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サラリーマン、異世界へチート通勤する  作者: 縞熊模様
第2章
112/163

2-1

良翔は目を覚まし、周囲の様子を確認する。

まだ、空は明るさをほんのり迎え始めたばかりだった。

異世界通勤を始めてからは、朝の目覚めが早くなった気がする。


毎度のことの様に、良翔は起き上がり、リビングのキッチンへ向かう。

またしても自然とタバコには手を伸ばさなかった。

「気持ちが満たされていると、タバコって不要なのかもな…」

そう呟きながら、コーヒーを入れる。


1人誰もいない静かなリビングへ行き、だんだんと明るさを増していく、外を眺めながら、コーヒーを飲む。

なんとも言えない至福の時間である事を良翔は感じる。

そこに秋翔が現れ

「俺も混ざっても良いかな?」

とコーヒーを入れ、良翔の隣に座る。

良翔は薄く笑い、頷く。

良翔と秋翔は暫く無言のまま外を眺め、思い思いにコーヒーを口に運ぶ。

不思議と互いに無言だが、気にはならなかった。

「こんな時間も良いかもな」

ポツリと良翔が呟くと、秋翔も黙って頷く。


「そういえば、そっちはどうなんだ?こっちの異世界の話ばかりで、秋翔の話を中々聞いてやれなくて済まない」

秋翔は良翔に向き、ニコリと微笑む。

「何も気にする必要はないさ。こっちはあいも変わらずな感じだからな。特段大きな変化がある訳でもないから、こっちの話なんかは気にしなくても問題ないさ」

「そうか……。でも、それも秋翔が居なきゃできない事だからな。感謝してるよ」

「ああ…、その言葉だけで十分さ」

互いに、ふっと笑う。


その後暫くすると、子供達が意外にも早く起きてリビングへと来る。

それに続き芽衣とノアが慌ただしくリビングへとやって来る。

途端に室内が色んな声や音で満たされ、先程とは全く別の空間へと様変わりする。

だが、これもこれで至福の時間である事には変わりない。

良翔と秋翔は互いに目を合わせ、クスクスと笑い合いながら、様子に目をやる。


騒がしくなった途端、時間の経過は何故かあっという間に過ぎ、家を出る時刻となる。

良翔は子供達に続き、少し早めに家を出る。


駅へ向かう道中は、新しい旅立ちへと向かう為か、やや足早になる。

気が付けばあっという間に秋翔との入れ替わり場所へと着いてしまう。

個室の中で、良翔は秋翔に労いの言葉をかけ、ゲートをくぐる。


そして、いつもの草原へと足を踏み入れる。

ノアもゲートを通過すると共に現れ、良翔の後ろに立つ。

今日は、黄色を基調とした衣装でコーディネートされていた。

「今日の色は、なんだか晴れの日によく映えるね」

『ええ、気分的にこの色にしてみたわ。おかしくないかしら?』

良翔は笑顔で頷き、前を向く。

「さぁ、5日目の異世界出勤だ。今日も色々と忙しいけど、宜しくな、ノア」

『ええ、任せてちょうだい。さあ、行きましょ、良翔!』

良翔はノアの声と共に転移ゲートを作り出し、宿へと移動する。


良翔は宿の部屋に着くと直ぐに冒険者着に着替える。

その間ノアはドアの郵便受けに入っていた包み紙を見つけ、それを窓際のテーブルへ広げている。

着替え終わった良翔がテーブルに近付くと、ノアは良翔を見て、包み紙を広げて渡してくる。

そこには3枚の用紙があり、タリスの西にある3都市周辺のそれぞれの拡大地図だった。

「よし、地図も手に入った事だし、ギルドやバンダンからこれらの都市の情報を聞き出そう。その話を聞いた上で、行き先を決めるっていうので良いかい?」

『ええ、それで構わないわ。ただ、もしあの男が向かった先が、いずれかで絞り込めない場合は、美味しいご飯のあるところで選びましょ?』

ノアは笑いながら、良翔に提案する。

ノアに言われ、良翔はなんだか、そんなに気を張らずにマイペースに行きましょう、と言われている気がして、少し気持ちが急いでいた事に気付く。

良翔は一呼吸置き

「ああ、それが良いね。当たりがつかなかったところで焦ってもしょうがない。西に行ったのだから、西にある街に向かって、先ずはそこの街での生活を楽しむとしよう。そこで新たな情報を集めて行けば良いさ」

そう言い、良翔も笑顔をノアに向ける。

ノアも良翔の気持ちの変化を感じ取り、優しく微笑みながら、頷き返す。

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