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サラリーマン、異世界へチート通勤する  作者: 縞熊模様
第1章
23/163

1-23

早速、芽衣と良翔はその力が確かなものか試す事にする。

芽衣にとって、損となる事をイメージさせれば良いのだ。

それが働かなければ、問題ない。

かたや、芽衣にとってメリットがある、もしくは害がない事象は、芽衣が意図した通りに起こるという事だ。

早速、先程のテレビのリモコンで試す事にした。

良翔は、手元にあったリモコンを、離れた場所に置き、芽衣に、良翔のそばまで空中を飛んで来るように、イメージさせる。

すると、リモコンは先程と同じように、ふわりと浮かび、良翔のそばまで飛んできて、静かに着地する。

スキルは失われていないし、芽衣にとって害がない、もしくはメリットがある事は正しく実現されている。

次に、芽衣にリモコンの破壊をイメージするよう、良翔は伝える。

「えー、壊しちゃうの?テレビ見れなくなっちゃうよー」

「でもさ、芽衣は実際、リモコン壊れた所で、その力で、テレビを付けれるし、チャンネルも変えられるんじゃない?だから、もし、壊れちゃったとしても、大した問題はないよ。それよりも試してみよう!そっちの方が大事さ」

「そっか。なら、壊れても大丈夫だね!なんなら、私はこの力のお陰でリモコン使わなくなりそうだしね」

そう、納得した芽衣は早速イメージを始める。

だが、リモコンが壊れる気配はない。

「あれ?私にとってメリットがある、もしくは害が無ければ、思い通りにいくんじゃなかったっけ?」

良翔は安心した。

確かに、良翔は芽衣に、リモコンを壊した所で、メリットは無くとも、害は無いと伝えた。

そう思い込ませたかったからだ。

そして、芽衣はそう信じた。

だが、リモコンは壊れない。

理由は簡単だ。

良翔は芽衣に説明する。

「実は、芽衣に今、リモコンを壊す事は、芽衣にとって害が無いと伝えたよね?」

「うん、確かにそうだしね」

芽衣が答える。

「でも、実際はそうじゃ無いんだ。芽衣自身がテレビを操作する事に関しては、確かに問題ない。リモコンが無くても、困らない。でも、俺や他の家族がテレビを見ようとしたら、どうなる?きっと困るよね?そして、それは芽衣がリモコンを壊す事によってもたらされるんだ。つまり、芽衣にとっては害のない事でも、周りにとっては、芽衣の意図しない不満を与える、原因になるんだ。それは、きっと芽衣は望まないはずだよね?」

「あぁー、確かに言われて見ればそうだ!納得!良かったー壊れなくて」

「ああ、確かに良かった。これで新たな力がチャンと働いている証拠になったよ。これで意図しないで芽衣が誰かを傷つけたりする事は格段に少なくなった。そして、最後にもう一つ確認だよ」

「え?まだ、何か確認する必要ってあるの?」

「ああ、あと一つだけね。芽衣、もう一度このリモコンが壊れるイメージをしてみて」

「ん?だって壊れないってもう分かったじゃない?同じ事になるだけじゃないの?」

良翔は、芽衣に笑いながら答える。

「まあ、やってみたら分かるよ」


さっきやったのにな、と呟きながら芽衣がもう一度、リモコンの破壊をイメージする。

すると、突然芽衣の目が見開いた。

「良翔!今度は頭の中で声がしたよ!」

良翔は微笑んだまま、聞き返す。

「ああ、成功だね、芽衣。正しくそのスキルは働いていると思うよ。で、声はなんて言ってた?」

「このイメージは、マスターに害を及ぼす可能性が有ります。それでも、実行しますか?だって!さっきはこんな事言われなかったのに何でー?」

良翔は頷き、その疑問に答える。

「それはね、芽衣。さっきは芽衣は害がないと思い込んで、リモコンを壊そうとした。だから、意図しない害がある事を判断したナビゲーターは自動でそのイメージを解除したんだ。ところが、今度は芽衣は自分に害がある事を承知で、リモコンを壊すイメージをした。つまり、自分に何らかの害があると認識しているのに、壊そうとした。だから、ナビゲーターは聞いてきたんだよ。それでもやりますか?ってね」

ふむふむ、と頷きながら、良翔の話を聞いていた芽衣が、ふと疑問に思った事を口にする?

「でも、何でそんな確認機能を持たせたの?」

「それはね、自分に多少の害があったとしても、それでも実現したい、実現されなければならない事があり得ると思うんだ。例えば、家族が車の事故に合いそうな時とかね。その時は車を壊してしまうデメリットよりも、守りたい命の方を優先するよね?そんな、家族の危険がある時に、この力を使えないなんて、残念すぎるでしょ?だから、そういう、いざって時の為に、発動出来る様に確認機能を残しておいたんだ」

「納得!良翔あったま良いー!」

芽衣は相変わらずだな、と良翔は思う。

このあっけらかんとした明るさは、良翔を幾度も、沈んだ気持ちから、すくい上げてくれるのだ。


そんな芽衣の様子に良翔は満足する。

これで、晴れて芽衣の力はとても役立つ力と言えるものになった。

それは、芽衣を悲しませる事なく、素晴らしい力として、大活躍するだろう。

そこで、良翔は、念を押しておく。

「いいかい、芽衣。これで、芽衣の力はとても素敵になった。でもね、やっぱり他のそういう力を使えない人にしてみたら、芽衣のその力は脅威であって、恐ろしく思える対象になりやすいんだ。だから、決して他人に口外するような事は避けた方が、芽衣にとっても、家族にとっても良いと思う。この意味わかるかな?」

「うん、分かるよ、良翔。私はこの力を正しくコントロール出来るようになって凄く嬉しい。良翔のお陰だよ。でも、この力は、私を含め、私達家族の為にだけ使う事にする。だから、他の人にこの力を自慢したり、伝えたりしないよ。その、不思議な力のせいで、家族が嫌な思いをするのは、嫌だもん」

良翔は深く頷き

「うん、そこまで分かってくれてるなら、これ以上言うことはないさ」

うん、と力強く頷く芽衣。


それから、芽衣はこの力について、色々考え付いた使い道を良翔に、話した。

良翔もそれを、自分の思い付いたアイデアなどを足していく。

ある程度、芽衣の力について、使い道や、使うルールなどを大まかに決めた所で一息ついた。


芽衣の空になったコーヒーカップにおかわりを入れ、自分の分も用意して、良翔は席に戻る。


すると、芽衣は思い出した様に、話を切り出す。

「私の力についてはこんな所ね。さて、次は良翔の番だよ?どんな事が出来るようになったの?」

良翔は、そう言われ、考える。

だが、素直に全てを話す事にした。


良翔は、自分の生み出した、ナビゲーターの事や、それがノアという人格に生まれ変わった事。

異世界に行けるようになった事。

異世界で、今日一日、色んな経験をしてきた事。

そして、黙っていた事は気不味かったが、素直に会社を休んだ事などを伝える。

そして、これから、出勤用の良翔のコピーを作り出そうとした事、などを端的に伝える。

ただ、モンスターの事には触れなかった。

きっと、危険だから行くなと、咎められ、行けなくなってしまうのは、どうしても避けたかったらだ。

嘘はついていない。

だが、全てを話している訳ではない。

ちょっとズルイかな?と思いながらも、うまく説明していく。

今日の出来事をあらかた説明し終えると、芽衣が興奮して聞いてくる。

「ねえねえ、異世界って凄いね!それにノアちゃんだっけ?私も会って、お話してみたい!今会えないの!?あと魔法!良いなぁ、私も使ってみたい!今からその魔法って見せれないの?なんだか良翔ばっかり、ズルーイ!」

芽衣は止まらない。

質問、要望の嵐だ。

良翔は気圧され、ただ、ああ、とか、うん、としか答えていない。

正確には、芽衣について行けず、それしか出来ないというのが正しい。

しかし、そんな良翔にお構いなく、芽衣は走り続ける。

あれや、これやと質問や要望を伝えた芽衣は、ふぅーと大きく息を吐いた。

そして、コーヒーを口にする。

そんななか、良翔は芽衣に質問する。

「あのさ、芽衣。俺がズル休みしただけでなく、これからズルして、コピーに仕事をさせて、その間、俺は異世界に行こうとしてるって事に、不満とかは覚えないの?」

すると芽衣は、?という顔をして

「えー?何で?だって、良翔は今の会社嫌いじゃん。そんな嫌いな会社なのに、毎日仕事に行くなんて偉いなあって私は思ってたよ?

ちゃんと家族の事守ろうとしてくれてるんだなって思ってるよ。それが、これから作り出すコピー良翔が代わりにやってくれて、良翔は異世界で一生懸命、冒険ってお仕事を楽しみながらしてくるんでしょ?なら、断然そっちの方が良いじゃん!コピー良翔には、悪いけど、ストレスとか感じないなら、適材適所みたいで丁度良いじゃない。いっそのこと仕事を辞めちゃうって選択肢だってあるのに、良翔は家族を優先して、家族に被害が出ないようにしたい、って思ってくれたからこそ、そういうコピー良翔を作り出して、仕事を続けるって結論になったんでしょ?なら、私は何も言うことないよ!」

芽衣は、よく良翔の事を分かってくれている。

そんな芽衣に感謝しつつ良翔は返す。

「ありがとう、芽衣。そう言ってくれると凄く救われるよ」

「いいよ、全然そんなの気にしないでよ!だけど!いつか私もその異世界に連れてってよね!私も良翔と一緒に冒険したみたい!それに、そっちの世界ならノアちゃんにも会えるんでしょ?それも、楽しみだし…、だから、約束ね?私も、いつか良翔の異世界に連れて行くこと?絶対の約束だよ?」

芽衣はそう言うと、大きく笑顔を良翔に向ける。

良翔は、やはり、芽衣にちゃんと話して良かったと心底思う。

芽衣は良翔の数少ない良き理解者だ。


話も落ち着き、芽衣といつか、良翔の行った異世界に連れていく事を約束し、寝る事にする。

良翔のコピーについては、横になりながら、イメージする事にした。

何だかんだ言っても、良翔は、かなり疲れ気味だった。

単純に、早く横になりたかったのだ。


ベットに入り、良翔は疲れた体に鞭打ち、脳内をフル活用するかのように、コピー良翔の作成を行う。

コピーイメージの作成が出来たなと思った途端、強烈な眠気に襲われる。

そして、気を失うように眠りに落ちる良翔であった。

ここまで、お読み頂きありがとう御座います!

やっと初日が終わりました…。

やっぱり長過ぎましたかね(笑)


しかし、これに懲りず、こんな感じで2日目以降も、自分なりのペースで進めて行こうと思います。

なるべく継続して投稿していこうと思いますので、どうぞ温かい目で見守って頂けますと幸いです。


最後に、ここまでお読み下さった方、興味を少しでも抱いて頂いた方、本当にありがとう御座います!

まだまだ至らぬ所が多々あり、お見苦しい箇所もあるかとは思いますが、ぜひ少しでも楽しんで貰えたら、との思いで続けてまいりますので、どうぞ宜しくお願いします!

2019.7.9 縞熊模様

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