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サラリーマン、異世界へチート通勤する  作者: 縞熊模様
第1章
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すると、ノアは何かに気付いたかの様に、突然鋭い視線を森の中の一点に向ける。

途端に

『良翔危ない!!』

そう言い、凄い勢いで、良翔にタックルする様に飛んで来て、良翔を抱えてその場を離れる。

良翔は突然の事に、体勢を崩し、ノアのタックルの様な体当たりに、なす術なく吹き飛ばされる。

ノアが必死の形相で良翔を抱えながら、良翔がいた辺りを見ている。

すると、僅かに遅れて、先程まで良翔がいた位置を光の束が空へ向けて通り過ぎて行く。

光の束は周囲にバリバリと雷の様な物を放ちながら、通り過ぎ、やがて空高く消えていってしまった。


ノアは良翔に向け、叫ぶ。

『良翔!!早く防御壁を作って!!』

ノアにそう言われ、良翔は我に返り、慌てて、自分に防御壁を張る。

それと同時にノアが叫ぶ。

『次が来るわ!』

すると、眼科の森の一点が突然光り、良翔たちに向けて、先程と同じ光の束が飛んでくる。

良翔はそれを、今度はノアを抱き抱えて、かわす。

「なんなんだ、一体…」

そう口にしながらも、良翔は先程、光った森の一点を見つめる。

目には視力が高まるように魔力を利用する。


すると、そこにはバンダンから聞いた通りの、まさに赤い目をしたローブ姿の男が、こちらを恨めしそうに睨みながら立っているのが見えた。

『アイツが…!』

ノアも視認したらしく、そう口にする。


良翔とノアと視線があった事に気付いたローブ男は、途端に森の中へ走って姿を消す。

『よくもやったわね!許さない!!』


ノアは激怒した様子で、すぐに右手を上に上げ、掌から、光の玉をいくつも作り出すと、男が逃げていった方向に向かって、右手を振りおろす様に向ける。

途端に、凄まじい数の光の矢が、男の逃げて行った方に向かって、空気を切り裂きながら、飛んでいく。

ゴガアアアン!

ゴガアアアン!

ゴガアアアン!

ノアの放った光の矢は、大地に着弾する度に、大気を振るわせるほどの振動を生み出している。

そして、そのまま、まだノアの手から無数に放たれ続けている。

しばらくして、ノアが放つのをやめると、音が止む。

男が逃げて行った方面からは凄まじい数の噴煙が上がっている。

良翔はその方面へ向けて鑑定する。


すると、おかしな事が起きていた。

男の気配はもちろんの事、アースワイバーンの魔力まで殆ど、感知できなくなっていたのだ。

中にはノアが放った光の矢が当たったのだろう、微弱な魔力を放つものもいる。

だが、いくらノアが多くの光の玉を放ったからといっても、この数の減り方はおかしい。

とてもじゃないが、今ので全滅する筈が無いのだ。

良翔はノアに視線を向けると、ノアもこちらを振り向き頷く。

2人は男が居た辺りに向かう。


良翔とノアは、先程男が居た辺りに着地する。

ノアが放った光の矢の痕跡が、道の様に森を切り裂き、周囲の温度を上げている。


良翔とノアは、注意深く、周りの様子を確認しながら、男が逃げて行った方へ進んでいく。

すると、やがて不自然な盛り上がりを見せた山に出くわす。

山の周辺には、血痕らしきものが無数に確認出来る。

『どうやら、ここから逃げた様ね…』

良翔は頷く。

そして、理解した。

あのローブの男も、アースワイバーン達も、地面に潜り姿を隠すのだ。

なるほど、だから、アースワイバーンばかりなのだな、と良翔は納得した。

理由は簡単だ。

地面に潜って隠れるには、地属性のものが一番適切だからだろう。

魔力感知も効かず、姿を隠し続けるには、地の属性が無ければ叶わない芸当だろう事は容易に想像がつく。


正直、奴らの目的は分からない。

だが、身の隠し方、そして、そのおおよその数は把握した。

これだけでも大きな成果だろう。

それに、これだけノアが暴れたのだ。

しばらくは警戒して、姿を潜め、地上には出てこないだろう。

ここで、無理に追跡しよう探しても、骨が折れるだけだ。

そう判断した良翔は、考える。

「これ以上、アイツを追うのはよそう。きっと時間の無駄になってしまうだろう。それよりも、アイツらがどの様に身を隠しているか分かったのは大きい。問題は、アイツらは、いつ侵入者を発見して、地面の中に潜って隠れているのかだ。あの男が現れて、俺達を攻撃するまではアースワイバーン達は地上にいた。だが、俺達を攻撃してくるなり、アースワイバーン達は地下へ姿を消した。つまり、あの男が俺達に気づくと同時に、その指令をアースワイバーンに伝えたと考える方が良いな」

『そうね、異論はないわ。強いて言うなら、あのローブの男が指示を出しているのか、それともあの男も、指示を受けたのか、だけどね。そして、今回は私達に気付くのが、いつもと違い、遅かった、とも考えるべきね』

良翔は頷く。

「つまり、俺達の様なゲートで突然現れる侵入者がいるとは、想定していなかったって事だね。て事は…、通常通ってくるであろう、森の西側に何らかのセンサーの様な物を設置している可能性が高いって事だね。そのセンサーらしき物に何者かが触れると、アースワイバーン達は一斉に地下に潜る様になっているんだろう。恐らくはそのセンサーは空を飛んで来ても引っかかる様に高さもある程度あるんだろうね」

ノアも頷く。

『それなら、次はそのセンサーを確認してみましょう。アイツらを追うための手掛かりが掴めるかもしれないわ。そのセンサーはどこかでアイツらに繋がっている筈だからね』

「そうだね。そうしたら、もう一つのファウンドウルフの討伐クエストも一緒にこなしながら、調べてみよう」


良翔とノアは、次の行動を決めると、森の西へ向かって、再び飛行して、移動を開始する。

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