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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

きっと酔っていただけだから

作者: 達磨

またやってしまった


休日の朝、知らない部屋の知らないベッド


腕の中には知らない女性


そしてシーツには随分と乱れた跡が


今回もまた起こさないように服を着て、荷物をもって部屋を出る


酔った僕はどうやら相当口説き上手らしく、月に数回こういう事が起きる


酒を飲むのをやめようと何度も思ったが、アルコホリックなのかやめられない


そもそも記憶も飛ぶのでどういう経緯で飲むのかすら覚えていない


今回は随分と家から遠かった、こう月に何度もあると電車代だけでもそれなりにかかってしまう


本来心配すべきは相手の女性のことなんだろうが


どうやら避妊具の類いは着けていないようだし


ヘタレな僕はいつも逃げている


不思議とその女性達とは記憶の有るうちに出会ったことはない


一度病院にでも行ってみるか、いやこんなこと相談できないな


今後はより一層酒に近づかないようにしよう



~一週間後~


やってしまった


知らない部屋の知らないベッド


腕の中には知らない女性






の死体


胸には深々と包丁が刺さっている


脈もなく、心音も聞こえない


肌はまだ温かいが、恐らくこれから冷たくなっていくのだろう


訳がわからなかった


確かに今までの過ちもけして普通ではないし、倫理的にも良くない


だがそれでも女性を肉体的に傷つけたことはなかった


だがいま隣の女性は蝋人形のように白く動かない


次第に僕は現実から目をそらす


もしかしたら自分がやったわけではないのではないか


そんな幻想を抱き始めた


そのために情報を少しでも集めなくては


まずは自分の携帯を見る


こちらは特に変わらず、誰とも連絡をとった形跡はない


昨夜に関するデータは特になかった


分かったのはここが会社と自宅からそう遠くないことぐらい


次にこの女性の携帯、これは枕元にあった


ロックはかかっておらず、簡単に開く


待受画面にはファイルが一つだけ貼り付けられていた


ためらいつつもそのファイルを開く


動画のファイルらしく、数秒のローディングの後、再生が始まる


~一時間後~


動画の内容はまるで現実味がなかった


他人としか思えない誰かが、容姿だけは自分自身である誰かが


死体の女性(またはこれから死体になる女性)と甘い言葉を交わし、愛撫し、舐め合い、交わっていた


飛ばし飛ばし見ていると、それは数時間にも及び、女性が疲れて眠ってしまっても、僕らしき誰かは酷く執拗に彼女を求め続けていることが分かった


そしてカーテンの隙間から薄明かりが入って来た頃、唐突に画面から消え、戻ってきたときには手に包丁を携えていた


ここから先は見たくなかったが、動画は勝手に流れていく


僕らしき誰かは女性にキスを(優しく)して包丁を彼女の胸に沈めていった


女性は目を覚ますことなくその刃を受け入れていく


そして誰かはカメラに向かって僕とカレン(動画で何度も読んでいた名前)に「おやすみ」を言って、生死の間にいるであろう彼女の隣には滑り込んだ


どうやら誰かは僕であって僕でない誰からしい


ならば、そう、話は簡単だ


僕は冷蔵庫に向かって(まるで自分の家のように)冷蔵庫を開け、種類も知らない酒を数本取りだし、立て続けに飲み干した


頭痛を感じながらも意識は濁っていく


僕がやったんじゃないなら、あの誰かが責任を取るべきだ











まあ それもそうだな 兄弟

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