現実は…
~前回のあらすじ~
モンスターから逃げた2人が訪れたのは魔女の里の入口だった。
そこでショートはレーネから亜人の弱さを垣間見せる話をされつつ2人はフレンドを交換したの
だった。
フレンドがログインしました。
フレンドから通話が来ています。
『応答』
「もしもし」
「ショート?」
「どうしたレーネ?」
「あなた今どこにいる?」
「最初の平原だけど…」
「わかった」
「今からそっち行くから待ってて」
「了解ぃ~」
フレンドとの通話を終了しました。
数十分後…
「お待たせ!」
「何してたの?」
「レベル上げ」
「そっちこそどうしたの?」
「いやぁ~、ちょっと頼みたいことがあって…」
「また、歩きながら話そ」
またもや2人は迷いの森的な所に入っていった。
「で、頼みたいことって?」
「私今まで魔女、魔女って言ってきたけど…」
「実は男だった!」
「とか?」
「そんなわけ無いじゃないッ!」
「そもそもウィッチは女性専用種族だし!」
「そうなの?」
「それでも…」
「このゲームにネカマなんていないはず」
「アバター自体現実の本人とそっくりなの」
「これはオフ会時に壁ができないように
するためのシステム」
「だから私の性別も顔も声も現実と一緒」
「ショートもそうでしょ?」
「確かにそうだね」
「って、こんな話をするために
呼んだんじゃない!」
「そうそう」
「今まで魔女って言ってきてたけどなに?」
「私…実は…」
「魔女見習いなの」
「やっぱり」
「やっぱりって!」
「あんた知ってたの!?」
「うん」
「レーネが落ちた後里を散策してたら
お婆ちゃんにここにいるのはだいたい
見習い魔女だって言われたから」
「レーネもそうなんじゃないかなぁ~?」
「って、思って…」
「ハァ~、お婆に会ったんだ…」
「あれがそうなの?」
「里に住んでる老婆は、お婆しかいないから…」
「そして私の頼み事ってのがそのお婆関連なの」
「関連って?」
「私は魔女になるためにお婆からの依頼を
こなしてたんだけど…」
「ついに魔女になるための最終試練まで
来ちゃったの…」
「よかったじゃん!」
「これで魔女になれるんでしょ?」
「そうだけど…」
「問題はそこじゃないの…」
「その試練にあるの…」
「その試練の内容って?」
「ウィッチハンターの討伐…」
「あからさまな名前だな…」
「で、その強さは…」
「ウィッチに対してキラーがある…」
「攻撃力もそこら辺の雑魚と比べると段違い…」
「そして最後に…」
「体力が多くて耐性もころころ変えてくる…」
「強すぎませんか…?」
「そう、強すぎるの…」
「これがこのゲームの難しいって言われてる
ポイントなの…」
「魔女見習いのままでもよくね?」
「それじゃダメなの!」
「魔女にならないとワールドマップには
出れないし…」
「お金ももらえない…」
「お金?」
「そう…」
「私現実の方で借金があるの…」
「1000万程の…」
「それを返すために働いたけど利息が高すぎて
私はひとりの手じゃ返しきれない…」
「だから最近噂になってるゲーム裏サイトの
お題掲示板で良さそうのを見つけてきたの」
「それがこのゲームでどこまで行けるかっ?」
「ってやつなの…」
「わりと簡単そうだけど…」
「そんな簡単じゃないってことはプレイして
よくわかった!」
「このお題MODの実験も兼ねてるの…」
「MOD?」
「そう、いわゆるハードコアってやつ…」
「私は死ねないの!」
「ワールドマップに出てからが報酬対象
だから…」
「驚いたな…」
「でしょ…」
「俺と同じ目的の人がいるなんて…」
「えっ?」
「俺もいろいろとあって現実に借金があるんだ」
「一生働いても返せないくらいのが…」
「だから俺もレーネと同じく裏サイトに
たよってこのゲームを亜人でクリアするって
お題を受けてるんだ…」
「まぁ、この本体とゲーム買うのにまた借金
したんだけどね」
「…」
「本当借金ってクソだよなぁ~」
「青春は借金で全部吹っ飛んだし」
「私も…」
「今まで生きてて幸せなんて全然なかった」
「他人に背負わされたものだからさらに
腹が立つ」
「私も…そう…」
「だったらさ、今から幸せになるために頑張ろ」
「ちょうど同じような境遇の2人が
出会ったんだ」
「運命共同体ってことで頑張っていこうよ?」
「一つ幸せなことがあると言えば」
「これがゲームだってこと」
「現実のバイトとは違い大きな目標がある」
「だからさ…」
「…」
「うん…」
「わかった…」
「私は幸せになる…」
「幸せになってやるッ!」
「よしっ!」
「それじゃあさっさと討伐準備を始めようぜ?」
「えっ?」
「そのために俺を呼んだんだろ?」
「…」
「うん!」