やってしまった!


それでも焦りを表情に極力出さないように

余裕の先輩を演じるように

そっと唇を離して

頬に手を添わせながら彼女を覗き込む。


大丈夫、そうかな?

拒絶の色は、ない。

むしろもっと、という感情さえうかがえる。


そのことにホッとしつつ

調子に乗って、彼女の唇の合わせ目に指を這わせる。


その先を求めるような彼女の唇が開くのを目にして、

でもそれ以上をしてしまうと止まらなくなる。

だから、自分の欲望をグッと抑え込み、


余裕の笑みでふふっと笑ってみせ、


名残惜しい気持ちを振り切るように

彼女の唇から指を離して立ち上がる。


それから彼女の耳元に唇を寄せて


「またね」


と囁いて、出来るだけ余裕のある先輩の後ろ姿を意識しながら


逃げるように踵を返して

自分の荷物を素早く回収し、

図書室を後にする。


私の鼓動は次を期待して高鳴っていた。

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