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サラリーマン、異世界へチート通勤する  作者: 縞熊模様
第1章
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楽しい時間は長くは続かない。

気が付けば、陽も傾き始め、ホールには夕日が差し込んでいる。

頃合いを見測り、カシナがお開きを宣言する。

冒険者達はイメージ通り、ほとんどの者が酒に強いらしく、昼頃から飲んでいるにも関わらず、潰れている者が皆無と言っていいほどだった。

二次会の話などを各々しており、ホールからは徐々に人が減っていく。

気が付けば、ホールに残ったのは、良翔を含め、わずか数人程度だった。

ミレナは奥のソファーで伸びている。

良翔はノアを見つけ、声をかける。

「ノア、楽しめたかい?それにしてもさっきは大丈夫だった?」

ノアは良翔にそう言われ、またしても若干顔を赤らめるが、なんとか堪え、応える。

『え、ええ!もちろんよ!さ、さっき…って、何だったかしら?あ、ああ、外の空気でも吸いたくなった時のことかしら?あれは、何故か急に、無性に、今すぐに、外の空気が吸いたくなっちゃったから、良翔には悪かったけど、仕方なく、大急ぎで吸いに行ったのよ』

ノアの必死の抵抗の様な説明に、良翔はこれ以上は聞いてくれるな、という意味と理解し、相槌だけ打っておく。


そこに機嫌の良い、バンダンがやって来て、良翔達に声をかける。

「おう!お前らはこの後はどうするんだ!?次も行くのか?」

「バンダン、随分と機嫌が良さそうじゃないか?あいにく俺たちはこの後は参加出来ないんだが、バンダンは行くのか?」

「おう、そうか、行かねえのか?俺は当然行くがな!機嫌?何言ってやがる、いつもと変わらねえよ!じゃぁ、良翔にノアの嬢ちゃん、また今度な!」

「ああ、程々にな」

『逆に他の冒険者を酔い潰れさせるんじゃ無いわよ?』

バンダンはニヤリと笑うと、そのままホールを出て行く。


良翔とノアは、ミレナを介抱しているニーナに挨拶を交わし、その場を後にする。

ホールには居なかったが、恐らく執務室でハザは姫の様子でも見ているのだろう。

邪魔しては悪いと思い、そちらへは顔を見せず、ギルドを出る。


今まで屋内にいたせいだろうか、屋外の開放感に思わず溜息をついてしまう。

「なんだか、色々あって疲れたね。今日は少し早いけど、宿に戻って秋翔の帰りを待とうかと思うけど、いいかな?」

良翔は携帯の時刻を確認しながら、ノアに聞く。

時刻は16時を過ぎたあたりだった。

良翔の提案にノアも頷き

『そうね、賛成だわ。私も少し疲れたもの。それに明日からの予定も立てないとね』

良翔もノアの話に頷き

「そうだね。それについては宿に戻ってから話そう。俺もノアに相談したいしね。とりあえずは、芽衣と秋翔にお土産を買っていこう。ノアも芽衣にはそのつもりだったんだろ?」

すると、ノアはニコリと嬉しそうに笑い、頷く。


良翔とノアはいつもの駄菓子屋で、芽衣と秋翔のお土産を買って宿へ戻る。

宿に着いた頃は、結局ユックリしたせいもあってか、17時頃になっていた。

部屋に着き、良翔は早速、帰宅出来る準備を終える。

ノアは窓際の定位置に座り、芽衣と秋翔以外に自分がつまめる様に買った金平糖のお菓子をチマチマ食べている。

良翔も着替え終え、ノアの向かいに座り、金平糖を貰う。

うん、甘くて美味しい。

疲れた体が丁度求めていた様な糖分だ。


良翔はノアと共に、外の様子を眺めながら、話をする。

「明日以降なんだけどさ…、ノアが問題なければ、来週ぐらいから西へ向かおうと思うんだ」

すると、ノアは良翔に向き直り

『やっぱり、例の男を追うんだ。この街の問題は解決したし、楽しい冒険者ライフを送るならこれ以上の深追いは不要かと思うけど…。まぁ、あのアースワイバーンのお姫様見たら、ほっとけないのが良翔よね』

良翔もノアを向き

「ああ、すまないね、ノア。どうしてもあんな子を増やす様なやり方をする奴を知っていて放っておくのは性に合わなくてね。それでも来てくれるかい?」

するとノアはニコリと笑い

『誰に言ってるのよ?私は良翔のナビゲーターよ?そんなの当たり前じゃない』

良翔も笑顔で頷く。

「ノアなら、そう言ってくれると思ったよ」

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