78 お忍びとお座り
たまに毛色の変わった事をしてみました。
では、78話目楽しんで頂けたら幸いです。
「飽きましたわ」
宇宙船の通信で明日の視察スケジュールを伝えられた姫様が、僕に向かって素直な感想を口にしました。
僕はミッケニ。
地球の三毛猫に似た宇宙人。
ナンニャー星人です。
姫様の付き人をやっています。
「神社、寺。寺、寺、神社。たまに城。他に見るところはありませんの?」
僕の前で大あくびをしている子供。
うちの星の王女、シャーム姫です。
僕と乳兄妹なので歳は一緒。
ちょっぴり僕がお兄さんなんです。
「聞いてます? ミッケニ」
まだ、王族教育が始まってないのでワガママいっぱいです。
そこも可愛いのですが。
「聞いてませんわね」
アイタ! 姫様に叩かれました。
姫様そっちのけで考え事をしていたのがバレましたね。
まあ、爪が出て無いのでジャレているようなものです。
「聞いてますよ? この国の視察に飽きたというお話ですね?」
「その通りですわ! せっかく他所の星に来たのです。もっとドキドキハラハラするような体験がしたいのですわ!」
姫様が立ち上がって手を胸の前で合わせています。
「オンらインじゃ駄目ですか?」
駄目だろうなと思いながら一応確認します。
「オンらインもいいですがスリルがないですわ」
やっぱり姫様に却下されました。
「ドキドキハラハラって具体的な計画はあるんですか?」
たぶん僕が考えるんだろうな。
「ミッケニが考えて」
はい。正解でした。
姫様は面倒事はほとんど僕に押しつけます。
例外は王妃様が見ている時ぐらいでしょうか。
「では、何か考えてみますね」
母と父に相談しようと思います。
僕が産まれる前から王様と王妃様の側近だった僕の両親。
きっと良い方法を知っているはず。
「お忍びですわ!」
はい?
僕と姫様しかいないはずの部屋の中で誰かの声がしました。
とっさに姫様を背中にかばって爪を出します。
声は壁の方からしましたね。
「ミッケニ。大丈夫です。テレビとやらですわ」
姫様が僕の肩に手を置いて壁に映った映像を見ています。
ああ、テレビ。
オンらインと違って、視覚と聴覚でしか情報を伝えられない地球の情報媒体ですね。
姫様のお気に入りで大抵つけっぱなしです。
なぜか動物番組とかペット番組が映りませんが。
今回もちょうど動物番組が終わって次の番組が始まったようです。
地球人の小さな女の子が大人の目を盗んで城の外に遊びに行くお話ですね。
動く絵で上手に表現されています。
マズイ。
姫様が夢中で見ています。
僕はナンニャー星人得意の音のたたない歩き方で、姫様の部屋から出ようと試みます。
「どこに行きますのミッケニ?」
あと少しで部屋から出られる所でしたが、僕のすぐ後ろから姫様の声がしました。
姫様もナンニャー星人。
当然足音のしない歩き方はできます。
僕より上手に。
「今のテレビ番組見まして?」
姫様が目をキラキラさせています。
「いえ。全然。これっぽっちも」
僕は姫様にちょんと出した爪を見せました。
「ミッケニは録画って知ってまして?」
ええ、知ってます。
この宇宙船ではテレビ番組は何回でも見れるんです。
「ミッケニが今のテレビ番組を覚えるまで何回でも再生しますわ!」
これは姫様に僕がちゃんとテレビ番組を見ていたのがバレてますね。
「見てたからやめてください」
僕の耳と髭が自然にヘニャっとなりました。
「お忍びですわ! お忍び!」
姫様が歌うように大きな声で言いながら、部屋の中をくるくると走りました。
「ミッケニ! お忍び!」
そんなお座りみたいに言われても・・・
「まずは計画ですわ! 何から準備しましょう!」
姫様が珍しく御自分で何かを始められました。
そうでした。
大騒動を起こす。
姫様が僕に面倒事を押し付けないパターンはまだありました。
小説家になろう名物の誰々sideでした。
たぶん一人称ってこんな感じかなと書いております。
状況は参考人ミッケニのお話を皆で聞いてます。




