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サラリーマン、異世界へチート通勤する  作者: 縞熊模様
第2章
113/163

2-2

良翔とノアは部屋を出て、一階へと向かう階段を歩きながら話す。

「じゃあ、一階で地図代の支払いを終えてから、先ずはどこに行こうか」

『そうね…、とりあえず、行くべきはギルドなのは確かね。後は、バンダンの所だけど…、どっちを先に行くかね?』

「そうだな…、先ずはやらなきゃいけない事から片付けようか。なので、ギルドからかな?バンダンもひょっとしたらギルドに顔だしてるかもしれないしね」

『そうね』

良翔は受付で執事男に地図の代金を支払う。

そこで思いつき執事男についでに聞く。

「地図を早く手配して頂いて感謝しています。ついでに、ご存知であれば教えて欲しいのですが、タリスの西にある3つの都市の中で、この柳亭の様な対応をして頂ける様な宿ってご存知ないですか?」

良翔に言われ、執事男は目をチラと上げ、また、直ぐに良翔の支払いを清算していく。

「当柳亭はこのタリス以外にも、複数他の都市に御座います。タリス最寄りの西の都市ですと、ジラトミール、もしくはラクトナに分店が御座います。その他の分店につきましては、こちらの用紙に記載されておりますので、宜しければ御一緒にお持ち下さい。尚、宿の価格につきましては、現地の相場に依存しておりますので、こちらよりも高い安いといった差が生じる場合が御座いますので、予め御承知おき頂きます様お願い申し上げます」

執事男は地図代金の清算を終え、話しながら良翔にお釣りを返す。

良翔は頷き

「ああ、ありがとう御座います。こちらの宿は非常に快適で、是非他の都市でもこの宿の様な所に泊まりたいと思っていた所です。なので、この用紙を頂けるのは非常に助かります。もっと、こちらでユックリしたかったのですが、用が出来てしまいまして、今日にでも、西に向かって立たなければならなくなってしまいました。また、戻ってきましたら、その時は清算をお願いします」

すると、執事男は頭を丁寧に下げ

「当宿をお気に召して頂いただけでなく、また、他都市でもご利用頂けるとの事、大変光栄で御座います。当方と致しましても、良翔様、ノア様の様な、このタリスの街の危機を救って頂いた英雄様にお泊まり頂いた事で、箔がついたというものです。私共の方ほど、お礼申し上げなくてはなりません。申し遅れましたが、私、当タリス柳亭総支配人兼柳亭各分店を総括しておりますクドラ・アーバインと申します。以後お見知り置きを」

良翔はその名を聞き、少し考える。

聞き覚えのある名前だ。

「クドラ・アーバイン……さん。どこかで……」

クドラはニコリと笑い、頭を下げる。

「ギルドで試験官をしております、ガザル・アーバインの兄で御座います。その節は、愚弟がご迷惑をお掛けし、申し訳ありませんでした」

「ああ!ガザルさんの!いえいえ!その節はこちらもご迷惑をガザルさんにお掛けしてしまい、そして、そのお兄さんに迄お世話になってしまっていたとは…。世の中どこで繋がっているか分かりませんね」

クドラは真剣な表情をし、良翔に頭を下げる。

「良翔様の仰る通りです。ガザルの件と良い、街を救って頂いた件といい、そして、私どもの宿にご宿泊頂いた件といい、私と致しましても、この繋がりは決して希薄なものではないと思えます。ですので、ここを出て行く際には、お手数では御座いますが、私クドラを一度お呼び出し頂きますようお願い申し上げます。私の出来る範囲にはなってしまいますが、僅かながらでもお手伝いをさせて頂きたく存じます」

良翔は、迷ったが素直に頷く。

「分かりましたクドラさん。ご厚意に甘えさせてもらいます。ここを出る際には、お声がけさせて頂きますね」

すると、クドラはニコリと微笑み

「はい、宜しくお願い致します」


良翔はクドラに会釈し、受付を後にする。

ノアが待っている場所に駆け寄り、宿を出る。


2人でギルドに向かって歩く中、ノアが聞いてくる。

『随分長かったわね。何か問題でもあったの?』

良翔は首を振り、ノアに答える。

「いや、あの俺達に対応していてくれていた執事みたいな男の人はクドラって名前なんだけど、実はこの宿の総支配人だったんだ。そして、あのガザルのお兄さんだったよ。弟が申し訳ないって謝られちゃった。ひょっとしたら、知らず知らずの内に何かしらの特別なサービスを受けていたかもしれないね。あ、後、この柳亭の分店がジラトミールとラクトナにもあるってさ。俺達が追っている男がアトスに居るってハッキリしない限りは、このどちらかの街にしようと思うんだけど、どうかな?」

ノアも少し驚いた顔をし

『へぇ、あの人がガザルのお兄さんなのね…。兄弟なのに全然性格って違うものね…。街については私もその方がいいと思うわ。仮にだけど、アトスにその男が居たとしても、宿を二ヶ所借りれば良いわ。柳亭みたいに融通がきかないと、その男を追ってる最中に不都合が生じかねないわ。距離が離れてしまうのは難点だけど、私達にはゲートがあるからその辺はどうとでもなると思うし』

良翔も頷き

「ああ、確かにそうだね。よし、じゃあ、ジラトミールとラクトナのどちらを拠点にするか、他の人の話を聞きながら絞っていこう」

ノアも頷く。

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