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サラリーマン、異世界へチート通勤する  作者: 縞熊模様
第1章
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1-64

しばらく西に飛び、森の終わりにたどり着くと、ノアが空中で止まる。

停止したまま、辺りをユックリ見回す。

恐らく鑑定しているのだろう。

少しして、ノアが口を開く。

『やはりね。良翔もあっちに向かって魔力を探す様に鑑定してみて。面白いものが見えるわよ?』

良翔はノアに言われた通りに、柳亭の宿泊部屋で行った様に、魔力を探知する鑑定を森の西側に向かって広範囲に行う。

すると、森の終わりから西に100メートルほど離れた所から、森の西側を、上空まで覆う様に地面から魔力の薄いヴェールが確認出来た。

何とそれは、森の西側をほぼ北から南までの範囲で覆っていた。

「すごい範囲だな…」

『そうね、この大規模な探知網を張るだけでも、相当な魔力を必要とするわね。ただ者じゃないって事だけは分かるわ…』

良翔は頷く。

「でも、これどうしよっか…」

するとノアはニヤリと笑い

『当然、壊しちゃいましょ♪』

「そうだね、これだけの範囲を作り直すのは相当時間がかかる筈だし、いい時間稼ぎになるかもしれないしね」

そう言うと、ノアと良翔は二手に分かれて、北と南の端にそれぞれ向かう。

互いに念話で端についたことを確認すると、分解のスキルで探知網を全て魔素へ分解していく。

30分ほどかけ、良翔とノアが再びお互いに出会う頃には、全ての探知網の分解が完了していた。

今頃敵は怒り狂い、同時に慌てふためいているかもしれない。

ノアは仕返ししてやったと満足気な笑顔を浮かべる。

互いに合流したところで、本来の次の目的へ移る。

ファウンドウルフの討伐だ。

良翔とノアは、森を後にし、森の南西に向かう。


その頃、森の奥深くで、静かに蠢く巨大な塊が居た。

鼻息が、激しい怒りを表す様に、蒸気を立てながら吹き出される。

興奮している1匹のアースワイバーンが地上へ這い出してきたのだ。

そして、それは怒りがピークに達したのだろう、やがて、凄まじい怒りの咆哮を天に向かい、けたたましく叫ぶのだった。

だか、良翔達にはその声はもう届かない。


良翔とノアは森を抜け、草原に出る。

周囲の安全を確認し、任意の場所へ降りると、先程の内容を、良翔は地図にに書き記していく。

場所は数が多過ぎて記載出来ないが、アースワイバーンのおおよその数と、潜伏方法、赤い目のローブの男を目撃した場所などを地図の余白に記入する。


「さて、こんなものかな…」

良翔はペンを収納し、書き込み終わった地図を目の前に掲げて、眺める。

すると、ノアは、どれどれ、と無造作に後ろから、良翔に抱き着いて、首に手を回し、良翔の左隣から顔を出して地図を覗き込んでくる。

「!!??」

良翔は思わず、固まり地図から目が離せない。

目は地図を一生懸命見ているのに、背中に当たる、柔らかさを全神経が感じ取るかの様に、意識はそちらに行ったままだ。

「ノ、ノアさん?ちょっと…、近いんだけど…。その…、む、胸が…」

するとノアは意地の悪い笑顔を浮かべるが、良翔は気付かない。

『あら?良翔、家族ってこんな事しちゃいけなかったの?私テッキリ家族になったんだから、抱き着くくらい問題ないと思ってたんだけど…。それに、芽衣ちゃんも喜んでたし、良翔も喜ぶかなって、思ったんだけど…。だけど、そう思っていたのは私だけで、私自身、まだ、良翔の家族にはなれてないのかな…』

と、ワザとトーンを落とし、悲しそうな声を出す。

良翔はそれを聞き、慌てて、訂正する。

「い、いや、ノア全然問題ないよ!もう、ノアも家族なんだから、全然、俺に抱きついたって問題ないさ!そ、それは芽衣も喜んでたことだし、俺にしても何の問題ないよ!ちゃんと嬉しいさ!」

すると、ノアは悲しそうな表情から一変して、満面の笑みを浮かべる。

『うふふ。そう、ならよかったわ』

そう言い、ノアは更にグッと抱きついてくる。

良翔はたまらず、地図に書き込むために、下ろしていた腰を急いで上げ、話を変える。

腰を上げると同時に、ノアの手が、良翔の首から離れる。

よし、脱出成功、と良翔は心の中で安堵する。

どうやら、先程の戦闘でノアは少し興奮状態らしい。

その為か、行動も大胆になっているようだ。

良翔は、そう思う事にし、自分の気持ちを鎮める。

「そういえば、もうお昼だね!今日の芽衣のお弁当は確か唐揚げだったな。お腹空いたから楽しみだ!ノアもお弁当食べてから、次のクエスト開始で問題ないよね?」

チッ

ノアは小さく、良翔に聞こえない程度に舌打ちし、直ぐに笑顔を作り直す。

『そうね、そういえばお昼だったわね!言われてみれば私もお腹ペコペコだわ!芽衣のお弁当楽しみ♪』


良翔とノアはそのまま、地べたに座り、良翔は収納から、2人のお弁当箱を取り出す。

取り出したお弁当箱の一つをノアに手渡し、良翔は自分のお弁当の包みを開ける。

すると、中から一枚紙切れが出て来る。

ノアは自分のお弁当を受け取った事で、自分のお弁当箱に夢中だ。

良翔はそっとその紙切れを開くと、

“浮気は、ノアちゃんでも、ダメだぞ?”

とだけ、書かれていた。

なんてタイムリーなんだ。

良翔は思わず、お弁当を落としそうになるが、なんとか落とさずに済む。

芽衣のこの読心術の様なメモは、たまにするど過ぎて笑えない。

ノアはそんな良翔の事はお構いなく、一口食べては美味しそうに、笑顔を見せながら、パクパク食べている。


まぁ、こんなに喜んでるから、気にしない事にしよう、良翔はそう思い、自分もお弁当食べる事にする。

うん、やはり芽衣のお弁当は美味い。

素直にそう思い、お弁当を食べ続ける良翔だった。

いつもお読みいただきありがとうございます。

申し訳ありませんが、本日はこの更新のみとなってしまいます。

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