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サラリーマン、異世界へチート通勤する  作者: 縞熊模様
第1章
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互いに睨み合う状況になったが、やがて男が口を開く。

「愚かしい…、人間どもよ…。何故…、我々の邪魔をする。そして、お前らは何者…なのだ…。ただの人間ではない事は…、分かっている」

ローブの男は声が低く、唸っているかの様なたどたどしい言葉を発してくる。

すると、ノアはニヤリと笑い、良翔に声をかけると同時に、右手をその男に向けてかざす。

『良翔!捕虜はコイツに決まりよ!どうやら話せるみたいだからね!私はコイツを捕らえる!良翔は迷わず他のこの森に潜む、奴らを今すぐ倒しちゃって!』

良翔は一瞬迷ったが、すぐに割り切り、ノアの言葉に従う。

ノアを信用するしかない。

城下内の奴らにこの状況が伝わらない様にしてくれる、と言うのだから、それに従うまでだ。

良翔はすぐさま大地に手を触れ、魔力を流し込み始める。

「な、何を…」

恐らく、威嚇のつもりで姿を現したであろう男は、突然良翔達が動いた事で反応が遅れる。

良翔はその男を気にもとめず、流し込んだ魔力から、アースワイバーン達の位置を全て特定し、一気にその地点へ魔力を大量に流し込む。

すると、森の中から、あちらこちらで光の柱が無数に空に向かって上がる。

アースワイバーンの下から、高威力の魔力球を出現させ、地面もろとも消し飛ばしたのだ。

地響きがし、やがて静まる。

男は焦りその場を動き、戦おうとするが、姿を人からアースワイバーンへ戻す事も出来ず、魔法を放つ事が出来ない。

どうやらノアが何かした様だ。

男はすぐに、攻撃しようとした動きをやめ、沈黙する。

恐らく城下内の仲間達と連絡を取ろうとしているのだろう。

だが、どうやら上手くいかなかった様だ。

目を開き、苦い顔をする。

「何を…、した…?」

恨めしそうな顔を向け、良翔を睨んでくる。

良翔はすぐに広域鑑定で森の中を探る。

森の中のアースワイバーン達の反応は綺麗に消えていた。

残すは、このローブの男だけだが、不思議な事にこの男の反応も、消えていた。

良翔はノアを見る。

するとノアはニヤリとし、説明する。

『この男の周りだけを高出力の私の魔力で覆ったのよ。この男の魔力では絶対に壊せない程の魔力でね。私の魔力でこの男を覆う事で、コイツが行おうとした魔力は全て打ち消されるわ。当然城下内の仲間との連絡も魔力を使って行なっている筈だから、それも断ち切った筈よ』

成る程と良翔は思う。

確かにそれなら、この男は魔力を使う事も出来ず、元の姿にも戻れない、少し強めの肉体を持った人間と同様になってしまった訳だ。

「くっ…、貴様…」

ノアの説明を聞いた、ローブ姿の男は怒りを露わにする。

だが、その強力な魔力障壁に阻まれ、狭い範囲ではろくに動く事も叶わない。

するとノアはギロっと男を睨み、ドスの効いた声で男へ話しかける。

『よくもまぁ、私達の手を煩わせてくれたじゃない』

あのギルドで絡んできた男達に向けて放った威圧など比較にならない程の圧倒的に強いオーラを纏いながら、一歩ずつローブの男へ近づく。

男は突然変わったノアの空気に驚き、目を離せずにいる。

ノアの周囲はその凄まじい空気感によってか、パチパチ音を立て始める。

ノアが一歩踏み出すたびに、大地に亀裂が入り、近くにあった小岩が弾け飛ぶ。

「お、お前はいったい…」

男が明らかに先程とは違い、怒りは消え失せ、恐れを感じている。

すると突然鈍い音が男から聞こえる。

バキボキ、ボキ

ブチ、グシャ

男から嫌な音が聞こえる。

途端に男はドサっと地面に腰を落としてしまう。

男の両足がグニャグニャに曲がり、ありえない方を向いている。

足の骨を砕き、筋肉を断裂させたのだろう。

たまらず男は悲鳴をあげる。

「ぐあぁぁぁぁ!!」

だがその間、ノアは歩みを止めず、一歩一歩ユックリ、男へと近づいていく。

男は痛みに必死に耐え、ノアが近づいてくるのを恐れ、意思に沿わない足を引きずり、手で這って、ノアとの距離を取ろうとする。

だが、すぐに障壁に阻まれ、その先へは進めなくなる。

男は明らかに焦り、行き止まりとなってしまった所ですぐにノアの方を振り向く。

すると、パン!っという乾いた音ともに、男の右手が弾ける。

途端に男は大声で叫ぶ。

「うぐぉぉぉぉ!!」

男からはもう戦意は明らかに消え失せている。

だが、ノアはゆっくりゆっくりと、強烈な空気を放ったまま男に近づいていく。

男はノアを見、なんとも言えない声を出す。

「ひっ」

ノアは男のすぐ目の前まで、障壁の目の前にまで来て、立ち止まる。

ノアはユックリと、だが、とても冷たい乾いた声で男へ話しかける。

『死ねばいい。だけど楽には殺さない。私達にこれだけの手間を煩わせたのよ?私達に逆らった事を後悔させてあげるわ…。因みにね…、アンタ達モンスターは魔力で出来てるわ。つまり魔力さえ与えれば死なないって事よ。だがらね、こんな事が出来る』

そういうと、男の右足がみるみる再生されていき、あっという間に正常だった時の足に戻る。

男はノアが何をしようとしているのか理解出来ず、ただただ再生された右足に驚いている。

だが、その途端、再び、骨を砕き、筋肉をひき潰す音が聞こえる。

再び再生された足が、先程とは違う、明後日の方へ向いてしまう。

「あががぁぁぁぁ!!」

男は再び絶叫する。

まさにノアが行なっているのは究極の拷問だった。

良翔は、途端に強い吐き気を覚えるが何とか堪え、その光景から目を逸らさずに、見つめる。

ノアがなぜこんな手段に出たのか。

良翔は理解出来る。

とにかく心を完全に砕き、知っている事を全て話させて、この無限の苦痛を終わらせて欲しいと願うまで追い詰めるつもりなのだ。

そうでもしなければ時間がかかってしまう。

街ではいつ被害が出てもおかしくない状況にあるのだ。

悠長に尋問などしていては間に合わなくなる。

その為、この強烈な迄の拷問が今取れる最速の情報収集法なのだ。

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