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サラリーマン、異世界へチート通勤する  作者: 縞熊模様
第2章
123/163

2-12

突然しばらく休んでしまい申し訳ありません。

風邪を引いてしまいました…(泣)

何故か一週間経っても、調子が戻らず…、少しずつにはなってしまいますが、更新を再開して行きます。

宜しく御願いしますm(_ _)m

2人は握手を終えると、それぞれ、実験に参加した者達に労いの言葉を掛け、その場を撤退させる。

隠密を取っていた冒険者達も、まさかこんなに早く自分達が見つかるとは思っても居なかったらしく、開始早々の実験終了のアナウンスに驚いた事は言うまでも無かった。


タリスの東の森から、ゾロゾロとギルドへ戻る道中、バンダンが良翔の隣に並び、話し掛けてくる。

「良翔。お前が奴らに与えたあの能力って、具体的にはどんなもんなんだ?」

突然バンダンにそう聞かれ、良翔は少し考える。

「短く言ってしまえば、自然を操る力って感じだな。分かりやすく具体例を出すなら…。例えば、今回の様な探索などに関しては、マレナも言っていた通り、自然物、つまり木々や大地、空気などを利用して、広域鑑定が行える様な感じになるかな?攻撃面で言えば、木々や大地を操り、侵入者の行く手を阻んだり、空気をある空間から移動させて、その空間だけは真空状態になども出来るだろうな。あ、後そこまで広い範囲では無理だろうけど、地震だって起こせる筈だ。集団で行えば広範囲も可能だろうな。防御面で言えば、大地の岩などを利用して鎧にしたり、空気を集めて圧縮して壁なんかにも出来る。と、こんな感じかな?上手く伝わったか?」

するとバンダンは少し考え込み、口を開く。

「それってよ、物凄い事なんじゃないのか?今までは硬い鱗と土中での移動、強靱な腕力といったところが奴らの武器だったが、今じゃ自然物を利用してあらゆる面において飛躍的に、いや、バケモンの様に強くなってるんじゃないか?」

「ああ、それと能力付与時にみんな爆発的に魔力も増してるから、腕力やら硬さなんかも増してると思うぞ?まぁ、彼等には強くなってもらわないと、この街で必要な存在だって際立った印象を残せないのもあるからな。やはり元モンスターです、っていうのは少なからず抵抗が住民からあるだろうしな」

「なるほどな………。お前はやっぱり何だかんだ創造神らしい事やってんじゃねえか。どうだ?俺にも何か特殊な能力の付与をしないか?」

バンダンはそう言いながらニヤニヤしている。

良翔は軽くため息を吐き、

「あまり能力を至る所に振り撒いてもな。強過ぎる力はいつか問題を起こすもんだと思うぞ?それに、アースワイバーン達は魔物という事もあって魔力の馴染みも良いが、バンダン達亜人や人種はそうはいかないと思う。恐らく肉体にも無理が掛かる可能性はあるしな。だから、そんな危険を犯してまでも手にしなくてはならない時が来たら、試してみた方が良いと思うぞ」

するとバンダンは大笑いする。

「がはははは!うむ、良翔らしいな!冗談だ、気にするな!確かに、大きな力への憧れはあるが、欲しけりゃ自分で鍛えてその高みに辿り着くさ。人からホイと与えられた力は、どうも俺の性分的には納得出来そうにもないしな!がはははは!」

すると話を聞いていたノアが口を挟む。

『でも、バンダン。あなた、良翔や私が持っている鑑定スキルは欲しいんじゃなくて?』

途端にバンダンがしまった、と顔をする。

『まぁ、本人が欲しけりゃ自分でその高みに辿り着くって言ってるのだから、気にする事でもないかもだけどね』

ノアはクスリと笑い良翔を見る。

バンダンは口をあんぐり開けたまま、立ち尽くしてしまった。

良翔は再び軽くため息を吐いて

「ノア。バンダンをあまり虐めるなよ?あれでもアイツなりに気を使ってくれたんだよ」

良翔は歩きながら、徐々に離れていくバンダンを見ながらノアを諭す。

『ええ、冗談よ。バンダンの事も分かってるから安心して。ちょっとからかってみただけ♪』

そう言いながら、ノアは意地悪く笑う。

まぁ、そのうち立ち直るだろう、と思い良翔はバンダンの事は気にせず、ギルドへ向かう。


ギルドへ着くと、大地の守護者達と別れ、良翔、ノア、カシナ、バンダン、ニーナ、マレナ、ハザ、サザのみで、カシナの執務室に戻る。

全員が席に着くと、ニーナがグラスに入ったお茶を各自に配る。

ニーナが配り終わり、着席するのを見計らってカシナが口を開く。

「さて、当初予定していた内容は終わったが、他に何か話すべき事はあるか?」

そこで、良翔は宿で考えた事を相談する事にする。

「実は、バンダンの言う通り、四島を操っていた例の男を追って西に向かおうと思うんだ。その為には、まず四島にその男に付いてもう少し聞きたい事があるから、後で四島に会えるかな?それから、街でその男の目撃情報などの聞き出しを行うつもりだが、合わせて、タリスの西にある3都市についても何か情報が得られればと思っている。その為に皆の知識を伺いたいのだが、いいかな?」

全員が頷くが、どこか寂しそうな表情が伺える。

「まぁ、そうなるとは思っていたがな…。こうも急だと、なかなかに寂しいものだな」

カシナは優しく微笑みながら、良翔にそう答える。

「ああ、カシナさんには本当に世話になってしまったからね。こちらもその男が居なきゃもっとゆっくりして行きたい所なんだけどな」

だが、カシナは首を左右に振り、

「冒険者は旅する者がほとんどだ。遅かれ早かれ、良翔とノアはここを去り、新たな場所へ向かっただろう」

カシナは一度言葉を切り、良翔とノアを交互に見る。

「四島に付いては、話をつけておく。この後にでも訪れるがいい。ニーナ頼めるか?」

「はい、直ぐに」

ニーナがカシナに頷き、席を立ち、部屋から出て行った。

ニーナが立ち去ったのを確認して、カシナは話を続ける。

「良翔からの要望だが、タリスの西の3都市について、誰か何か有用な情報は持ち得ていないか?」

カシナは周りを見渡すが、誰も発言しない。

そこで良翔は口を挟む。

「有用じゃなくても、構わないさ。大体あの男の情報が全く手に入らない可能性もあるからな。ならば、俺達が行きたい街を決めて、そこに行く事にするつもりだ。だからその為の判断材料が欲しいんだ。どんな街だとか、料理はこれが美味しいとか、こんなものが有名だとか、な」

すると、バンダンが口を開く。

「であれば、俺はジラトミールを勧めするぞ。ジラトミールは東西南北を結ぶ東大陸の最大貿易都市で、その立地に伴って、非常に活気のある街だ。多くの飲食店、宿泊施設、物販店があるだけでなく、製造施設、研究施設、娯楽施設いったものも豊富に揃っているのが特徴だ。昼夜を問わず常に灯りが絶えない街という意味で、不夜都市との別名で呼ばれる事も多い程だ。ここなら、北と南の都市の様子もある程度情報が手に入るだけでなく、武器やアイテム、知識なども最先端のものが手に入る。断然お勧めだぜ」

すると、カシナもバンダンに続き、街の説明をしてくれる。

「確かにジラトミールなら、情報を得る上では申し分ないかもしれないな。この他に勧めるべき所は南のラクトナだな。ユノ連邦を水源としたユノーラ大河の河口に位置する水資源が豊富な都市だ。その豊かな環境によって、広大な農業地帯もあり、多くの大陸の国々はここから食料を仕入れたりしている。そして、ラクトナは農業だけでなく、南をレーネ海に面する事で、海上貿易も盛んな都市でもあるのだ。この街でしか手に入らない特産品も多々あり、外貨などが広く流通している。その為、財政的にもジラトミールに次いで裕福な都市となっている」

良翔はふむふむと頷き、

「非常に参考になるよ。バンダン、カシナさん、ありがとう」

顔を周囲に向ける。

「もう一つの、北のアトスに付いては、誰か何か知らないか?」

良翔の質問に対して、マレナが口を開く。

「観光的な街の事については、我々アースワイバーンには分かりませんが、北を霊峰ユノに守られ、ユノ連峰に連なる山々に囲まれた自然の鉄壁の城塞を誇る防衛都市となります。その防衛力は極めて高く、建国から数百年、一度も侵略された事がないとの事。山間という事もあって、人種の方々にとって生活するには楽ではないと思われますが、霊峰ユノから採掘出来る貴重な鉱石のお陰で街は決して貧しくはないとの事です」

良翔はマレナの話を聞き、一つの疑問が浮かび上がる。

「それを知っているという事は、マレナ達と同じく、霊峰ユノを祀るアースワイバーン達が、そこには居るって事かな?」

良翔の質問にマレナは頷く。

マレナの代わりに答えをハザが引き継ぎ、口を開く。

「霊峰ユノには、良翔殿が仰る通り我々と同じアースワイバーン達が居ります。そこの族長はガルトという、長齢の長で、アトスの街だけでなく、我々東のアースワイバーンとも関係を持ちたがらない、非常に保守的な性分の持ち主である、と有名です」

良翔は腕を組み、少し考える。

「成る程…。マレナ、ハザ、貴重な意見をありがとう」

良翔は少ししたのち、顔を上げ、皆に一礼する。

「皆さん、ありがとう。この話を参考に、街で引き続きあの男の聞き込みを行った上で、どこに行くか決める事にするよ」

良翔の話に一同が頷く。

カシナが周りを見回し

「他に何か用のあるものは居るか?無ければ、ここで解散とする」

一同は頷き、各々席を立つ。

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