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サラリーマン、異世界へチート通勤する  作者: 縞熊模様
第1章
42/163

1-42

街に出た良翔達は、まずは服屋を目指し街中を歩く。

道中、行きに見た通りだが、防具屋、武器屋、アイテム屋などの位置を再度確認しながら良翔は歩いた。

残念ながら宿屋らしき建物は見受けられなかった。

「宿屋はこの辺にはなさそうだね。後で店の人にでも聞いてみるか」

『そうみたいね。店で聞いた後で、街の把握も兼ねて少し、街中を歩きましょうか。それに、そろそろお昼みたいね。良翔今日もお弁当よね?芽衣のお弁当はとても美味しいから好きよ。ついでにお昼を食べれそうな広場でも探しましょ』

良翔は頷くと、ノアのとなりに並び歩いていく。

相変わらず、ノアは周囲から視線を集めている。

だが、ノアは全く気にしていない様子だ。

良翔も大分その光景になれ、さほど気にならなくはなっているが、やはり、見られるというのは、どうも気恥ずかしい。


そんな事を思いながら、石畳で舗装された道に沿って、真っ直ぐ歩いていくと、やがて道の右側に、ミレナが言った通り、主に冒険者の衣装などを専門に扱っているであろう店を見つける。


店頭には衣服がかけられ、中には鎖帷子なども道に面して飾られている。

ドアは木製の明るめの茶色に塗られ、店の内側へ開け放たれていた。


ノアは迷わず、店の中へ入っていく。

良翔も物珍しい衣服に目移りしつつも、ノアに遅れない様に店内へ入っていく。


店に入った途端、多くの衣類が、木製で出来た棚にびっしりと並び、そこに収まらず、上から飾る様に吊るされた衣服が列を成していた。

まるで、少し店内が広めの古着屋に来た様な感じだ。

早速、店内に入るなり、ノアは衣服を手に取る。

が、直ぐに元に戻す。

店内に進みながら、そんな作業を何度も繰り返しせっせと行うノアは、まるでどこかのバイヤーが現地調達をする様に物色している感じだった。


するとノアの様子を見ていたのだろう、店の奥から、この店の主人らしき人物が出てくる。

「いらっしゃい。どんなものを探してるんだ?」

声を掛けてきたのは、とても身長が大きく、顔に切り傷のある顔だが、服装は、まさに商人と言える出で立ちの中年の男だった。


だが、少し様子が他と違う。


顔には大きな目があり、口と鼻が長く前に出て、顔の外に向かって、長く細い髭が、何本も生えている。

口には強そうな牙が見え隠れする。

そして、顎くらいから、髪の毛と繋るような毛が生え、その毛は茶色とオレンジが混ざった様な色をしている。

そして、極め付けに、頭の左右に毛をまとった、大きな耳が2つ見える。

ライオンの様な獣人だった。

ここは獣人が商いをしている店だったのだ。


ところが、ノアは、そんな事を全く気にしない、といった風に獣人の店主に話しかける。

『この人に合うサイズの服を探しているの。これから大事なクエストに出るから、それに見合った服を調達したいの。だけど、ここにはたくさん服があるけれど、魔力で編み込まれた様な服は置いてないのかしら?』

そうノアに言われると、店主は黙ってノアを見つめる。

すると店主は突然ニヤリと笑う。

「嬢ちゃん。あんた、ただもんじゃねえな。これだけの量の服を前に、一目でそれを言うなんて、それなりの実力者なんだろ?」

するとノアもニヤリとする。

『そう言うって事は、まだ他にも、私が探している様な服があるのね?』

すると、店主は目を見開く。

凄い眼力だ。

だが、やがて表情を崩しだし、堪えきれなかったのか

「…く、ふはははは!」

と大きな声で笑う。

笑うと大きな牙が遠慮なく剥き出しになる。

この笑いは客引きにはならないだろうな、と良翔は思う。


店主はそんな事はお構いなく、大きな牙を隠すわけでもなく、盛大に口を開いてノアに言う。

「嬢ちゃん、その通りだ!ウチは表の商品は、そんな事も分からねえ、ウスノロ冒険者様の為のものだ。だが、ちゃんとその価値をわかる奴にだけ用意する服がウチにはある!ついてきな!」

そう言うと、店主は奥に向かってドシドシ歩いていく。

その後をノアがついて歩いていく。

良翔も慌ててノアの後に続く。


店主は店の奥にある扉の前で立ち止まると、鍵を取り出し、扉の鍵を開け、中に入っていく。

ノアは良翔が追いつくのを待ち、ほら、入って、と促す。

ノアに促され、良翔は中に足を踏み入れる。

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