表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サラリーマン、異世界へチート通勤する  作者: 縞熊模様
第1章
86/163

1-86

良翔とノアはゲートを通り過ぎ、行きに通った森の中へ出る。

森はつい先程通ったばかりだが、この近くにアースワイバーンが居ると思うと、先程とは違い、不気味に見える。


ノアはゲートをくぐるなり、直ぐに大地に手を触れ、アースワイバーン達の位置を探る。

そして、良翔に顔を向け、小声で伝えてくる。

『ビンゴよ、良翔。あっちの方に200匹程地面に潜ってるわ』

良翔は頷き、ノアに追加の確認を依頼する。

「分かった。コッチは俺とノアで一気に退治しよう。それで悪いんだけど、足りず全域も調べられるかい?街にどれだけ潜伏しているか把握したい」

ノアは頷き、再び地面に集中する。

良翔はその間に、バンダンへ連絡する。

「バンダン!バンダン聞こえるか!まずい事が起きたぞ!」

直ぐにバンダンから返事が返ってくる。

「どうした良翔!森でまずい事が起きたのか?コッチはもう5分程で全員で一斉に捕獲を開始するぞ!手短に内容を教えてくれ!」

バンダンもいつもの様子ではなく、ピリピリしている様だった。

そこで、良翔は焦る気持ちを落ち着ける為に、一呼吸おく。

「森のアースワイバーン達は既に殲滅した。だが、300匹程しか居なかった。残った200匹はタリスの近くの東の森の中に潜伏している。そして、俺達も今その森に戻ってきた。コイツらは俺達がこれから直ぐに殲滅させる。それで、気掛かりなのは、街の中にも複数侵入し、潜伏している可能性があるという事だ。今ノアにその位置や数を調べてもらってるから、開始の合図を遅らせてくれ。状況が把握でき次第、こちらのアースワイバーンを殲滅して直ぐにそちらに向かう。作戦の開始はその情報を聞いてからだ」

バンダンは良翔からもたらされた情報により、驚きと焦りから、何かを言いたくなったが、グッと我慢し、良翔の判断が正しいと直ぐに理解する。

「分かった。こちらの動きがアイツらにバレるのも時間の問題だ。今街には容疑候補者達の近くに冒険者達を既に配置しているからな。急げ、良翔!余裕はほとんどないぞ!」

「ああ、分かっている!それまでなんとか持ってくれよ!」

そう言い、良翔はバンダンとの念話を切る。


良翔は念話を切るとノアの様子を伺う。

ノアは、少しした後顔を良翔に向ける。

『幸いにも、街の地下に潜っている様子は無さそうね。ただ…』

良翔は不安を覚える。

「ただ…?」

『地面に伝わる地上にいるアースワイバーンの亜種と思われる魔力の数が、30匹を超えるわ…』

ノアの話を聞き、良翔は苦い顔をする。

今バンダン達が想定している街内での対応出来る数は20匹程なのだ。

残りの10匹以上にはどう対応すれば良いか、良翔は頭を悩ませる。

先程の様に地面から一斉に吹き飛ばすわけには行かない。

街には多くの人が生活しているのだ。

隠れ潜んでいる奴らが屋内にいようものなら、建物ごと吹き飛ばしてしまったら被害は甚大になってしまう。

奴らが全員地上にいるという事は、何とかやりようのある気がするが、これといった手が思いつかない。

「どうにかして、奴らが屋外にで出て来さえすれば、追尾式の高威力魔力球をぶつけて、地面に着弾させずに、空に逃せば街や人に被害を出さずに済むのだけど…」

『そうね…。奴らが外に出なくてはならない理由を作れれば良いんだけど…。適切な策が思いつかないわね…。奴らが街に潜み、破壊をせずに潜む理由は、エルフの村以外にこの街で探しているものがあるから、なのか、この街で人に介入する事で何かを手に入れられる事が出来る、という事なのかしら…。やっぱり目的がはっきりしないと、奴らが何を欲しているのか分からないわね。欲しているものが分かればそれを囮に外に引きずり出す事が出来そうなんだけどね』

良翔も頷き、必死に考える。

確かにノアの言う通りなのだ。

奴らが街で何かを狙っている。

その狙っているものが分かれば、それを餌に外に引きずり出せる。

そうすれば一網打尽に出来る。

そして、良翔は危険だが、ある1つの手をノアに打ち明ける。

「ノア、これは正直賭けなんだけど、この森の中に亜種が含まれているなら、そいつを1匹だけ人質に出来ないかな。そいつから情報を聞き出すしか手が思いつかないんだ。恐らく殲滅は容易い。そして奴らが動き出していない所から察するに、古の森の様子をまだ把握していない可能性が高い。把握される前に、コイツらを倒して、城下内に潜む奴らに連絡させない必要がある。それを行いつつ、捕虜を捉える必要がある」

良翔は話を一旦切り、ノアの反応を伺う。

ノアは真剣な表情で黙って頷く。

「だが、課題が残る。1つは捕虜にした奴を城下内にいる連中との連絡が出来ない様にする必要がある。いずれは気付かれるだろうけど、多少の時間稼ぎは出来る。もう1つはその捕虜がどうしたら口を割るかだ。ノアはこの作戦についてどう思う?」

ノアは少し考えてから、口を開く。

「その2つの課題なら、何となく出来る気がするわ…」

良翔は目を見開き、ノアを見る。

「どうやってやるつもりなんだい?」

それは…、とノアは口を開きかけて、だが噤んでしまう。

怪しい気配を察して、良翔の後ろを鋭い視線で睨みつける。

良翔もノアの様子に聞き返しかけた口を閉じ、黙って後ろに振り返る。

するとそこには赤い目をしたローブの男が立っている。

だが、その男は昨日見た、ローブ男とは違う様だ。

鋭い視線をこちらに向け、黙って立っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ