↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
71/743

71 お魚くわえた姫様

 今日から会話文の前後を改行してみました。

 読みやすくなっていると良いのですが。


では、71話目楽しんで頂けたら幸いです。

「やっと着いた・・・」


 丞は寮の前で思わずガッツポーズをしてしまった。

 しばらくいけなくなってしまったスーパーからの帰りは大変だった。

 まず、姫様達をどこに乗せるか。

 籠に買い物袋を入れてしまえば姫様達が入れない。

 鞄に入れたまま丞が肩にかけるのはミッケニに却下された。

 自由に動けない状態で不安定な乗り物には乗せられないそうだ。


 籠に段ボールを乗せる。不安定でダメ。


 買い物袋の上に姫様達を乗せる。自分の下敷きにした物を姫様に食べさせられないとミッケニが却下。


「頭の上がいいですわ!」


 姫様の意見は丞がカンベンしてもらった。

 流石に人に見られたら恥ずかしい。

 社員さんもいるかも知れない。

 寮はペット禁止なのだ。

 

 あれこれ話し合った結果、買い物袋は籠、姫様達は開けた鞄の中、そして丞は自転車に乗らず押して歩く事になった。


「自転車があると楽になるはずなんだけどなあ」


 ぼやきながら、とぼとぼと歩いてやっと寮に着いた。


 さっきから姫様達がやけにおとなしい。

 丞が鞄を覗くと姫様もミッケニも寝ていた。


「まあ、これはこれで」


 寮に入る途中で叫ばれるよりはいい。

 寮の裏に自転車を停めて丞は玄関に回った。


 今日は何時もより慎重に。細心の注意をして人の気配を探る。

 玄関。大丈夫。人はいない。


「何してるの?」


 寮を囲む塀の所から管理人一家の娘さんが壁に張り付く丞を不思議そうに見ていた。

 片方の鞄がガサゴソと動く。

 やばい。姫様はどっちにいたっけ?

 ミッケニは空気を読むだろうが、姫様は・・・

「うん。ちょっと忍者ごっこ」


 高校生にもなって忍者ごっこはないだろうと自分に突っ込みながら、丞は苦しい言い訳をする。


「ふ~ん。根来衆?黒脛巾組?」


 え、伊賀とか火の里じゃないの。

 娘さんの忍者知識がマニアックすぎる。

 丞はなんて答えればいいかわからない。

 鞄の中では、ん~と伸びをしている声が小さくしている。姫様ならそろそろ叫びそうだ。


「どうしたの?」


 丞が冷や汗をかいていると買い物袋を持った管理人のおばちゃんが歩いてきた。

 親子で買い物に行っていたみたいだ。


「お兄ちゃん、忍者ごっこだって!」


 無邪気な声で娘さんがおばちゃんに報告する。

 

「そうなの。ジャマしちゃダメよ」


 丞があまり社員さんに会いたくないのを知っているおばちゃんは状況がわかったようだ。

 娘さんの背中を押して先に寮に入ってくれる。


 助かったとほっと一息つきたいところだが丞は全然ほっとできない。

 おばちゃんの持っていた買い物袋が丞の持っている袋と一緒だった。


「見られて無いよね?」


「大丈夫だ。はみ出てない」


 さっきのスーパーの騒ぎを心配する丞に、いま鞄に隠れてるミッケニが答えた。


「こたつはどこですの?」


 起きた姫様が丞の部屋を見て不思議そうに聞いてくる。


「日本では猫の為に必ず一家に一台あるはずですが?」


 ミッケニも不思議そうに首をかしげる。


「いえ、こたつがない家もありますよ?それに今はこたつの時期じゃ無いです」


 どこの情報なんだろうか?

 丞も首をかしげながら姫様達の誤解をといて、ベッドのしたから小さなテーブルを出した。


「美味しいですわ!」


 小さいテーブルの上で姫様が叫ぶ。

 丞は電話しながらテレビの音量をあげた。

 それなりの防音効果のある壁だが念の為。

 たまに隣の部屋から音漏れしてくる事がある。

 姫様達の事がばれるよりうるさいと言われた方がいい。


「留守番電話サービスに接続します」


 全も九海の電話も留守電だ。

 なるべく早く連絡ちょうだいとメッセージを残して丞は電話を切った。


「あれ?鮭は?」


 丞の鮭弁からメインのおかずが消えていた。


「我らは姫様の残りを食べるのだ」


 ミッケニが大トロのなくなった鮪の刺身セットを食べながら、丞に鮭を食べた犯人を教えてくれる。


「いや、こんなに買ったでしょ。僕の弁当から持ってく必要無いよね?」


 丞は小さなテーブルいっぱいに広げた食べ物を見る。

 ちなみに姫様達は猫と違って食べられないものはないそうだ。


「姫様の家臣なら文句を言うな」


 ミッケニが大トロのあったスペースを見ながら丞をたしなめる。


「いやいや。僕、姫様の家臣じゃないから」


 丞は鮪の刺身セットから赤身を取って弁当のご飯に乗せて醤油をかける。


「そのソースはなんですの?」


 姫様が醤油がかかった赤身を持っていく。


「さっきより美味しいですわ!」


 ミッケニと顔を見合せてから、丞は醤油ご飯を食べた。


「スヤァ」


 食べるだけ食べた姫様は丞のベッドの真ん中で丸くなって寝始めた。


「人身売買!」


 ミッケニはテレビで始まったペットショップ特集を見て丞に文句を言ってきた。


「は、裸であんな丸見えの檻に!恥を知れ!」


 うん。抗議はこっち見てしようね。

 丞はミッケニの抗議を無視した。

 テレビから目を離さないで言われても困る。

 ミッケニだって自分達と猫が違う生き物だってわかっているだろう。

 テレビの中の猫をガン見しているが。

 まさか、姫様の星と地球との問題にならないよね?


 丞は下らない理由で戦争になった事例を思い出しながら横になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。