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サラリーマン、異世界へチート通勤する  作者: 縞熊模様
第1章
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良翔とノアは柳亭を後にする。

今日も天気は良く、崩れる気配はなさそうだ。

良翔とノアは真っ直ぐ城門へと向かう。

城門の側まで行くと、昨日と同じ門番が立っていた。

門番は良翔とノアを見つけると声を掛けてきた。

「おお、お前らか。その感じからすると、無事に冒険者になれた様だな?」

「ええ、お陰様で」

すると、門番はうんうん、と頷く。

「て事は、これから、正に初クエストだな?だがな、まだ、初めはランクが低く、報酬が少ないからって腐るなよ?ランクが低くとも、そのクエストをこなす事で助かる、喜ぶ人が沢山いるのだ。いいか、冒険者は人の役に立ってこそのものだ。強さや金だけに溺れるな。志をちゃんと高く持つんだぞ」

「ええ、仰る通りだと思います」

すると門番は、ニヤリと笑い

「俺は今は歳をとって、門番だがな、以前は冒険者をしていた。先輩冒険者からのアドバイスだと思って、何となくでも覚えておいてくれれば良いさ。さぁ…、呼び止めて悪かったな。しっかりクエストをこなして来い!」

「ええ、行ってきます」

『おじさまもお仕事頑張ってね』

ノアにそう言われ、門番は少し頬を赤くしながら、

「お、おう」

と気恥ずかしそうに答える。


良翔とノアは、門番を後にし、城門を出る。

そのまま、街道に沿って城門が見えなくなるまで、歩き続ける。

念の為ではあるが、人が見えなくなったタイミングを見計らって、街道から逸れて、近くの森の中へ進む。

良翔達の力は極力人に見せるべきでは無いだろう。

不要なトラブルに巻き込まれるのはごめんだ。

森の奥に入り、人気がないのを確認して、良翔はゲートを作り出す。

ゲートを作ると、ノアに目配せをする。

ノアも黙って頷く。

2人はゲートを通る。


ゲートをくぐると、静かな湖のほとりに出る。

そこで、良翔は辺りを見回し、ふとあるものを目にする。

目にしたものを疑う様に、もう一度それを凝視する。

200メートルほど先でアースワイバーンが湖の水を飲んでいるのだ。


良翔はすぐに近くの木陰に身を隠す。

ノアもそれに気付き、良翔に続いて、良翔の後ろに隠れる。

『あれ、アースワイバーンよね…。何よ、普通にいるじゃない』

「ああ、そうみたいだね。どういう事なんだろう…。とりあえず、まずは、この状況がいつもの様子と違うのかもしれないし、他にも居ないか確認しよう。たまたま偶然出会えてるだけかもしれないからね。さて…、問題はどうやって、アースワイバーンだけを探すかだな…」

『そうね、まずは良翔の言う通り、他のアースワイバーンを探してみましょう。それで、探し方なんだけど、一つアイデアがあるわ』

ノアはそう言って、ニコリと微笑み

『アースワイバーンにしかない、固有の情報、つまり、固有の魔力を探りましょう。それで、それを元に同じ魔力を放つ、モンスターだけを見つけられる様に鑑定スキルを改良すればいいわ』

「なるほど…、でも固有の魔力って、どんなものなんだろう…」

『ふふ、それはね…、モンスターって倒すと戦利品を落とすでしょ?実はこれにヒントがあるわ。ちなみに、戦利品て、どうしてモンスターが倒されると手に入ると思う?』

良翔はノアの問いについて考えるが、分からない。

「たしかに、そう言われれば、何でモンスターを倒すと、アイテムをドロップするんだろう…。考えた事も無かったな…。全然検討つかないかも」

ノアは答えを良翔に教えてくれる。

『私もね、あくまで推測だったんだけど、この間良翔がアースワイバーンを倒した時に、その仮説が正しかったんだって分かったわ。実は…、あれらは皆、そのモンスターの魔力によって作り出されてるのよ。この世界のありとあらゆるものは魔素を取り込み、魔力を持っているわ』

良翔は頷く。

『そしてその魔力を使って体内で生成する。生きている間は、体内ではきっと生成し続けてる状態なんだと思う。だから、まだ、具現化せずに、魔力の塊みたいな状態になっているんだと思うの。そして、遂にモンスターが倒された瞬間に、生成中だった魔力が途切れ、強制的に生成完了となり、アイテムとして顕現する、と推測するわ』

良翔は感銘を受けながら、深く頷く。

『だから、モンスターをどれだけ木端微塵に破壊したって、アイテムはドロップする。

モンスターと一緒にドロップアイテムが壊される事は、よっぽどそのモンスターを倒してからもずっと攻撃を続けない限り、ほとんど無いはずよ』

良翔は深く頷き、ノアを見る。

「ノア、凄いな!その説は俺も合ってると思うよ!それなら納得だね!」

ノアは再びニコリと笑い

『ありがとう、良翔。それでね、前置きが長くなっちゃったけど、私達がギルドに売った、竜の涙は、アースワイバーンの固有の魔力が色濃く混ざって作り上げられた物だったの。だから、それを使えば、アースワイバーン固有の魔力の色が分かるはずよ。因みに、分かりやすく例えば、レッドワイバーンやブルーワイバーンもきっと竜の涙を戦利品として残すだろうけど、魔力の色が異なるものになる筈だわ。だから、同じアイテムでも、魔力の種類が異なるアイテムとなるのよ、きっと』


「そっか…。つまり、あそこにいるアースワイバーンを倒して、その戦利品を使って鑑定スキルを森全体にかければ、いいって事だね?」

ノアは笑顔で頷く。

『その通り!じゃあ、せっかくだから今後の事も考えて、私がアイツをこの武器で倒すわ。武器が扱える様になると、こんな戦い方も出来るのを見せてあげる♪』

そう言うと、ノアは手に武器を顕現させる。

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