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サラリーマン、異世界へチート通勤する  作者: 縞熊模様
第1章
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良翔はゲートを通り、個室の中へ姿を現わす。

コピー良翔は、良翔の姿を確認すると

「お帰り。どうだ?楽しめたか?」

と声を掛けてくる。

良翔はニコリと笑い

「ああ、お陰様でな。お前のおかげで、心置きなく向こうの世界での時間を満喫出来たよ」

「そうか、なら良かった。じゃあ、交代だ。ついつい向こうの調子で、間違ってこっちの世界で魔法なんて使うなよ?」

コピー良翔は冗談めいて、笑いながらそう話すと、姿を消して行く。

すると、脳内で声がする。

「今日の会社での様子は、記憶を共有するから、そこから確認してくれ。一応、特段まずい事はしていないつもりだが、気になる点などがあったら言ってくれ。明日からはそれに注意して行動する様にするよ」

「ああ、分かった。帰りがてら確認するよ。何から何まですまないな。助かるよ」

良翔は、そう脳内で言い、格好を整える。


そして、個室を開ける。

相変わらず、誰もいないが、もはや驚く事もない。

特に気にもとめず、良翔は出口へ向かって歩き出す。


良翔は、堂々とトイレを出、帰宅の人々の中に溶け込む。

電車に乗り、今日のコピー良翔との情報の共有を行う。

「問題無さそうだ。助かった。明日も宜しく頼むよ。所で、帰ったら、タイミング見て声をかけるから、一緒に飲まないか?自分自身とも話してみたいしな」

「ああ、構わないよ。だが、お互い明日に支障が出ない程度にな」

コピー良翔も笑いながら応じる。

するともう一つ声がする。

『それ、面白そうね!私も混ぜてよ!私と芽衣、良翔に、コピー良翔なんて組み合わせ、ワクワクしない?』

「確かにそれは面白そうだ」

『でしょ?さすがコピー良翔は話も分かる!』

なんと、脳内でコピー良翔とノアが会話している。

良翔は驚き、一瞬固まる。

自分が作り出した存在とはいえ、独自にお互いで会話し合うとは思ってもみなかった。

なんだか凄いことなんでは、と良翔はまじめに思う。


あっという間に自宅の最寄駅に着き、良翔は電車を降りる。

その間も、ノアとコピー良翔と良翔は3人で脳内で会話する。

『私、思うんだけどね、良翔。コピー良翔にも名前をつけてあげたほうがいいと思うの』

「うん、確かに俺もそう思っていたよ。こちらの世界の大事な事をお願いしている大切な存在だからね、なんだか毎回コピーって呼ぶのは抵抗あるからね」

「俺は別に構わないよ。実際に良翔のコピーなんだからな。ただ、こうやって良翔本人と混ぜて会話するとなると、同じ名前だと少々ややこしい気はするのも事実だが…」

『でしょ?だから、名前を決めようよ!んとね、私は、秋翔[アキト]なんてどうかな?って思うの。双子みたいじゃない?』

「うん、悪くないんじゃないかな?双子って設定の方が、万が一誰かに2人で居るところを遭遇されても、その方が話が合わせやすいしね。て事でどうだろう?この名前に馴染めそうかい?」

「秋翔か…。うん、悪くないと思う。ありがとう、ノア。良い名前をくれて」

ノアは少し照れ気味に返事をする。

『えへへ、良翔の双子の兄弟だ〜。これから宜しくね、秋翔』

「ああ、宜しく頼む、ノア」

なんだか、良翔の脳内は少し騒がしくなった気がするが、決して嫌な感じはしない。

ノアも嬉しそうだし、良翔としても、自分の良き理解者が出来てとても嬉しく思う。


もうじき家だ。

良翔は少し歩を遅くする。

「ノア、もうすぐ着くよ。着いて着替えたら、一緒に芽衣に会おう。気持ちの準備はいいかい?」

『う、うん。準備は大丈夫。でも、少し緊張する…』

分かった、とノアに返事をし、良翔は自宅のドアの前に立つ。


玄関の鍵を鞄から取り出し、解錠する。

玄関のドアを開け

「ただ今」

と中に向かって声をかける。

靴を脱ごうとした、良翔は一瞬固まる。

いつも見慣れた玄関、廊下、リビングへと通じる扉。

何もかもが新品のごとく綺麗になっていたのだ。

「これは、すごいな…」

良翔は靴を脱ぐ手を止め、家の中に色々視線を向ける。

すると、リビングの扉が突然開き、芽衣が出て来た。

「良翔おかえり!ジャジャーン!どう?驚いた?すごい綺麗じゃない?」

芽衣は、褒めて、褒めてと頭を良翔に近づけて来る。

良翔は、ニッコリ笑い、芽衣の頭を優しく撫でる。

「ああ、これはすごいね。大変だっただろう?それともあのスキルでこんな事が出来たのかい?」

「うん、実はそうなの!話はご飯の時にしましょ!だから、早く着替えておいでよ!私も、すぐにご飯の用意するね!」

「ああ、分かったよ芽衣。すぐ着替えてリビングに行くよ」

はあーい、と返事をしながら芽衣がリビングへパタパタ戻っていく。

すると、脳内で呟く声がする。

『芽衣…、可愛い…』

良翔はふっと小さく笑い、そんなノアの呟きには触れず、寝室へ向かう。

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